脱炭素社会に向けた動きがグローバル各国で活発化しています。我が国でもグリーントランスフォーメーション(GX)への投資の旨が「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針2022)に記載されるなど、政府として注力する姿勢が打ち出されており、様々な事業領域においてシェアリングエコノミー等、GXに向けた取り組みが進んでいます。
例えばクルマのシェアリングでは、2021年10月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」の目標達成のための対策・施策の一つとして「脱炭素型ライフスタイルへの転換」が明示され、その具体的な対策としてカーシェアリングが取り上げられています。
今回は、そんなカーシェアサービスを展開する株式会社DeNA SOMPO Mobilityについてです。同社ではドライバーの免許証チェックに対するテックタッチの仕組みとして、TRUSTDOCKのeKYCサービスを導入しました。具体的にどんな経緯でTRUSTDOCKの導入を決定されたのか等について、ビジネスオペレーション本部の本部長の早藤氏にお話を伺いました。
本記事のポイント
【ニーズ】
・ドライバーの審査にまつわる体験をより良くしたい
・ドライバーから送付される免許証画像のスクリーニング工数を下げたい
・決められた期間(2ヵ月間)で導入〜運用開始したい
【導入後の効果】
・ドライバーから送付される免許証画像の不備率が低減した
・スクリーニング含めた審査工数の削減に貢献した
導入サービス:カーシェアサービス「エニカ(Anyca)」
エニカは「クルマが変われば、思い出が変わる」ブランドコンセプトのもと、新型車・高級車含む1,100以上の豊富な車種に乗れるカーシェア&レンタカーサービス。エニカには個人、ディーラー、運営会社所有のクルマなどが登録されており、個人間カーシェアにおいてはオーナーがクルマを使わない間にシェアすることで、維持費の軽減が期待できる。2015年にローンチし、累計登録会員数は70万人以上、登録車種数1,100以上、累計登録台数2万8,000台以上となっている(2022年末時点)
利用しているeKYC本人確認API
✅ eKYC「ホ」
✅ 補助書類確認業務
サービス利用時にドライバーの本人確認を実施する際に、eKYC本人確認APIサービス「TRUSTDOCK」を使っています。
担当者プロフィール
早藤 亮介[Ryosuke Hayato]
株式会社DeNA SOMPO Mobility
ビジネスオペレーション本部 本部長
審査業務の課題をテックタッチで解決できる方法を模索する中でeKYCに着目
--まずは今回、TRUSTDOCKのeKYCを導入した背景について教えてください。
早藤:まず前提として、弊社の審査業務には、ドライバー向け免許証の確認に関する内容とオーナー向け車検証の確認等に関する内容の2つがあり、今回のeKYC導入は前者をスコープとする話になります。
もともとビジネスオペレーション部門の責任者として、ドライバーの審査にまつわる体験をより良くしていきたいと考えていまして、それまでの運用で抱えていた課題をテックタッチで解決できる方法がないかをチームで模索する中、着目したのがeKYCサービスでした。
--それまではどのような方法で本人確認を行っていたのですか?
早藤:ドライバーに免許証を撮影していただき、それを弊社スタッフがその写真を目視で確認するということを内製でやっていました。でもそれだと、どうしても写真そのものに不備が多くなってしまいます。例えば全体的にブレていたり、大事な部分が見切れていたり、照度が明るすぎて文字が飛んでしまっていたり。そういった画像がそのままスクリーニングされることなく審査チームの手元にやってくるので、審査工数も逼迫してしまうという状況でした。
--数あるeKYCサービスの中で、どのような流れでTRUSTDOCKのことをご存じになったのでしょうか?
早藤:最初は別サービスで導入実績のあった他eKYCサービスを検討していたのですが、エンジニアチームの方から別サービスも含めて総合的に検討したいという相談があり、彼らから上がってきたうちの一社がTRUSTDOCKさんでした。
サービス導入時の「連携」に関するスムーズさがTRUSTDOCKの決め手
--検討されていたeKYC事業者の中から、TRUSTDOCKを選定された理由を教えてください。
早藤:導入時における技術的なサポートや、何かをご相談した際のコミュニケーションの距離感など、サービス導入時の「連携」に関するスムーズさが一番大きかったです。特に、導入期間が2ヵ月と決まっていたこともあり、より円滑に進めることができるのがTRUSTDOCKさんだろうという判断になりました。
また、もともとはスクリーニングの部分だけをご依頼する想定でeKYC事業者を探していたのですが、TRUSTDOCKさんでは審査の部分も含めてご対応いただけるということで、作業内容に対するコストという観点でも魅力的と感じました。
--導入作業はスムーズに進みましたか?
早藤:エンジニアチームが実際に開発を進めていったのですが、キックオフから2ヵ月で運用開始したので、特に問題なく進めることができたと感じています。個人的には、エニカの画面から変遷する本人確認画面のデザインを、エニカのブランドに近い形で柔軟にカスタマイズできる点が良かったと思っています。
--TRUSTDOCK導入の効果としてはいかがでしょうか?
早藤:スクリーニングで「写真の不備を減らす」という部分について、前年比でだいぶ改善できていますね。審査全体で考えると、今後さらに最適化していきたいと考えていまして、そこはまた追ってご相談できればと考えています。
今後さらに審査業務全体の最適化を進めたい
--今後の中長期的な事業への展望を教えてください。
早藤:エニカにはコンシューマ向けの「カーシェアサービス」の側面とは別に、自動車メーカーに対してカーシェアを通じた新型車の試乗体験提供と購入促進を支援する事業「バーチャルストア」、そして自動車ディーラーに対しては、試乗車を個人間カーシェアとして活用することにより顧客接点の増加を支援する事業「ディーラープラン」といった法人向けの事業も拡大させています。こうした取り組みを増やしていくことで、クルマを所有しない層にも、クルマの所有を検討している層にも使いやすいサービスを作っていきたいと考えています。
※カーシェアプラットフォーム事業およびディーラープランについては、自家用自動車有償貸渡(レンタカー)事業ではなく、「共同使用」という同一の自家用自動車を複数人で使用する契約形態の枠組みで運用されている
--その未来に向けて、TRUSTDOCKには今後どのような期待を持たれていますか?
早藤:冒頭にもお伝えしたとおり、ドライバーの審査にまつわる体験をより良くしていきたく、今後さらにTRUSTDOCKさんとのコミュニケーション量を増やして、審査業務全体の最適化を進めていきたいと考えています。
--ありがとうございます。それでは最後に、読者の皆さまに一言お願いします!
早藤:コミュニケーションについて、結構密に連携できていたと思います。また、eKYCを扱うのが初めてでどうやって導入したらいいのか分からないというメンバーに対しても、色々とオープンに情報共有いただいて入りやすい環境を整えてくださっていたと思うので、まずは相談してみるのが良いのではないかと思います。
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TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を計12個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。
なお、eKYCやKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。
▶︎eKYCとは?オンライン本人確認を徹底解説!メリット、事例、選定ポイント、最新トレンド等
▶︎KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説
(文・長岡武司)