2021年10月5日〜6日にかけて、リサイクル通信が主催する「Reuse × Tech Conference for 2022」が開催されました。こちらは、リユース企業におけるテクノロジー活用やEC販売等を応援するイベントで、この分野の最先端を走る企業による講演やサービス紹介が多数行われました。
TRUSTDOCKも本イベントに参加し、リユース業界におけるeKYC活用という切り口で「実例で語る!eKYC導入によるユーザーの利便性向上と集客強化」というセッションを開催。ソリューション導入企業である株式会社ソフマップ 代表取締役の中阿地信介氏との対談を実施しました。本レポートでその様子をお伝えします。
登壇者情報
- 中阿地 信介(株式会社ソフマップ 代表取締役社長
- 千葉 孝浩(株式会社TRUSTDOCK代表取締役CEO)
改正古物営業法をきっかけにオンライン本人確認/eKYCに着目
ソフマップが提供する買取アプリ「ラクウル」では、買取手続きにおける初回のダンボールの数・集荷日の登録の際に、e-KYC/本人確認APIサービス「TRUSTDOCK」を使って本人確認を実施しており、確認のとれたユーザーだけがサービスを利用できる仕組みを構築しています。
改正古物営業法が施行されてかなり早い段階での導入となった同社ですが、その迅速な意思決定には、本人確認にまつわる煩雑なオペレーションの存在が大きかったと言います。
「2004年からサービス開始した、現在のラクウルの前身となるサービス(旧:らくらく宅配買取)では、お申し込みの度に身分証明書や住民票等のコピーを荷物に同梱していただく必要があり、ユーザーより面倒だとのご意見を多くいただいておりました。
また買取の査定担当者からも、同梱物を漏れなくチェックして登録をするというオペレーションは、時間と手間が非常にかかるとの声が上がっており、これ以上のサービスの向上を感じられなかったことが、TRUSTDOCK導入の背景となります」(中阿地氏)
具体的には、2017年12月に有志でプロジェクトメンバーで組成し、「買取申し込みが簡単にできて、且つ最短3日で金額が受け取れるサービス」というコンセプトを実現するための試行錯誤を繰り返していった中で、改正古物営業法をきっかけにeKYCに着目。いかに管理や業務の効率化を実現できるかを研究していき、TRUSTDOCKのサービスにたどり着いたといいます。
「eKYC導入の効果は大きく3つあります。まずはコピーが不要になったということ。ユーザーはラクウルで身分証撮影をするだけで済むようになり、非常に楽になったと思います。また24時間365日の代行サービスのおかげで、査定による本人確認作業もなくなり、大きな業務効率の改善につながりました。さらに、身分証の管理がデジタル化したので、セキュリティ強化にもつながりました」(中阿地氏)
<eKYC導入の効果>
- ペーパーレス化(本人確認書類のコピーが不要に)
- 本人確認業務の効率化(確認業務もTRUSTDOCKに依頼し、24時間365日運用が可能に)
- セキュリティ強化(身分証の管理をデジタル化)
特に最後のセキュリティ面については、昨今の高度情報化社会においてはますます注目されるテーマです。ここの取り組みについて、千葉からもコメントがなされました。
「私たちはお客様に対して、システムを提供しておしまいではなく、一緒に伴走しながら運用をお手伝いしております。そこで得た運用ノウハウを業界横断的に蓄積しているからこそ、色々なセキュリティリスクへの対策やオペレーションの品質を継続的に高めています。また、コロナ禍で非対面のプロセスを作っていく必要がますます高まっており、オンラインサービスにおいては営業時間を設けるのはなかなか難しいでしょうから、24時間365日の運用はマストになってくると考えています」(千葉)
本人確認情報をそのままデジタル身分証として活用したい
早いタイミングでeKYCを導入したソフマップでは、継続的なサービス向上に向けて、大きく2つの展望をラクウル事業で予定しているといいます。
まずはラクウルに搭載されている「持ち物帳」機能について。こちらは、登録した家電製品のソフマップでの最新買取価格がいつでも分かる機能です。ビックカメラグループ各社が発行するポイントカードを登録するだけで、購入した商品が「持ち物帳」の資産へと自動で連携・登録される仕様になっているため、ソフマップの最新買取価格が手間なく簡単に確認できるようになりました。
「このサービスとeKYCを組み合わせることで、顧客データの信頼性を大きく向上させて、ビッグデータとして活躍できる仕組みを作っていきたいと考えています」(中阿地氏)
もう一つ、ラクウルでは2021年8月の機能アップデートに併せて、オンライン完結のeKYC[ホ]も追加導入しました。これは、犯罪収益移転防止法六条一項一条ホに当たる「身分証の撮影(表面/裏面/厚み他の特徴/その場で撮影した証明)+容貌の撮影(その場で撮影した証明)」の提出による本人確認の手法に準拠したAPI機能です。
この導入により、本人確認済みのラクウルユーザーは、代金受け取りについて「預金口座の振込」「ビック買取マネー」に加えて「お店で現金受け取り(手数料無料)」を新たに選択することが可能となり、現金の受け取り時に身分証の提示が不要になりました。
さらに年内には、このeKYC[ホ]を使って「来店予約」機能も実装する予定です。これにより、店舗の買取受付の際に申込み用紙の記入が不要になる想定とのことです。
「ラクウルとeKYC[ホ]の組み合わせによって、本人確認情報をそのままデジタル身分証として活用できるようになることを期待しています」(中阿地氏)
「TRUSTDOCKさまにも非常に期待しております」
中阿地氏による今後への展望に付随して、TRUSTDOCK千葉からも今後の取り組みについて、デジタル身分証アプリ事業の視点からコメントが述べられました。
「昨今ではマイナンバーカードの普及がどんどんと進んでいまして、例えば公的個人認証[ワ]を使った仕組みも、デジタル身分証アプリを使って提供しています。スマホをカードリーダーのように使っていただくイメージです。
他にも本人確認+アルファにまつわる様々なソリューションを提供しておりまして、加速度を増すデジタル社会における仕組みを、皆さんと手を取りながら作っていけたらと思っています」(千葉)
最後に、中阿地氏より大変有り難いコメントを頂戴して、セッションが終了しました。
「TRUSTDOCKの皆様とお話しをすると、本当にワクワクしてくるんですよね。先ほどの新しい技術の話もそうですし、どう組み合わせていけばより便利になるかなどもそうです。ぜひ色々なことを問い合わせてみると良いと思います。
あと個人的な見解としては、先ほどのマイナンバーの話や9月に発足されたデジタル庁などの展開に大きな期待を寄せておりますし、TRUSTDOCKさまにも非常に期待しております」(中阿地氏)
ソフマップ様の導入プロジェクトについては、以下のインタビュー記事でも担当されたお二人に詳しく伺っているので、併せて参照ください。
また、以下がリユース事業者向けeKYCサービスページとなりますので、こちらもぜひご覧ください。
《関連リンク》
これからは、本人確認が全てのハブになる。業務オペレーションの完全自動化を進めるソフマップの事例
https://biz.trustdock.io/column/rakuuru
リユース事業者むけeKYCサービスページ
https://biz.trustdock.io/product/reuse/
(文・長岡武司)