フィンテック10年の答え合わせと、次世代が創る「デジタルファースト」な未来【FIN/SUM 2026 登壇パネルレポート】

イベント/セミナーレポート

更新日: 2026/03/27

目次

    こんにちは。TRUSTDOCK 広報チームです。

    金融庁と日本経済新聞社が2016年より共催している、国内最大級のフィンテック・サミット「FIN/SUM」。
    本サミットでは、金融とテクノロジーの融合「FinTech」をテーマに、金融機関やIT企業、スタートアップ、研究者などさまざまな関係者が集まり議論を行います。AI、ブロックチェーン、デジタル金融、規制対応(RegTech)といった多岐にわたるテーマが扱われ、金融イノベーション促進や産官学連携の強化、各社の交流の場として活用されています。

    長年本サミットのパネルに登壇し、eKYC(オンライン本人確認)に関する最新情報を発信しているTRUSTDOCKですが、今年は10周年という記念すべきタイミングで代表取締役・千葉が登壇しました。この記事では、パネルでの議論の模様をダイジェストでお届けいたします。
    「金融の主語は、もう変わっている!? 〜規制・ID・AI・投資の現場から」というテーマのもと、FIN/SUM初期から時間をともにしてきた専門家の皆さまとともに、金融トピックスでこの10年を振り返ります。

    ※本記事の内容は取材日時点のものとなります。

    登壇者情報

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    (写真右から)
    三輪 純平(国立リベラルアーツ 代表取締役/フィンテック協会 常務理事)

    北澤 直(Eight Roads Ventures Japan ベンチャーパートナー)
    千葉 孝浩(TRUSTDOCK 代表取締役CEO)
    山田 康昭(GiveFirst 代表取締役CEO)※モデレーター

    フィンテックの10年と、暗号資産(クリプト)の歩み

    FIN_SUM_セッション用スライド

     

    パネルでは、FIN/SUMが始まった2016年から10年間の金融ニュースをまとめたスライドが投影され、こちらを元にセッションが展開されていきました。

    まず話題に上がったのは「暗号資産(クリプト)」についてです。
    モデレーターの山田康昭氏から「この10年間の中では、とりわけ暗号資産を取り巻く環境が非常に重要なテーマだと思っています。日本においてどのように変化してきたのか、そして今後は日本の経済にどのような影響を及ぼすのかについて、皆さんにお聞きしたいです」と、登壇者に向けて論点が提示されました。
    2018年のコインチェック事件、そして近年のFTX破綻。暗号資産(クリプト)の歴史は、常に大きな事件と隣り合わせでした。元金融庁で規制に携わっていた三輪純平氏は、当時の行政の立場を「育成と監督のジレンマだった」と振り返ります。

     

    三輪 純平氏

    三輪 純平氏(国立リベラルアーツ 代表取締役/フィンテック協会 常務理事)


    三輪氏「暗号資産については、コロナ禍頃までたびたびハック事件が起きるスリリングな状況でした。日本は世界に先駆けて規制を作りましたが、10年経ってもまだ『おばあちゃんが安心・安全に使える』レベルには到達していません。これは今も続く現実的な課題です」

     

    このような日本の状況を踏まえ、米コインベースの日本代表を務めた経験を持つ北澤氏は、日本の規制環境が持っていた「先見性」を高く評価しました。

     

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    北澤 直氏(Eight Roads Ventures Japan ベンチャーパートナー)

     

    北澤氏「米国ではつい最近まで明確なルールがありませんでした。SEC(証券取引委員会)の厳しい姿勢もあり、米国で事業ができず海外へ逃れざるを得ない時期すらあったのです。日本がいち早く法制化したことは、非常に先進的だったと言えます」

     

    北澤氏の話を受けて、三輪氏は、規制が複雑化・重層化することの副作用を指摘しました。三輪氏の「行き過ぎた規制が、かえってUX(顧客体験)を阻害している側面はないか」という問いは、次の10年への重要な宿題として提示されました。

    日本のスタートアップが直面する課題と、法規制の「背骨」

    続いて、日本のフィンテック・スタートアップの現状についての議論へ。
    山田氏からは「この10年、スタートアップにもっと資金が集まり、ユニコーン企業が生まれる環境が作れたのではないか」と、現状に対する率直なもどかしさや危機感が語られました。
    これに対し、ベンチャーキャピタリストの視点を持つ北澤氏は、「海外から見れば日本の市場規模は依然として大きく、決して外せない市場」であると指摘。日本のスタートアップはユーザーの「ペインポイント」にきめ細かく寄り添うサービスを生み出しており、メガバンクや巨大テック企業による買収(M&A)といったイグジットも増えつつあると、今後の資金循環への期待を語られました。
    三輪氏は、日本の起業家が「金融規制を勉強しすぎている」傾向があり、現行の法律の壁を前に萎縮してしまう課題を挙げました。

    この法規制とビジネスの壁について、弊社千葉からは「法規制の『背骨』を理解することの重要性」をお話しました。

     

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    千葉 孝浩(TRUSTDOCK 代表取締役CEO)

    千葉「法規制で書かれている『HOW』の部分、目の前の具体的な手法は時代とともに改正されていきますが、その根底にある『消費者保護』といった守るべき背骨の部分は、実はそれほど変わりません。『本来、何を問題視し、何を守るための法規制なのか』という原点さえ見失わなければ、たとえ法規制の形が変わったとしても、新しいテクノロジーを携えたスタートアップがそこに参入し、貢献できる領域はまだまだ無限にあると考えています。当社も萎縮せずにトライしていきたいと思います。」

    AI×ブロックチェーンの融合と、逃げ切れない変革の波

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    山田 康昭(GiveFirst 代表取締役CEO)

    山田氏「AI×ブロックチェーンという技術の側面だけではなく、技術が作る新しい金融のエコシステムについても考えたいと思います。エコシステムというのは、産官学が連携して同じ方向を向くことで作られます。先ほどの千葉さんの言葉を借りると、『背骨』の部分で意思統一していくことが重要なのではないでしょうか」

    この話を受けて、北沢氏は「技術の進化は加速度的であり、既存のビジネスモデルや規制にしがみついて『逃げ切れる人』はもう誰もいない」と断言。メガバンクなどの大手金融機関も、AIの台頭によって変わりつつある現状を語りました。
    三輪氏も、役所から民間、教育へと立場を変えることで見える景色の変化に触れ、常に新しい視点を取り入れる「リベラルアーツ(自由な学び)」的な姿勢が不可欠であると説きました。

    弊社千葉は、超高齢社会・デジタルファーストの日本において、AIは「誰もがポケットに入れている、世界一頭のいいバディ(相棒)」になると表現しました。

    千葉「私はかつて漫画家を目指していたこともあり、画像や動画の生成テクノロジーを積極的に使っています。今や自分自身のクローンを作り、自分の声を学習させて精巧に喋らせることも可能になりました。
    なりすましやAIによる偽造、フェイクニュースの氾濫といったリスクについて、私たちも日々向き合っています。しかし、国も『デジタルファースト』を掲げ、超高齢社会において機械やデジタルを主役にする方針を打ち出しています。この流れは、もはや後戻りできない不可逆なものです。
    若い世代は、既にAIとごく自然に、器用にコミュニケーションを取っています。その姿を見ていると、次世代は私たちが懸念するような課題を軽々と乗り越え、技術とうまく付き合っていくのではないかという、非常に明るく楽観的な予感を持っています」

    次の10年へ向けた「背骨」となるメッセージ

    最後に、登壇者の皆様からこれからの10年を生き抜くための「哲学」が語られました。

     

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    三輪氏「立場を変えて現場の悩みを聞き続けること。安全地帯に留まらず、自ら一歩踏み出すことが重要です」
    北澤氏「技術はあくまで手段です。そのサービスが『何を解決し、誰のためにあるのか』という本質を忘れないでください」
    山田氏「何よりもワクワクする心を。AIによって個人の生産性は10倍に上がります。この可能性をみんなで面白がりましょう」
    千葉「AIという『世界一頭の良い相棒』を味方につけて、年齢に関係なく新しい景色を恐れずに作っていきましょう」

    山田氏は、琵琶湖に人工サーフィン施設を作ろうとしている起業家を例に挙げ、「一見無謀に見える挑戦を面白がり、お互いを称え合う文化こそが新しい価値を生む」と締めくくりました。

     

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    FIN/SUM 創成期から交流を深めてきた皆さん。パネル前の打ち合わせから議論のアイデアが尽きず、この10年をともに歩んできた仲だからこその、活発な議論が交わされたパネルでした。

    金融の主語は、テクノロジーという武器を手にした「個人」であり、それらが繋がり合う「エコシステム」へと変わっています。本パネルは、これまでの10年の振り返りや目下の重要トピックスの議論とともに、さらなる進化が待ち受ける次の10年への、力強いキックオフとなりました。
    TRUSTDOCKも、法規制の「背骨」をしっかりと捉えながら、デジタル社会のインフラとして、安全安心な社会活動を支えてまいります。

     

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    「TRUSTDOCK」は、eKYC(オンライン本人確認)業務に関するソリューションを、顧客ニーズに合わせてワンストップでご提供するサービスです。
    法人確認や反社会的勢力リスクチェックにも対応しており、さまざまなAPIを組み合わせて、行政・金融・人材・不動産・ECなど幅広いサービスでスマートな身元確認を実現しています。
    さらに、APIやSDKなどテクノロジー基盤の提供だけではなく、24時間365日の確認作業まで一気通貫で対応。本人確認業務における「法令対応」「テクノロジー」「業務プロセス」のすべてを一体化し、“適切な本人確認がなされている状態”を提供するBPaaS(Business Process as a Service)モデルのeKYCサービスとして、最適なDXソリューションをご提案いたします。

    また、本人確認業務に関して関係省庁や関連団体との連携も深めており、金融庁には業務内容の確認を、経済産業省とはRegTechについての意見交換を、さらに総務省のIoTサービス創 出支援事業においては本人確認業務の委託先として採択され、警察庁には犯収法準拠のeKYCの紹介などといった取り組みも行っています。

    本人確認業務のオンライン化、業務のDXなどでお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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     なお、eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々のために、TRUSTDOCKではPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しております。eKYC導入までの検討フローや、運用設計を行う上で重要な検討項目等を計10個のポイントにまとめていますので、こちらもぜひご活用ください。

    eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト

     

    ※KYCやeKYCの詳細については、以下の記事もあわせてご覧ください。

    ▶︎eKYCとは?オンライン本人確認のメリットやよくある誤解、選定ポイント、事例、最新トレンド等を徹底解説!

    ▶︎KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説

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