個人向け「セール・アンド・リースバック」というユニークなサービスを展開されるガレージバンク様。リアル店舗の質屋ではなく、オンラインで古物を取り扱っており、優れた顧客体験を提供するために古物営業法にも対応したeKYCを活用。
ガレージバンク様では、ファッションアイテムやデジタルガジェットを資金化できるサービスで本人確認APIを導入。導入の決め手や運用設計、運用上の課題について伺いました。
導入サービス:CASHARi / カシャリ
カシャリは、モノの価値を活用したファイナンスを実現する、C向けセールアンドリースバックサービス。
利用者は、簡単なアプリ操作だけで、ファッションアイテムやデジタルガジェットなどのアイテムの価値を確認し、そのまま資金化することができる。カシャリは質屋のDXを目指したプロダクトで、申し込みに際し、対面でのやりとりやアイテムの発送はなく、一切の手続きはオンラインで完結。資金の受け取りは、銀行振込以外に、銀行口座不要のセブン銀行ATMでの受け取りも選択することが可能。
そのほかフリマアプリとは異なり、アイテムを手放す必要がなく、リース料を支払うことでアイテムを使い続けることができる。また借入とは異なり、個人の信用情報に頼らない為、利用者の職業や収入などの審査もない。
これまでクローズドβを展開し、ビジネスモデルの検証を進めてきたが、2020年11月にオープンβの提供を開始し、さらなる検証を進める予定。
利用している本人確認API
- eKYC:犯罪収益移転防止法「ホ」
カシャリでは、e-KYC/本人確認APIサービス「TRUSTDOCK」を使っての本人確認を実施。確認のとれたユーザーだけが、鑑定・査定後にお金を受け取ることができる。
担当者プロフィール
写真右:山本義仁[Yoshihito Yamamoto]
ガレージバンク株式会社 代表取締役CEO
写真左:磯田岳洋[Gakuyo Isoda]
ガレージバンク株式会社 代表取締役COO
元銀行マンと元質屋が作る、個人向けセール・アンド・リースバック・サービス
--まずはサービスリリース、おめでとうございます!とてもユニークなスキームのサービスだと感じます。
山本:ありがとうございます。セール・アンド・リースバックという手法自体は、主に不動産や法人向けの取引で用いられているものなのですが、カシャリはそれを個人向けにアレンジしたサービスになります。
--例えば、自分の使っているノートパソコンの写真を撮影し、それを鑑定・査定することで、そのままノートパソコンを使い続けながらお金を受け取ることができるということですよね。
山本:そういうことです。種別としては古物を取り扱うことになるので、古物営業法に則り運営しています。もちろん本人確認についても、厳格な運用体制を構築する必要がありました。
--お二人は、どのような役割分担で業務を進めているのでしょうか?
山本:私はもともと銀行で、人材評価システムの開発などを担当していたので、技術的な要件をメインに検討していました。
磯田:私は家業が質屋でして、大学卒業から経営に携わっていたので、主に運用や法的解釈の部分を担っています。
TRUSTDOCKは「安心感」みたいなものが一番だった
--今回、リリース段階からTRUSTDOCKを導入していただきましたが、もともと自社で賄う想定はあったのでしょうか?
山本:いえ、最初からBPOを想定していました。
もともと完全な非対面(オンライン)サービスを予定しており、eKYCを前提に考えていたのですが、スタートアップという限られたリソースの中で、技術的な開発から事務的な運用までを全て自社でやるのは、コスト含めて相当厳しいと考えていたので、サービス設計がある程度固まった段階で他社サービスの情報収集を開始しました。
--現在、多くの事業者がeKYCサービスを提供していますが、選定に先立つ情報収集では、どんな点を重視されましたか?
山本:(私は前職が銀行でしたので)まずはその会社の資本背景や経営者を見ました。サービス内容が同じように見えても、とりあえず参入したようなサービスだと、法解釈や法対応にリスクがあると感じますので。あと、導入事例の豊富さも大事で、大手からスタートアップまで、それぞれの粒度に合わせて運用が設計されているか否かも重要なポイントでした。
--その中で、TRUSTDOCK選定の決め手は何だったのでしょうか?
磯田:一言で申しますと、TRUSTDOCKは「安心感」みたいなものが一番でした。
大手企業や金融機関、弊社と同様の業態・業種まで、様々な導入実績をお持ちだったので、運用スキームの柔軟さや法解釈の深さ、法対応へのスピード感などが大きく期待できました。
山本:特に個人情報の取り扱い方針を含む運用のスキームについては、個人情報をお預かりする立場としては非常に重要なポイントでしたね。
最終的に3社の中から選定させていただいたのですが、総合的にポイントをクリアしているところがTRUSTDOCKだけだったので、そのまま導入が決定しました。
悩みやナレッジ等が共有できるユーザーコミュニティがあると、さらに嬉しい
--実際に運用設計を進めてみて、何かギャップはありましたか?
山本:想像以上にサポートいただいています!
例えば、何か質問をした時に、口頭での説明が必要だと感じたら即座にオンラインミーティング等を実施して頂けるので、「人の顔が見える対応だな」と感じています。
--運用をする上での課題などがあれば教えてください。
山本:まだスタートしたてなのでこれからだと思いますが、ユーザビリティなどは、今後の離脱の状況などによっては改善希望に繋がるかもしれませんね。
--そのほか、何か改善したい点などがあればおっしゃってください。
山本:今後、よりシームレスなサービス体験を提供したいので、最適なUI/UX構築へのPDCAに向けて、FlutterのSDKが欲しいなと感じます。
あと、今回は個人向けの本人確認のみを導入していますが、今後は法人向けの本人確認についても興味があります。
磯田:せっかく豊富な事例があるので、ユーザーコミュニティみたいな形で、悩みや対処法等のナレッジを共有したり、今後の希望メニューに向けた情報交換の場があると、とても嬉しいです。
あとは、法改正の動きを自分達だけではウォッチしきれないので、定期的に共有してもらえると、とても有難いです。
--ありがとうございます。最後に、TRUSTDOCK導入を検討している企業さまへのメッセージをお願いします!
山本・磯田:最高のサービスだと思います!
この領域は、例えばWebサイトを見ただけでは運用イメージを持ちにくいと思うので、困っている方は、まずはご相談してみると良いと思います。
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TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々のためにPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を、計12個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。
なお、KYCやeKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。
KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説
(文・長岡武司)