金融DXに向けては、複数社との協業・連携によるAPIエコノミー構築が大切! 〜FIT2022セッションレポート

eKYC/本人確認

更新日: 2022/11/29

目次

     2022年11月10日〜11日にかけて、金融総合専門紙「ニッキン」(日本金融通信社)が主催する国内最大級の金融機関向けITフェア「FIT2022」が開催されました。

     2000年より継続的に開催されている本フェア(通称:FIT展)には、これまでのべ30万人近くの金融機関および金融機関関係者が来場しており、金融実務と実践に即した交流の場として機能してきました。今回のFIT2022においても、140社以上が様々な金融機関向けソリューションを紹介しており、メイン会場となった東京国際フォーラムのホールは多くの来場者で賑わっていました。

    fit2022_01会場となった東京国際フォーラム ホールの1シーン。よく見ると、TRUSTDOCKのブースも写真内に見つかります

     本記事では、TRUSTDOCK 代表取締役CEOの千葉 孝浩がモデレーターを務めたパネルセッションをレポートします。

     金融庁による最近の施策動向やAML/CFT対策に必要な継続的顧客管理のポイント等について、「マイナンバーカード連携」「フィンテックBaaS連携」「BPO連携」という3つのテーマに沿った形で、それぞれ4社の連携パートナー企業のゲストとともに紹介がなされました。

     

    パネル:「金融DX・オンライン本人確認eKYC・AML/CFT対策継続的顧客管理の最新事例」

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    • 田上 利博(サイバートラスト株式会社 マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 担当部長)
    • 吉中 慎(株式会社インフキュリオン 執行役員)
    • 山口 賢造(マネーツリー株式会社 ビジネスディベロップメントディレクター)
    • 田中 裕之(SocioFuture株式会社 ソリューション企画本部 副本部長)
    • 千葉 孝浩(株式会社TRUSTDOCK 代表取締役 CEO)※モデレーター

    マイナンバーカード連携について(with サイバートラスト)

    fit2022_04写真左:千葉 孝浩(株式会社TRUSTDOCK 代表取締役 CEO)、写真右:田上 利博氏(サイバートラスト株式会社 マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 担当部長)

     最初にソリューション紹介を行ったのはサイバートラスト株式会社。1997年に開局した国内初の商用電子認証センターのインフラと組込みLinux OSの技術を融合したソリューションを提供する企業です。国内初のSSL/TLSサーバ証明書の発行を行った同社は、現在ではトラストサービス「iTrust」の提供に力を入れています。

     中でも、犯収法などで求められる本人確認をデジタル完結する「iTrust 本人確認サービス」では、マイナンバーカードを使ったオンラインでの本人確認手段である「公的個人認証」のプラットフォーム事業者として主務大臣認定を取得して、安全・安心な本人確認ソリューションの提供を実現しています。

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     同社でプロダクトマーケティングを担当する田上 利博氏は、「昨今ではディープフェイクのような技術の台頭が顕著だからこそ、画像にたよらない公的個人認証のような仕組みがますます求められている」と説明します。

    「簡単にお伝えすると、公的個人認証はマイナンバーカードのICチップの中にある個人を特定する情報が暗号化されて入っており、それが有効か失効されているかの情報だけオンラインでやりとりする仕組みになっています。よく『個人情報のやりとりがされて怖いのでは』と言われるのですが、個人情報そのもののやりとりは行われていません」(田上氏)

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     同社が提供する「iTrust」では、ここまでお伝えした公的個人認証を使った、オンラインでの本人確認のほかにも、運転免許証、在留カードに組み込まれたICチップ内情報を元に署名検証を行って本人確認書類の真贋判定を行う「券面情報検証サービス」をAPIとして提供しているので、オンラインで本人確認を行いたい事業者は、複数のセキュアな本人確認手法を選択できるようになっています。

     なお、ここ数年では契約時の本人確認だけでなく、「継続的顧客管理」の引き合いも増えていると、田上氏は続けます。

    「マイナンバーカードの仕組みを使えば、一度収集・確認した本人確認情報が有効か失効されているかが、簡単に判るようになります。金融庁の方でもアナウンスしている通り、金融商品を扱う事業者としては非常に重要なことだと思いますので、このような使い方の相談も増えている状況です」(田上氏)

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     最後に田上氏は、今後の展望について以下のようにコメントしました。

    「今までの顧客管理では、ユーザーに情報を入れてもらい、書面を確認して本人確認をするという流れが一般的だったと思いますが、マイナンバーカードのようなデジタル情報があれば、バックオフィスの業務は圧倒的に効率化します。そうなると、さらに別のビジネスに投資するという動きが、今後さらに活発になるでしょう。そのためにも我々は、それらを安全かつ安心にご利用いただくためのプラットフォームづくりをさらに進めていきたいと考えております」(田上氏)

    fit2022_08TRUSTDOCKでは、マイナンバーカードを様々な観点で活用できるデジタル身分証アプリも提供しています

    ※公的個人認証サービスの利用も含めた全国銀行協会のeKYC導入事例については、以下の記事をご覧ください。

    ▶︎全国銀行協会がTRUSTDOCKのeKYCサービスで本人開示手続きをデジタル化した理由

    ▶︎スペースシェア業界初(※1)、「スペースマーケット」が、TRUSTDOCKアプリによるマイナンバーカードの公的個人認証を導入実施。マイナンバーカードの利用シーン拡大に貢献

    ※マイナンバーカード利用とTRUSTDOCKのデジタル身分証を組み合わせた農林水産省の事例については以下の記事をご覧ください。

    ▶︎農林水産省がTRUSTDOCKのデジタル身分証アプリを導入した理由 〜金融DXサミットレポート前編

    フィンテックBaaS連携について(with インフキュリオン & マネーツリー)

    fit2022_09写真中央:吉中 慎氏(株式会社インフキュリオン 執行役員)、写真右:山口 賢造氏(マネーツリー株式会社 ビジネスディベロップメントディレクター)

     続いては、金融DXのメイン潮流として非常に注目されているBaaS(Banking as a Service)連携について、株式会社インフキュリオンマネーツリー株式会社が登壇しました。インフキュリオンは「決済 × テクノロジー」で強みを発揮するフィンテック企業で、BaaS基盤事業を始め、加盟店向けの決済ペイメント・ゲートウェイ事業や、各種コンサルティング事業などを手掛けています。またマネーツリーは、金融データプラットフォーム「Moneytree LINK®︎」をベースに、個人向け資産管理サービス「Moneytree®︎」および企業向けにデータ連携サービスを提供するフィンテック企業です。

     まずはBaaSの考え方について、インフキュリオンの執行役員である吉中 慎氏より説明がなされました。

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    「数年前より、従来の金融機関によるユーザーへの直接的な金融サービスの提供から、金融機関からサービス事業者に対して金融機能を提供するという動きが出てきました。そしてこのサービス事業者が、決済などの金融機能をサービスに組み込んだうえでユーザーへと提供する。このような『間接モデル』が、BaaSの基本的な考え方になります」(吉中氏)

     このBaaSについて、インフキュリオン・マネーツリー・TRUSTDOCKが積極的に連携しているのが、国際ブランドカード発行プラットフォーム「Xard(エクサード)」事業となります。

     Xardは自社ブランドとしての国際ブランドカード(VISAやJCB等)の発行ができるプロダクトで、カード発行からプロセシング業務まで、決済に関わる一連のプロセスをワンストップで実現できることが特徴となっています。

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    「たとえば最近ですと、2022年8月にLayerX様にご導入いただき、法人支出管理サービス『バクラク』との一体型カードを構築し、バーチャルカードがリアルタイムで発行できるようになっています。ここでTRUSTDOCKさんには、本人確認業務の代行を担っていただいております」(吉中氏)

     一般的にビジネスカードをゼロからスクラッチで開発・導入しようとすると、長くて数年の開発期間が必要となりますが、XardにおけるLayerX導入プロジェクトの場合は、同社の開発能力の高さも相まって仕様の開示からたったの2ヶ月で開発完了したとのことです。このスピード感がBaaSの大きな特徴の一つだと言えるでしょう。

     一方でマネーツリーでは、クレジット機能を実現するための「与信管理」の部分を主に担っています。具体的には、同社の金融データプラットフォームである「Moneytree LINK」がXardスキームに採用されたことで、リアルタイムの金融データによる与信判断の精度向上に貢献しています。

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     これについて、マネーツリーでビジネスディベロップメントディレクターを務める山口 賢造氏は、以下のようにコメントします。

    「弊社では法人のお客様から同意のもとで口座情報やクレジットカード情報を集め、それらをMoneytree LINKプラットフォーム上に集約・管理しています。現状2,500以上の金融サービスに対応しており、そこから各事業者が利用したい情報を、API連携によって提供できるようにしているわけです。LayerX様の取り組みはまさに、昨今で引き合いが特に多くなっている融資・決済領域での事例となります」(山口氏)

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     このようにAPIエコノミーの一環として、積極的にTRUSTDOCK含めた他企業との連携を進めている両社から、最後に、今後のアライアンスや協業についてのコメントがなされました。

    「当社のビジネスモデル全体を俯瞰すると、Wallet Stationと呼ばれるAPI連携基盤があり、そこを中心としてeKYCや口座情報など様々な事業者をAPIで連携し、多様なサービスをシームレスに提供しようとしています。そのようなことからも、今後さらに多様な企業様と連携できたらよいなと考えています」(吉中氏)

    「先ほどお伝えした融資・決済領域のほかに、投資やライフプランシミュレーション領域でのご相談も増えています。弊社では約40行の銀行様と連携をしているのですが、そこに溜まったデータの活用先の一例として、たとえば保険業界におけるライフプランシミュレーションを銀行の窓口販売などで展開する、といった使い方もご提案できると考えています。このような新しいデータ活用の活路が色々とあると思うので、積極的に提案していきたいと考えています」(山口氏)

    fit2022_14TRUSTDOCKでは、あらゆる取引や手続きに対応する形で、本人確認にまつわる機能をAPIで提供しています。今回のXardでの連携事例においても、必要な機能だけを柔軟にAPI連携できるという点が大きなポイントとなっています

    BPO連携について(with SocioFuture)

    fit2022_15写真右:田中 裕之氏(SocioFuture株式会社 ソリューション企画本部 副本部長)

     最後はBPO連携について、SocioFuture株式会社が登壇しました。同社は金融機関向けの金融サービスをはじめ、行政サービスや健康サービスなど、生活の各シーンにおけるインフラをサポートする事業を多角的に展開している企業となります。

     今回はその中でも「eKYC × BPO」ということで、本人確認領域におけるBPOの仕組みに関する連携内容となります。これまでも同社では、主に業務オペレーションのアウトソーシングにおいて強みを発揮していたわけですが、この度TRUSTDOCKとの連携開始によって、よりシステム化に寄ったスキームの提案も強化できるようになったと、ソリューション企画本部 副本部長の田中 裕之氏は説明します。

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    「たとえば金融機関に向けては、営業店の効率化のご相談を多くいただきますので、当社が窓口業務の一部をご支援させていただいております。またWebサイトで行われているカード再発行などの手続きについても、eKYCなどを導入いただくことで効率化を実現できるように考えています。いずれも、当社のセンターの方で対応して、誰一人取り残されない生活インフラの実現を目指して展開しています」(田中氏)

     eKYCと聞くと「オンラインで実施する本人確認」とイメージされる方がほとんどだと思いますが、たとえば無人店舗での活用など、オフラインシーンでの活用も実は増えています。SocioFutureとの連携においては、このように、アシスト以外の人員を配置しないような店舗等オフラインの場におけるeKYCの実施も可能になると、TRUSTDOCKの千葉は補足します。

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     現在検討中のスキームではありますが、このeKYCを活用したオンライン諸届受付スキームについて、田中氏は紹介を続けます。

    「たとえば先ほどお伝えしたカードの再発行シーンにおいて、現状は紛失者が支店へと来店して各種手続きを進める必要があります。これをeKYCスキームを活用することで、本人確認を当社が代わりに実施し、最終的なオペレーションまでを実施するということを考えております」(田中氏)

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     また昨今では、個人だけでなく法人の確認(KYB:Know Your Business)の引き合いも増えていると田中氏は説明します。KYBとは、要するに会社の登記簿謄本や担当者の存在確認などの一連の確認業務のことを指します。

    ※法人確認については、以下の記事も併せてご覧ください。

    ▶︎あらゆる企業・業界で必要となる「法人の本人確認」とは?3つのチェックポイントについて解説

     

    「“諸届”と言っても、様々な業務があります。たとえば窓口業務だと、相続業務など多様なオペレーションがありますので、セキュアな形での運用を前提に、お受けできる領域を広げていきたいと考えています」(田中氏)

    fit2022_19TRUSTDOCKでは、組織体制やオペレーションなど多様な環境などに合わせて柔軟に、システムおよび業務を組み合わせたソリューションを提供しています

    金融DXの実現には、他社を信じて連携することが大切

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     4社それぞれとの連携の取り組みの紹介を経て、最後にTRUSTDOCK代表の千葉より締めのコメントがなされました。

    「本日はマイナンバーカード、フィンテックBaaS、そしてBPOという3つの連携テーマで、それぞれお話をしていただきました。現在構築されているインフラや社会環境を保つためには、みんなで手を取り合って連携しながら進めることが大切だと考えています。一社だけではデジタル社会を形成し得ないなと、日々の業務をやっている中でひしひしと考えているからこそ、他社を信じて連携することが、今の日本社会のフェーズになってきているのではないでしょうか」(千葉)

     

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     TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。府省庁においては、金融庁には具体的な業務内容の確認を行い、総務省のIoTサービス創出支援事業では本人確認業務の委託先として採択されました。また、警察庁には犯罪収益移転防止法準拠のeKYCの照会等を行い、経済産業省とはマイナンバーカードを活用した実証実験や省内開催の研究会等でご一緒しています。

     本人確認業務のオンライン化を進める際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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     また、eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々のために、TRUSTDOCKではPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しております。eKYC導入までの検討フローや、運用設計を行う上で重要な検討項目等を、計12個のポイントにまとめていますので、こちらもぜひご活用ください。

    eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト

     

     さらに、パネルでもお話のあった継続的顧客管理については以下のホワイトペーパーで簡潔にポイントをまとめてお伝えしているので、こちらも併せてご確認ください。

    amlcft_handbook_main

     

    なお、eKYCの詳細については以下の記事でも詳しく説明しているので、併せてご覧ください。

    ▶︎ eKYCとは?オンライン本人確認を徹底解説!メリット、事例、選定ポイント、最新トレンド等

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    (文・長岡武司)

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