古物×本人確認(eKYC)。古物営業法・犯収法に準じた本人確認のメリットやポイントを解説

法/規制解説

更新日: 2023/08/22

目次

     シェアリングエコノミーやサーキュラーエコノミーの流れを受け、改めて注目されているリユース市場。特に成長が著しいのが「オンライン・リユース市場」です。環境省の調査報告書によると、ここ数年のオンライン・リユース市場は毎年20%程度の成長を記録しており、2020年以降のコロナ禍をきっかけに非対面での購買活動への機運も一層向上し、市場規模がますます拡大することが予想されています。

     そんな中、リユース事業者をはじめとする古物取引商(以下、古物商)にとっての大事なオペレーションの一つが「本人確認」です。これは古物営業法および犯罪収益移転防止法に準拠した義務であり、違反すると営業停止処分はもとより、懲役や罰金刑、場合によっては許可取り消し等の行政処分を受ける可能性もあります。一方で各法令に準拠した本人確認業務は、その厳格化によって作業工数が増大しているのも事実。事業者にとっては大きな課題となっています。

     本記事では、古物営業法および犯収法、それぞれの根拠法で提示されている本人確認義務の内容を確認した上で、オンライン・リユース市場を中心にニーズが高まっているデジタルネイティブな本人確認、すなわちeKYCの手法について解説します。

    古物商がeKYCを導入するメリット

    ho_flow_webcamera2eKYCを使った身元確認(後述)の流れの一例

     eKYC(electronic Know Your Customer)とは、スマホをはじめとするデジタルデバイスを使って、オンラインでKYC(本人確認)を行うことを指します。古物商がeKYCを実施すると、以下のメリットが享受できると言えます。

    • 本人確認業務のペーパーレス化と店舗依存の解消
    • 即日買取の実現による顧客満足度の向上
    • 買取時のミスマッチの防止

     eKYCを導入すると本人確認がオンラインで完結することになるため、例えば郵送を伴う古物販売において、これまで物品と同梱させていた本人確認用の紙書類を用意する必要がなくなり、ペーパーレス化が実現します。店舗を持つような業態においても、店舗での本人確認実施に依存する必要もなくなります。そのためユーザーとしては、本人確認目的で営業時間内に店舗に来店する必要がなくなります。

     そうなると、本人確認を事前に済ませたユーザーが古物等をオンラインに出品したり店舗に持ち込んだりすることができるようになるので、即日などスムーズな買取が実現し、結果として顧客満足度の向上にも寄与すると言えます。

     また、例えば宅配便事業者と提携し、古物郵送用のダンボール等を顧客に届けた上で、所定の宅配便事業者経由で商品の買取を進めるような形態も存在するでしょう。そのようなケースにおいては、例えば配達ドライバーに身分証を提示してもらうという形で本人確認を実施することが想定されますが、もしも玄関先で提示した身分証情報とオンライン登録したユーザー情報が一致しなかった場合、スムーズに商品の授受を進めることができません。それに対してeKYCで事前に住所確認を厳密に実施することで、上記ケースにおけるミスマッチを未然に防止することにもつながります。

     このように、古物商がeKYCを導入することで、顧客と事業者の双方にとって大きなメリットがあると言えます。

    古物営業法とは?古物商に課された3つのルール

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     古物営業法とは、中古品やリサイクル品など、古物を取引する際に必要な規制等を定めた法律です。具体的には以下13種類の品目において、一度使用された物品、未使用でも使用のために取引された物品、もしくはこれらを補修・修理をした物品が、同法の「古物」として定義されています。つまり、以下のケースに当てはまらない食品や電子チケット、化粧品などの物品は、古物営業法における古物に該当しないことになります。

    • 美術品類(彫刻、工芸品、書画など)
    • 衣類
    • 時計・宝飾品類(時計、宝石類、貴金属類、眼鏡など)
    • 自動車(タイヤやカーナビなどの部品を含める)
    • 自動二輪車及び原動機付自転車(同様に部品を含める)
    • 自転車類(同様に部品を含める)
    • 写真機類(カメラ、光学器など)
    • 事務機器類(レジ、コピー機、FAX、パソコン、事務用電子計算機など)
    • 機械工具類(スマホ、医療機器、電機類、工作・土木・化学機械、工具、ゲーム機など)
    • 道具類(家具、什器、運動用具、楽器、CD、DVD、ゲーム、トレーディングカードなど)
    • 皮革・ゴム製品類(かばん、靴など)
    • 書籍
    • 金券類(商品券、乗車券、郵便切手など)

     これら古物を営利目的で売買・交換取引を反復継続する業態を「古物商」と表現し、盗品等の売買を未然に防止し、発生時には速やかに発見することを目的に制定された法律が「古物営業法」というわけです。

     古物商は同法に記されている通り、以下3つのルールを守る必要があります。

    • 取引相手の本人確認義務(古物営業法第15条第1項)
    • 不正品の申告義務(古物営業法第15条第3項)
    • 帳簿の記録義務(古物営業法第16条)

     本記事では、この中の「取引相手の本人確認義務」について、詳しく解説していきます。

    古物商による本人確認の実施が必要な根拠法

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     古物商が主に対応するべき根拠法は古物営業法となりますが、実は犯罪収益移転防止法(以下、犯収法)の対応が必要となる場合もあります。以下でそれぞれの根拠法に応じた、本人確認が必要なケースを見ていきましょう。

    古物営業法

     古物営業法で本人確認が必要とされるのは以下の3ケースです。現金取引のみならず、クレジットカードや電子マネー等による取引も対象です。

    • 古物を買い受ける場合
    • 古物を交換する場合
    • 古物の売却または交換の委託を受ける場合

     本人確認事項としては「住居」「氏名」「職業」「年齢」の4項目が定義されており、後ほど詳述する通り、対面と非対面それぞれ複数の方法から任意で確認手段を選択することが可能です。

     なお、取引金額が一万円未満である場合、もしくは同じ物品を売却した相手から買い取る場合は、本人確認は不要とされています。ただし前者について、2018年4月25日公布の改正古物営業法施行規則により、以下の物品においては取引金額に関わらず本人確認が必要となりました。

    • 家庭用ゲームソフト
    • 自動二輪車および原動機付自動車(部品も含めるが、ネジやボルト等の汎用性部品は除く)
    • 書籍
    • CD、DVD、BD(ブルーレイディスク)、LD(レーザーディスク)

    犯罪収益移転防止法

     犯収法で本人確認が必要とされるのは、貴金属等の売買の業務を行う「古物商」と、流質物である貴金属等の売却を行う「質屋」です。同法では、これら事業者を「特定事業者(宝石・貴金属等取扱事業者)」として指定しており、特定取引等における取引時確認などの義務を課しています。

    ※特定取引等や取引時確認などについては、以下の記事も併せてご参照ください。

    ▶︎犯収法(犯罪収益移転防止法)とは?各専門用語の意味や注意点から、定義されているeKYC手法まで詳しく解説

     ちなみにここでいう「貴金属等」とは、以下の通り貴金属と宝石、ならびにそれらで構成された製品のことを示します。

    • 金、白金、銀及びこれらの合金(貴金属)
    • ダイヤモンドその他の貴石、半貴石及び真珠(宝石)
    • 上述の貴金属および宝石で構成された製品

     具体的な特定取引としては、代金の支払いが現金で200万円を超える宝石・貴金属等の売買契約の締結をした場合と定められており、個人の場合は「住居」「氏名」「生年月日」を、法人の場合は「名称」「本店又は主たる事務所の所在地」を、それぞれ本人特定事項として確認する必要があります。

    古物営業法に準じた本人確認実務

     古物営業法に準拠した本人確認手法としては、以下の13通りが施行規則第15条第3項にて定められています(分かりやすくするために、内容を要約の上で一覧化しています)。

     特に2018年4月公布の改正古物営業法施行規則によって、非対面取引における本人確認方法が追加され、同時期に改正された物理的な書面の郵送対応のほか、インターネット等を活用したeKYCによる手法も明記されるようになりました。

    第1号 相手方から印鑑証明書と登録した印鑑を押印した書面の交付を受ける
    第2号 相手方の住所に本人限定受取郵便等を送付して、その到達を確かめる
    第3号 相手方に本人限定受取郵便等により古物の代金を送付する契約を結ぶ
    第4号 相手方から住民票の写し等の送付、または運転免許証等のICチップ情報の送信を受け、そこに記載された住所宛に簡易書留等を転送しない取扱で送付し、その到達を確かめる
    第5号 相手方から運転免許証/国民健康保険被保険者証等の異なる身分証明書のコピー2点、または身分証明書等のコピー1点と公共料金領収書等(コピーも可)の送付を受け、そこに記載された住所宛に簡易書留等を転送しない取扱いで送付して、その到達を確かめる
    第6号 相手方から住民票等の送付を受け、そこに記載された本人名義の預貯金口座に古物の代金を入金する契約を結ぶ
    第7号 相手方から本人確認書類(運転免許証/国民健康保険者証等)のコピー等の送付を受け、そこに記載された住所宛に簡易書留等を転送しない取扱いで送付し、その到達を確かめ、あわせてそのコピーに記載された本人名義の預貯金口座等に代金を入金する契約を結ぶ
    第8号 古物商が提供したソフトウェアにより、相手方から容貌を撮影した画像の送信を受け、加えて運転免許証等の本人確認書類(写真付のもの)の画像の送信を受ける
    第9号 古物商が提供したソフトウェアにより、相手方から容貌を撮影した画像の送信を受け、加えて運転免許証等の写真付身分証明書等のICチップ情報(写真を含むもの)の送信を受ける
    第10号 相手方に目の前で、電子タブレット等に相手方の氏名を筆記させる
    第11号 相手方から地方公共団体情報システム機構が発行した電子証明書(マイナンバーカードに記載されたもの)と電子署名を行った住所、氏名、職業及び年齢に係る電磁的記録の提供を受ける
    第12号 相手方から特定認証業務を行う署名検証者が発行した電子証明書と電子署名を行った住所、氏名、職業及び年齢に係る電磁的記録の提供を受ける
    第13号 IDとパスワードの送信を受けること等により、相手方の真偽を確認するための措置を既にとっていることを確かめる

     なお、対面時の本人確認手法で何点か補足があるのですが、まずは古物営業法施行規則第15条第3項第1号「相手方から印鑑証明書と登録した印鑑を押印した書面の交付を受ける」について、職業は会社員や自営業といった情報だけでは足りず、具体的な勤務先名称まで確認する必要があります。またここで注意するべきことは、“目の前”で記入していることです。あらかじめ情報が記入された書面では有効にならないので、気をつけましょう。

     また、古物営業法施行規則第15条第3項第10号「相手方に目の前で、電子タブレット等に相手方の氏名を筆記させる」について、スタイラスペンやタッチペン等のペン型の器具を使用して筆記に当たる行為をさせることが必要なのであって、例えば指を用いたり、電子マウスを操作してその軌跡を相手方の氏名として表示させる方法や、キーボードのキーを操作して氏名を打ち込ませる方法については、認められないので注意が必要です。

    犯収法に準じた本人確認実務

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     次に、犯収法に準じた具体的な確認方法を、対面と非対面のケースに分けてご紹介します。改正犯収法(2018年11月公布・2020年4月1日施行)によって、その手法はイロハニホヘトチリヌルヲワカの計14パターンが定義されました。

     古物商が犯収法に準じた本人確認を行う必要がある場合、古物営業法に準じた本人確認も包含する形でオペレーションを設計しなければならない点に注意が必要です。

    対面にて写真付き本人確認書類1点の提示

    対面にて写真がない本人確認書類1点の提示

    転送不要郵便物等による到達確認

    対面にて本人確認書類2点の提示

    対面にて写真がない本人確認書類1点の提示

    住所記載の補完書類1点の送付

    専用ソフトウェアにて、写真付き書類の写し1点(厚みその他の特徴&本人確認時に撮影されたもの)の送信

    容貌(本人確認時に撮影されたもの)の送信

    専用ソフトウェアにて、写真付き・ICチップ付き本人確認書類のIC情報の送信

    容貌(本人確認時に撮影されたもの)の送信

    専用ソフトウェアにて、写真付き書類の写し1点(厚みその他の特徴&本人確認時に撮影されたもの)の送信 or 写真付き・ICチップ付き本人確認書類のIC情報の送信の確認

    銀行・クレジットカード情報との照合 or 既存銀行口座への振込

    本人確認書類の原本1点の送付 or 写真付き・ICチップ付き本人確認書類のIC情報の送信 or 写真付き書類の写し1点(厚みその他の特徴&本人確認時に撮影されたもの)の送信

    転送不要郵便物等

    本人確認書類2点の送付 or 本人確認書類の写し1点+補完書類1点の送付

    転送不要郵便物等

    給与振込口座の開設、または有価証券でマイナンバー済みの場合は本人確認書類の写し1点の送付

    転送不要郵便物等

    本人限定郵便(受取時の確認書類は、写真付き本人確認書類である必要ありのもの)
    電子証明書+電子署名
    公的個人認証(電子署名)
    特定認証業務の電子証明書+電子署名

     ちなみにTRUSTDOCKでは「ホ」〜「ル」および「ワ」の要件への対応を完了し、eKYCソリューションとして提供をしています。

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    対面時

     まずは店頭等における対面時取引における本人確認実務です。具体的には以下の4パターンが列挙されており、先述の法改正以前より明記されてきた施行規則となります。

    • 写真付き本人確認書類1点の提示(「」の要件)
    • 本人確認書類1点の提示 + 転送不要郵便等(「」の要件)
    • 本人確認書類2点の提示(「」の要件)
    • 保険証等1点の提示 + 住所記載の補完書類1点の送付(「」の要件)

    非対面時

     非対面時の本人確認については、先述の改正犯収法において、郵送不要の新手法と既存手法の厳格化が新たに定義されました。まず、郵送なしの新手法として定義されたeKYC3パターンとしては以下となります。

    • 専用ソフトウェアにて、写真付き書類の写し1点(厚みその他の特徴+本人確認時に撮影されたもの)の送信 + 容貌(本人確認時に撮影されたもの)の送信(「」の要件)
    • 専用ソフトウェアにて、写真付き・ICチップ付き本人確認書類のIC情報の送信 + 容貌(本人確認時に撮影されたもの)の送信(「」の要件)
    • 専用ソフトウェアにて、書類の写し1点(厚みその他の特徴+本人確認時に撮影されたもの)の送信か、ICチップ情報の送信 + 銀行・クレカ情報との照合か、既存銀行口座への振込(「」の要件)

     また、郵送ありの手法として厳格化された4パターンとしては以下となります。

    • 本人確認書類の原本1点の送付か、ICチップ情報の送信か、書類1点(厚みその他の特徴+本人確認時に撮影された証明)の送信 + 転送不要郵便(「」の要件)
    • 本人確認書類の写し2点の送付か、本人確認書類の写し1点と補完書類1点の送付 + 転送不要郵便(「」の要件)
    • 給与振込口座の開設、または有価証券取得時に既にマイナンバーの提供を受けている場合は本人確認書類の写し1点の送付 + 転送不要郵便(「」の要件)
    • 本人限定郵便(受取時の確認書類は、写真付き本人確認書類である必要あり)(「ル」の要件)

     この中の「チ」「リ」「ヌ」については、元々は「本人確認書類の写し1点の送付と転送不要郵便」の対応のみでよかったのですが、2018年公布の改正犯収法によって、厳格化する形で3つの手法に分化されました。

     さらに、それ以外の手法として以下が挙げられます。

    • 電子証明書 + 電子署名(「」の要件)
    • 公的個人認証(電子署名)(「」の要件)
    • 特定認証業務の電子署名 + 電子署名(「」の要件)

    古物商でよく使われる本人確認手法4選

     上述の通り、古物営業法と犯罪収益移転防止法、それぞれについての本人確認手法が何パターンもあると、どれを選択すれば良いのかわからなくなりますね。ここでは、よく使われる手法4つについてまとめました。

    本人口座への振り込み確認

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     よく使われる手法の1つ目は、相手に運転免許証等のコピー等と古物を送付してもらい、見積書を転送しない取扱いで簡易書留で送付して、相手から返事を貰った後に代金を本人名義の預貯金口座に振り込むという方法です。施行規則第15条第3項第7号の手法です。

     ここでいう“コピー等”とは、運転免許証等のコピーの他にも、コピーと同程度に鮮明で住所、氏名等の記載内容が読み取れるものであれば、写真データやスキャナーで取り込んだデータ、さらにはそれを印刷した物も含まれます。

     また、ここでいう“到達を確める”方法としては、具体的には以下のものがあります。

    • 送付した本人限定受取郵便物等(簡易書留等による場合の到達確認も同様。以下同じ)を古物と同封させて返送させる方法
    • 本人限定受取郵便物等により受付票等を送付し、当該受付票等を古物と同封させて返送させる方法
    • 本人限定受取郵便物等に受付番号を記載して送付し当該受付番号等を相手方から電話、電子メール等により連絡させる方法
    • 本人限定受取郵便物等で往復葉書を送付し、その返信部を相手方から送付させる方法
    • 本人限定受取郵便物等で梱包材を送付し、その梱包材に梱包して古物を送付させる方法(古物商が送付した梱包材と相手方から送付を受けた古物の梱包材との同一性が判断できるように、自社専用で第三者が入手できない梱包材を使用する。梱包材に個別の番号を付しておくなどの措置が必要です。)

    eKYCによる確認①

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     2つ目は、古物商が提供したソフトウェアにより、相手方から容貌を撮影した画像の送信を受け、加えて運転免許証等の本人確認書類(写真付のもの)の画像の送信を受けるという、eKYC手法です。施行規則第15条第3項第8号に記載されているものです。

     後者の運転免許証等については、その表面だけでなく裏面及び厚みの画像の送信を受け、マイナンバーカードであれば表面及び厚みの画像の送信を受けることが必要です(マイナンバーカード裏面には個人番号が記載されているので、送信を受けないように注意する必要があります)。

     TRUSTDOCK専用アプリおよびTRUSTDOCKアップローダー(WEB)においては、本人確認書類の表・裏の画像のみならず、カメラの前で書類を傾けるなどして厚み等を確認するなどの確認フローを設計しています。

     また、撮影されたものが正しいとしても、本当にその人がその場で撮影したものなのかを証明する必要もあり、TRUSTDOCKではランダムな英数字を画面上に表示させ(ランダムネスチェック)、それを含めてセルフィー撮影をさせるという処理フローも含めて提供しています。

    eKYCによる確認②

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     3つ目は、古物商が提供したソフトウェアにより、相手方から容貌を撮影した画像の送信を受け、加えて運転免許証等の写真付身分証明書等のICチップ情報(写真を含むもの)の送信を受けるというeKYC手法です。施行規則第15条第3項第9号に記載されているものです。

     ICチップ情報は、NFC等の無線通信技術を使って読み込むことになるのですが、iPhoneとAndroidで読み込みのためのかざし場所が異なる可能性があるので、注意が必要です。

     また、運転免許証のICチップの中にある氏名・住所・生年月日・性別・写真情報等を読み込むためには、運転免許証取得時に設定したピンコード(暗証番号)を入力する必要があるので、忘れているケースも多いのですが、一方で原本の違法コピー等によるリスクも回避できることから、より安全・安心に配慮した手法であるとも言えるでしょう。

    ※最近ではAI関連技術の発達により画像認識精度も飛躍的に向上しており、本人確認書類から本人情報を正確に抽出するなどは可能になっている一方で、まだまだ本人確認全体では有人対応が必要になるので、TRUSTDOCKでも画像認識技術と有人確認のハイブリッド型でeKYCを実施しています。

    公的個人認証(JPKI)による確認

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     4つ目は、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が提供する公的個人認証サービス(JPKI)を用いることで本人確認を完了する方法です。施行規則第15条第3項第12号に記載されているものです。

     利用者クライアントソフトおよびICカードの読み取り専用デバイス、もしくは読み取り対応スマートフォンアプリを通じて、マイナンバーカードへの電子証明書の記録を行い、その上で公的個人認証サービスを通じてオンライン本人確認を完了させるという流れになります。現在、最も高いレベルのセキュリティによる本人確認とされています。

     専用デバイスを用意するなど利用ハードルが高い要件ではありますが、TRUSTDOCKのようにスマートフォンでマイナンバーカードが読み取れるアプリであれば、およそ10秒程度で郵送不要のeKYCができるため、マイナンバーカードを持っているユーザーにおいては対応完了までのスピードが最も速い手段となっています。

    古物商・リユース関連事業者によるeKYC実装事例

     最後に、古物商・リユース関連事業者によるeKYC実装例として、TRUSTDOCKを導入した事業者の事例をご紹介します。詳細はそれぞれのコラムをご確認ください。

    ラクウル(株式会社ソフマップ)

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     買取アプリ「ラクウル」では、買取手続きにおける初回のダンボールの数・集荷日の登録の際に、eKYC/本人確認APIサービス「TRUSTDOCK」を使っての本人確認を実施。確認のとれたユーザーだけが、サービスを利用できる仕組みを採用しています。

    ▶︎リユース・古物買取買の本人確認自動化にeKYC:ソフマップ様事例

    ▶︎ソフマップ社長が語る、買取アプリ「ラクウル」のオンライン本人確認/eKYC導入の決め手と未来

    モバイル機器の下取り事業(Likewize Japan株式会社)

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     パソコンやスマートフォンのようなITデバイスにおけるエンドユーザーの困りごと(紛失、盗難、損傷、誤動作、アップグレード等)を解決する、BtoBtoCソリューション提供のグローバル企業「Likewize Japan株式会社」では、モバイル機器の下取り事業における郵送による本人確認サービス改善のため、eKYC/本人確認APIサービス「TRUSTDOCK」を導入しました。

    ▶︎Likewize Japanが語る、モバイル等のオンライン買取でTRUSTDOCKのeKYCを導入した理由と効果

    TIMELESS AUCTION(株式会社BuySell Technologies)

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     バッグ・宝石・時計を中心とする日本最大級のBtoBオークションとして、毎週木曜の“平場オークション”と毎月3日〜9日に開催している“オンラインオークション”を開催する「TIMELESS AUCTION」では、入会手続きのタイミングで、eKYC/本人確認APIサービス「TRUSTDOCK」を使った本人確認を実施しています。古物商許可を取得している事業者であれば、原則的にどなたでも参加できるようになっています。

    ▶︎eKYC導入でBtoBオークションサービスの入会者数が約3倍に増加:BuySell Technologies様の事例

    CASHARi / カシャリ(ガレージバンク株式会社)

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     モノの価値を活用したファイナンスを実現する、C向けセールアンドリースバックサービス「カシャリ」では、eKYC/本人確認APIサービス「TRUSTDOCK」を使っての本人確認を実施しており、確認のとれたユーザーだけが鑑定・査定後にお金を受け取ることができます。

    ▶︎古物商の本人確認に実績豊富なeKYC:ガレージバンク様事例

    効率的なeKYC活用がますます望まれる古物・リユース市場

     今回は古物商を営む上で必要な本人確認業務について、古物営業法および犯収法を根拠法としたポイントを解説しました。

     2018年4月に古物営業法が、同年11月に犯罪収益移転防止法が改正され、これまで郵送対応等が必要だった本人確認業務にオンライン完結手法が加わり、より効率的でウィズコロナフレンドリーな業務設計が可能となりました。市場規模が拡大の一途をたどる古物・リユース市場だからこそ、効率的なeKYCソリューションの活用がますます望まれると言えるでしょう。

     TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。古物商業務におけるKYC/eKYCおよびDX等でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。無料の「eKYCハンドブック」もご用意しております。

    リユース事業者向けeKYCハンドブックダウンロード

     また、eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々のために、TRUSTDOCKではPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しております。eKYC導入までの検討フローや、運用設計を行う上で重要な検討項目等を、計12個のポイントにまとめていますので、こちらもぜひご活用ください。

    eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト

     

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    (文・長岡武司)

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