「目指せ、国民総株主」をテーマに、日本国内における株式投資家を増やし、日本国経済を活性化させることをミッションに掲げる株式会社カブ&ピース様。
電気やガスなど、生活インフラに関わるさまざまなサービスの利用に応じて「株引換券」をユーザーに付与し、自社未公開株と交換できるという非常にユニークな仕組みを提供する企業です。
2025年6月20日にはカブアンド種類株式第1期の株式の割当てが完了し、約69万人に対して、「日常の支払いを通じて証券口座不要で株主になれる」という新しい投資体験を提供しています。
(プレスリリース『「カブアンド」69万人の第1期株主が誕生 〜サービス開始から半年で株主数第9位にランクイン〜』より抜粋)
同社が展開するモバイル通信(MVNO)サービス「KABU&モバイル」に申し込んだユーザー、そして「KABU&モバイル」以外の同社が展開するサービスを通して株引換を申請したユーザーの本人確認に、TRUSTDOCKのソリューションを導入いただきました。
数あるeKYC事業者の中でも、どのような経緯でTRUSTDOCKを選定され、また導入後はどのような効果を体感されているのか。じっくりとお話を伺いました。
本記事のポイント
【ニーズ】
・携帯電話不正利用防止法に準拠した本人確認をオンラインで実施したい
・大量の本人確認審査を確実に問題なく処理したい
【導入後の効果】
・約69万人の株主誕生に向けた本人確認にも耐える仕組みを構築できた
・審査業務を細かいタスクに分離するなど、柔軟な運用設計ができている
導入サービス:KABU&モバイル

「KABU&モバイル」は、トリプルキャリア(NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI)から好きな回線を選び、端末と電話番号はそのままで、簡単に乗り換えて利用を開始できるモバイルサービス。カブアンドの他提供サービスと同様、利用料金に応じて株引換券が付与される。
利用しているeKYC本人確認API
✅ eKYC「ホ」
✅ 補助書類確認
「KABU&モバイル」では、携帯電話不正利用防止法に基づき、携帯電話の新規契約時の本人確認書類の偽造やなりすましといった不正防止を目的として本人確認を実施しています。
また同社の株引換申請では、ユーザーの身元確認のため、独自の基準に基づいた本人確認を実施しています。
担当者プロフィール
根本 英明[ねもと ひであき]
株式会社カブ&ピース 法務・コンプライアンス部 シニアマネージャー
北澤 綾香[きたざわ あやか]
株式会社カブ&ピース 法務・コンプライアンス部
全株主(約69万人)に対して本人確認を実施
カブアンドのサービスラインナップ(2025年6月末時点)
--まずは、御社の事業内容について教えてください。
根本:電気やガス、モバイル、クレジットカードなど、多くの国民に関与する生活インフラ関連サービス「カブアンド」を提供しています。
ポイントなどでお客様を囲い込むのではなく、株式をお渡しすることで、私たちの経済圏にお客様兼株主として参加いただき、会社を成長および上場させ、所有する株式の価値を最大化させていくことを共通目標としております。
--「目指せ、国民総株主」というフレーズが非常に印象的でした。合計7つの事業がありますが(2025年6月末時点)、どういう流れで利用できるのでしょうか。
根本:弊社サービスページよりカブアンド会員に登録いただいたうえで、各サービスにお申し込みいただきます。会員登録後は、サービスページ上のマイページから株引換券やカブアンド種類株式(※)などの保有状況を確認いただけます。
各サービスの利用料金に応じて株引換券がもらえ、株引換券は、カブアンド種類株式に引換えることができます。そして株引換にあたっては、オンライン上での本人確認を実施しています。
※種類株式:権利内容の異なる2種類以上の株式を発行した場合における各種類の株式のこと。株式会社カブ&ピースが上場した場合、カブアンド種類株式は普通株式に転換され、普通株式を証券取引所において自由に売却できる(ただし、証券取引所の規則や主幹事証券会社との間の取り決めに基づき、上場後一定期間は譲渡が制限されることがある)
--先日、約69万人の株主が誕生しましたが、全員に対して本人確認を実施されたのでしょうか?
根本:はい。株引換のお申込みを行うユーザーに対して、本人確認を実施しております。また、モバイル通信(MVNO)の利用料金に応じて株がもらえるサービス「KABU&モバイル」でも、携帯電話不正利用防止法に準拠した本人確認を実施する必要があります。
この2つの本人確認時に、TRUSTDOCKさんのeKYCソリューションを利用しています。
TRUSTDOCKを選定したポイントは3点
KABU&モバイル サービスページトップ(2025年6月末時点)。携帯電話不正利用防止法に基づき、携帯電話の新規契約時の本人確認書類の偽造やなりすましといった不正防止を目的として本人確認を実施している
--TRUSTDOCKはどのようにご存知になりましたか?
根本:弊社の経営陣はFinTech業界に通じたメンバーも多いため、大手KYC事業者の情報はあらかじめ把握していました。
--さまざまなeKYC事業者がある中で、TRUSTDOCKに決めた要因を教えてください。
根本:多様な業種・業態の企業での導入実績に裏打ちされたツールの信頼性と、大量の申込件数にも問題なく対応できること、それからコスト面の3点が主な選定ポイントになります。
--システム導入はいかがでしたか?
北澤:TRUSTDOCKツールと弊社システムの連携については大きな問題なく進み、1カ月も経たずにテストまで終えることができました。「不明点は担当者様に問い合わせたらすぐに対応・解決してくれるので助かった」と弊社エンジニアも申していました。
--現在の本人確認運用体制についても教えてください。
北澤:提出いただいた本人確認書類の審査業務は、外部委託をしています。業務開始時に仕様含めた研修を行った後はトラブルなく業務を行うことが出来ました。その上で、例えばツール上のトラブルや不備などがあった際には、社内開発担当やTRUSTDOCKの担当者様に確認し、迅速にご回答いただけています。
--TRUSTDOCKを運用開始してみていかがでしょうか?
根本:日頃から弊社代表がXで情報発信するとサイトアクセスが急上昇し、サイトへの負荷が一気に高まる状況を見ていたので、やはり耐久性の部分が一番心配でした。そういった事情もあり、株式の割当てを初めて行う前には、しつこいくらいに何度も「本当に大丈夫ですよね?」と確認させていただいていました。でも実際に蓋を開けてみると、TRUSTDOCK上のトラブルはなく約69万件の本人確認申請に対応できたので、ほっと一安心しています。
「やりたいことがきちんとやれる」「本業に集中できる」
--改めてプロジェクトを振り返って、TRUSTDOCKの良いところを教えてください。
北澤:大量の本人確認申請件数に対応する必要があるという弊社の背景を踏まえて、審査項目がギュッとシンプルになっている点が、効率的な運用を設計するにあたって良かったと感じています。もちろん、細かいところで何点か改善要望もあるので、継続的に担当者様とコミュニケーションを取りながら対応していきたいと考えています。
根本:あと、外部委託先での本人確認の審査業務を細かいタスクに分解できる点も、TRUSTDOCKさんの特性の一つであり、運用のしやすさだと感じています。例えば「券面内容の確認」と「撮影された顔写真と書類の顔画像の突合」を別の担当者に分けて体制を組むこともできるので、シフトなど人員配置の観点でもいいなと思いました。
--ありがとうございます。それでは最後に、読者の皆さまに一言ずつお願いします。
根本:大きなトラブルなく、大量件数に無事対応できたので、「やりたいことがきちんとやれる」「本業に集中できる」という観点でとても良かったと思います。あと、今回は別の事業者様にお願いをすることになりましたが、TRUSTDOCKさんでもBPOサービスを提供されているということで、総合的な提案力も魅力だと思います。
北澤:TRUSTDOCKさんは情報発信も積極的にされていて、法令対応に関するウェビナーも定期的に実施されています。最新情報のキャッチアップなどで助かるなと感じており、そこもおすすめのポイントです。
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TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目などを計10個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。
なお、KYCやeKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。
▶︎KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説
▶︎eKYCとは?オンライン本人確認のメリットやよくある誤解、選定ポイント、事例、最新トレンド等を徹底解説!
(文・長岡武司)