eKYCにおける補助書類とは?本人確認時に求められるシーンや、事業者として注意すべきことなどを解説

法/規制解説

更新日: 2026/06/10

目次

    本記事のポイント

    ・補助書類は「①住所情報の補完」「②法令上、本人確認書類の2点提出が求められる場合がある」という2つの理由で必要になる。

    ・公共料金の領収書(電気・ガス・水道など)や住民票の写しなど、さまざまな補助書類がある。

    ・有効期限の設定や、ユーザーに向けた事前のアナウンスが大切である。

     

    オンラインでの本人確認(eKYC)が、金融機関や通信事業者、各種Webサービスで当たり前のものになりつつあります。一方で、eKYCに初めて触れる方からは、以下のような疑問の声も少なくありません。

    「補助書類って何?」

    「マイナンバーカードや運転免許証があれば十分ではないの?」

    本記事では、本人確認の場面で使われる「補助書類」について、基礎から実務的な観点までわかりやすく解説します。

    ※本記事は、記事公開日時点の情報に基づいて記載しております。

    補助書類とは

    補助書類とは、本人確認手続きにおいて、主となる身分証明書を補完する目的で提出を求められる書類のことを指します。

    本人確認では通常、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートといった「主要な本人確認書類」が使用されます。しかし、これらだけでは確認要件を満たさないケースが存在します。その際に活用されるのが補助書類です。

    補助書類が求められる代表的な理由は、以下の2点です。

    ①住所情報を補完するため

    たとえばパスポートには住所の記載がありません。そのため、「氏名・生年月日」は確認できても、「現住所」が確認できないケースが発生します。この不足を補うため、補助書類が必要になります。

    ②法令上、本人確認書類の2点提出が必要なため

    金融機関での口座開設や携帯電話の契約など、リスクの高い取引を行う事業者では、それぞれ犯罪収益移転防止法(以下「犯収法」)や携帯電話不正利用防止法で本人確認の際に準拠すべき要件が定められています。

    その中には、本人確認書類を2点提出させる手法も定義されており、そこで「主要書類+補助書類」という組み合わせが使われます。

    たとえば、現在の犯収法施行規則第6条第1項第1号「リ方式」での非対面確認手法では、「本人確認書類2点の送付 or 本人確認書類の写し1点+補完書類1点の送付+転送不要郵便物等」という形で、補助書類の利用が認められています。

    ただし、2027年4月の犯収法改正により、この「リ方式」は廃止される予定です。

    一方で郵送を利用した方式では、引き続き補助書類の利用が認められる方針です。たとえば「本人確認書類1点+補助書類1点」や、「現住所が記載されていない本人確認書類+補助書類2点」といった組み合わせで、本人確認を行うケースが引き続き存在します。

    ※犯罪収益移転防止法施行規則第6条第1項第1号に定められた本人確認要件については、以下の記事で法改正の内容とともに詳述しているので、あわせてご覧ください。

    ▶︎【2025年6月施行】&【2027年4月施行】改正犯罪収益移転防止法で変わる!本人確認手法の変更ポイントを解説

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    どんな書類が補助書類として使われるのか

    補助書類として多くの事業者で認められているものには、以下のような書類があります。

    • 公共料金の領収書(電気・ガス・水道など)
    • 住民票・広域交付住民票・住民票記載事項証明書の写し
    • 国税・地方税の領収書または納税証明書
    • 社会保険料の領収書

    また、個人への本人確認ではなく「法人確認」という観点だと、犯罪収益移転防止法における要件として、法人の取引担当者が当該法人を代表する権限を有する役員ではない場合、「取引の任に当たっていることの確認(権限の確認)」が必要になります。この際、法人への電話確認などに代わって「委任状」の提出が求められるケースがあります。これらは厳密には住所情報を補完する補助書類(補完書類)とは法的性質が異なりますが、法人取引において基本書類とセットで必要になる重要な書類の一つです。

    ※犯罪収益移転防止法における法人確認については、以下の記事もあわせてご参照ください。

    ▶︎犯罪収益移転防止法で定められる「法人の本人確認」とは?法概要とeKYCソリューション例について解説

    犯収法における法人確認要件

    有効期限が設けられている理由

    補助書類の提出時には、多くの場合「発行から3カ月以内」といった有効期限が設定されています。

    これは、本人が現在その住所に居住していることを担保するためです。たとえば1年前の公共料金領収書では、すでに引っ越している可能性を否定できません。本人確認では情報の鮮度が重要な要件となるため、補助書類の提出を設計する場合は有効期限の設定が必須と言えます。

    事業者として注意すべきこと

    注意点として、次のようなケースでは補助書類として認められないことがあります。

    • スマートフォン画面のスクリーンショット
    • 宛名が本人以外(家族名義など)
    • 住所の記載が一部省略されている
    • 発行日が確認できない

    特にオンラインで情報を提出するeKYCでは、画像の真正性もチェック対象となるため、原本を撮影した鮮明な画像が求められる点にも注意が必要です。

    なお、従来の対面本人確認では、窓口担当者が書類を目視で確認していました。しかしeKYCでは、提出された画像データをもとに、システムやオペレーターが確認を行います。

    そのため、以下の点がより厳密にチェックされます。

    • 文字が鮮明に読めるか
    • 書類全体が写っているか
    • 加工・改ざんの痕跡がないか

    ユーザーへのアナウンス事項として、「どの書類が使えるのか」を明確に案内するのはもちろん、撮影方法のガイドを用意し、NG例も事前に提示するなどすることで、差し戻しや離脱の原因をある程度防止できるでしょう。

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    設計や案内次第でユーザー体験/確認精度が大きく左右される

    ここまでお伝えしたとおり、補助書類は、本人確認において不足しがちな住所情報を補完したり、法令で求められる「本人確認書類2点確認」を満たしたりするために欠かせない要素です。

    特にeKYCのような非対面手法では、書類の有効期限や記載内容、画像の鮮明さなどが厳密に確認されるため、補助書類の設計や案内方法次第でユーザー体験や確認精度が大きく左右されます。

    事業者としては、「なぜ補助書類が必要なのか」「どの書類が使えるのか」を分かりやすく伝え、適切な提出を促すことが重要になります。

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