2022年10月4日〜5日にかけて、リサイクル通信が主催する「Reuse × Tech Conference for 2023」が開催されました。こちらは、リユース企業におけるテクノロジー活用やEC販売、およびオンライン化等を応援するイベントで、この分野の最先端を走る企業による講演やサービス紹介が多数行われました。
TRUSTDOCKも本イベントに参加し、リユース業界におけるeKYC活用という切り口で「ネット買取 最新事例!Likewize Japanが選んだオンライン本人確認eKYCの即時買取」というセッションを開催。モバイル機器の下取り等を事業展開するLikewize Japan株式会社のご担当者様との対談を実施しました。本レポートでその様子をお伝えします。
登壇者プロフィール
- 千葉 孝浩(株式会社TRUSTDOCK 代表取締役CEO)
- 浅賀 直人(Likewize Japan株式会社 BuyBack & Trade in Service Director)
ITデバイスにおけるエンドユーザーの困りごとを解決するLikewize Japan
Likewize Japanとは、パソコンやスマートフォンのようなITデバイスにおけるエンドユーザーの困りごと(紛失、盗難、損傷、誤動作、アップグレード等)を解決する、BtoBtoCソリューション提供のグローバル企業です。30か国以上で事業を展開しており、保険、保証、修理、下取り、リサイクル、プレミアム技術サポート全体で、グローバルで毎年2億5千万件に及ぶ問題を解決しています。
以前はBrightstarという会社名でモバイル機器の流通卸から事業をスタートさせていましたが、2021年8月に包括的なブランド変更を実施し、現在のようにITデバイスの多様なサポートを行う形で事業展開するに至っています。浅賀氏は、その中でも主に中古モバイルの買取をご担当されています。
前提の話となりますが、ITデバイスに限らずあらゆる中古品において、1万円以上の古物を買い受ける、もしくは交換するかそれらの委託を受ける場合、古物営業法に準拠して「住居」「氏名」「職業」「年齢」の4項目による本人確認を実施する必要があります。(家庭用ゲームソフトや書籍、CD、DVD、BD、自動二輪車等は1万円未満であっても本人確認を実施する必要あり)
同社では、電源やディスプレイなど複数のポイントをユーザー自身がセルフチェックして買取価格を査定できる「セルフ見積もり」を提供しており、これを行うことで暫定的な買取金額が表示される仕組みを導入しています。ほとんどのユーザーは、このセルフ見積もりで表示された金額で買取まで進みますが、ここでの表示金額が「1万円以上」になったら、本人確認を実施するというフローになっています。
郵送だとお客様と事業者、双方のペインが大きかった
同社が、日本でのオンラインによるモバイル機器の下取り事業をスタートさせたのは2016年。業界的には非常に早い段階でオンライン事業を展開していたわけですが、その際の本人確認は郵送によるアナログな手法を採用していました。
「宅配便事業者様と提携して、“Trade In Kit” と呼ばれる返却ボックスをお届けするときに、配達ドライバーに身分証を提示してもらうという形で本人確認を実施していました」(浅賀氏)
しかしそのオペレーションだと、もしも玄関先で提示した身分証情報とオンライン登録したユーザー情報がマッチしなかった場合、そもそも返却ボックスを受け取ることができないという事態が発生しており、顧客体験としては良くないものになっていたと、浅賀氏は振り返ります。また、失敗した際も配送費については同社がすべて負担していたので、コスト的にも大きな出費になっていたと言います。
実際、TRUSTDOCKでも様々な古物系サービスにeKYCを導入する中で、生活者と事業者、それぞれについて以下のようなメリットの声を多く受け取っています。
「特に生活者としては、家にいなければいけないなど、自宅にいる時間をコントロールしなければならないといった話が、eKYCによって解消されることが大きいとの声を多く頂戴しています。また事業者にとっても、顧客満足度のアップやコスト削減はもちろん、ペーパーレス化や郵送費削減によるCO2削減にも貢献できると言えます」(千葉)
問い合わせ件数の減少とコストダウンの両方を実現
では、数あるeKYC事業者の中で、なぜLikewize JapanはTRUSTDOCKを選定したのでしょうか?浅賀氏は、最も大きなポイントとして「アウトソースできる範囲の広さにある」とコメントします。
「一番大きかったのは、設計した承認基準に基づいて、目視作業部分の最終判定までをアウトソースできる点でした。古物の要件としては我々が買取の主体になるので、我々が本人確認をしなければいけないわけですが、eKYC事業者によっては『目視作業部分の最終判定は事業者が行うもの』とするケースが多くありました。その点TRUSTDOCKでは、目視作業部分の最終判定までをお任せすることができることでした。その他にもここに挙げたとおり、24時間365日体制での3時間以内のサービス提供や、モバイルとPCブラウザの両方に対応していること、さらにエンジニアに対して英語対応が可能なサポート力がある点も魅力でした。特に我々のITスタッフは英語でのコミュニケーションが必要になるので、これらのことを総合的に判断して、TRUSTDOCKのeKYCを選定しました」(浅賀氏)
またeKYC運用開始後の効果として、まずは問い合わせ件数の減少があると浅賀氏は続けます。
「もちろん問い合わせ件数がゼロになることはなく、たとえば『なぜ否認したのか?』といった問い合わせはあるのですが、それについては以前の郵送手法でも当然発生していたものであって、件数ベースでは明らかに減少しています。
また、配送ドライバーによる本人確認が不要になったことで、自宅の郵便受けに返却ボックスが直接届くような形に変えることができたことにより、コストを大幅に削減することができました。
さらに、お客様が不在だった場合の“箱を受け取れない”という課題も解決しました。よって、事業者とお客様の双方にとって、選択肢が増えて利便性向上による全体最適を実現できたと言えます。本人確認はすべてeKYCに統一していて、パソコンの回収のような大きな箱が必要な場合についてだけ、宅配業者よる配送をおこなっています」(浅賀氏)
さらなる顧客体験の向上に向けたビジョン
最後に、両者より今後の展望がコメントされました。
「お客様に対する高価格買取を実現するためには、コスト低減が必須です。コストを下げることで、その分お客様に還元できると考えていますので、引き続きここに注力したいです。また、eKYCのような仕組みを使って“簡単で便利”なオペレーションだと認知していただくことで、今後とも選ばれるTrade Inを目指したいと考えています」(浅賀氏)
「さらなる顧客体験の向上ということで、TRUSTDOCKとしては比較データのミスマッチ以外のすべてのエラー、つまりは写真のぶれやピンボケ、証明書間違いといったことをゼロにして、オンライン買取・下取り市場の拡大に貢献して参りたいと思います」(千葉)
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TRUSTDOCKでは“本人確認のプロ”として、リユース事業者をはじめ、それに限らない様々な企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションおよびデジタル身分証を提供しています。また、本人確認業務に関して関係省庁や関連団体との連携も深めており、金融庁には業務内容の確認を、経済産業省とはRegTechについての意見交換を、さらに総務省のIoTサービス創 出支援事業においては本人確認業務の委託先として採択され、警察庁には犯収法準拠のeKYCの紹介等をといった取り組みも行っています。
本人確認業務のオンライン化を進める際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
また、リユース事業者をはじめとする古物取引商に特化したホワイトペーパーにて、eKYC導入のためのポイントや導入事例を簡潔にお伝えしているので、こちらも併せてご確認ください。
さらに、eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を計12個のポイントにまとめていますので、こちらもぜひご活用ください。
最後に、eKYCの詳細については以下の記事でも詳しく説明しているので、併せてご覧ください。
▶︎ eKYCとは?オンライン本人確認を徹底解説!メリット、事例、選定ポイント、最新トレンド等
(文・長岡武司)