一貫したBPOやeKYC運用の継続的なフィードバックプランを評価:徳島大正銀行様「とくぎんネット支店」の事例

eKYC/本人確認

更新日: 2024/05/31

目次

     人口構造の変化や融資先の減少、フィンテック企業等の参入に伴う市場のレッドオーシャン化など、金融機関を取り巻く環境はここ数年で劇的に変化しており、DXの必要性が日々高まっている状況といえます。

     様々なDX施策がある中でも、「インターネット支店サービス」の提供は多くの金融機関が積極的に取り組んでいるものの一つであり、口座開設の申込や残高照会、定期預金の預入れ等をパソコンやスマートフォンで 24時間365日いつでもどこからでも利用できるという来店不要なサービス形態が顧客にとっての大きなメリットとして認知されており、また金融機関にとっても人的コストの削減や新規顧客の開拓等に有効な施策として期待されています。

     今回は、そんなインターネット支店を、徳島県に本店を置く金融機関として初めて開設(2024年2月26日)した株式会社徳島大正銀行様による、TRUSTDOCKの本人確認ソリューション導入についてです。どんな背景・経緯からTRUSTDOCKを選定され、また運用開始後にどのような効果を実感されているのか。同行のご担当者、およびシステム開発構築を主にご一緒した情報工房株式会社様のご担当者に、それぞれお話を伺いました。

    本記事のポイント

    【ニーズ】

    ・スピーディーにeKYCを導入したい
    ・BPO含めて運用を一気通貫で対応してもらいたい
    ・定期的に運用のフィードバック/改善提案をお願いしたい

    【導入後の効果】

    ・10ヵ月で導入完了/サービスイン
    ・「ホ」方式で本人の容貌撮影があるので、本人確認資料の画像やコピーの提出だけの方式と比べて安心感があり、精神的な負担がかなり軽減できている

    導入サービス:徳島大正銀行の「とくぎんネット支店」

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    https://www.tokugin.co.jp/kojin/tsukau/net_branch/

     

    2024年2月に開設された、実店舗を持たない「インターネット専用支店」。日本国籍を持っていて、日本国内に居住している満18歳以上の個人であれば、店舗がない地域のユーザーであっても口座開設を申込みできる。また、パソコンやスマートフォン、全国の提携ATMを通じて、いつでもどこでも取引が可能。とくぎんネット支店限定の特別金利定期預金を取り扱っている。

    利用しているeKYC本人確認API

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    ✅ eKYC「ホ」※BPO(プロフェッショナルサービス)有

     

    「とくぎんネット支店」の口座の開設時における本人確認業務において、TRUSTDOCKが提供する犯罪収益移転防止法に準拠したeKYC本人確認サービスが活用されています。

    担当者プロフィール

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    (写真右)柏原 宜典[かしはら よしのり
    株式会社徳島大正銀行 営業企画部 部長代理

    (写真左)須賀森 信隆[すがもり のぶたか]
    情報工房株式会社 フィンテック事業部

    企画検討開始から10ヵ月ほどで「とくぎんネット支店」を開設

    --まずはお二人の普段のお仕事内容について教えてください。

     

    柏原:営業企画部という部署で、個人のお客さま向け商品・サービスの企画運営を担当しております。当部署は今回のネット支店開設の企画や、銀行アプリなども手がけており、それらに付随してシステムが絡むのであれば、そういったところも含めて対応しています。

     

    須賀森:フィンテック事業部という部署で、金融機関様向けに主にWebサービスをご提供しています。その中で私自身は企画営業として、新しい案件の企画やご提案/ご案内などをさせていただいております。今回のプロジェクトにつきましても、徳島大正銀行さんとTRUSTDOCKさんの間に入り、システム開発の部分をご一緒させていただきました。

     

    --今回「とくぎんネット支店」の開設に伴う導入ということですが、そもそもどのような背景からインターネット支店を企画するに至ったのでしょうか?

     

    柏原:弊行は、四国地区、大阪地区、東京地区をつなぐ店舗ネットワークを持っており、これを強みとした営業やサービスを展開しています。このネットワークを活かした対面サービスに加えて、非対面サービスの充実を図るとともに、さらに顧客基盤を拡大していくために、お住まいの地域によらず口座を開設できる体制を整備していくこととしました。これが2023年春頃でした。

     

    --サービス開始が2024年2月26日なので、企画検討から1年に満たない期間でサービスインまで進められたということですね。金融機関様のお取り組みと考えると、一般的な進め方よりも随分とスピーディーな印象です。

     

    柏原:検討事項は少なくありませんでしたが、経営サイドと急ピッチで協議を進め、結果として10カ月ほどでサービスインする運びとなりました。当時を振り返って、限られた人員リソースでの効率的な運営が一番の検討課題だったと思います。

    BPOで一気通貫に対応してもらうことが必須だった

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    --インターネット支店ということで、オンラインでの本人確認(eKYC)が必須要件だったのでしょうか?それとも、ハガキ等郵送手段による本人確認の可能性もあったのでしょうか?

     

    柏原:実はとくぎんネット支店の開設以前においても、郵送による非対面での口座開設は基本サービスとしてありました。ただ、一つひとつの本人確認資料の突合や資料の真正性のチェックなど、相応な量に対してかなり神経質な対応をする必要がありました。その負担感を実感値として理解していたため、今回は自社での郵送手法ではなく、専門事業者によるeKYC手法でお願いしたいと考えておりました。

     

    --複数のeKYC事業者及びサービスがあったかと存じます。どのような観点で情報収集をされ、TRUSTDOCKをご存知になったのでしょうか?

     

    柏原:eKYC導入となったときに、まずは情報工房さんに相談しました。その話し合いの中で業界シェアやすでに導入されている企業や団体を参考に4社に絞って比較検討し、TRUSTDOCKさんに魅力を感じたというのがきっかけです。

     

    須賀森:最適なツールというものは、当然ながらお客様によって異なってきます。一定の実績などの情報は参照しつつ、弊社としてはAPIさえあれば柔軟に対応していこうと考えておりましたので、そのような観点からフラットな目線でご提案をさせていただきました。

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    --4社の中からTRUSTDOCKを選定いただいた際のポイントを教えてください。

     

    柏原:実際に使ってみないと分からない部分があるものの、公開情報やご提案情報を拝見する限り、一貫したBPOによる本人確認業務の実績が豊富な点や、OCR等によるチェック機能が基本的に充実している点、さらには定期的な運用設計等のフィードバックもプランとしてしっかりと用意されている点を踏まえて、TRUSTDOCKが最適だと判断いたしました。特にフィードバックがあると、金融機関としては安心だなと感じます。

     

    --BPOは必須だったのでしょうか?

     

    柏原:必須でしたね。先ほど申し上げた非対面での対応を自行で行うとすると、いくらシステムである程度の自動化がなされるとしても、相応の確認作業は必要になると考えています。神経を使った作業が必要になりますし、日々の対応件数も増減する可能性があるので、そのための人員を整備する必要もありますよね。徳島というロケーションに鑑みてもなかなかスタッフが集まらないと想定されたので、それであればBPOで一気通貫にご対応いただくことが必須だと判断しました。

    eKYC導入によって精神的な負担がかなり軽減できている

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    --TRUSTDOCK導入の感想を教えてください。

     

    柏原:開発部分については情報工房さんがTRUSTDOCKさんと密にやり取りしてくださったので、当行としてはあまり開発にタッチしなくともシステムが作られていったのは、非常に有り難かったと感じています。期間としてもスピーディーにご対応いただき、逆に我々のチェック待ちで遅れが生じて申し訳なかったくらいでした。限られた期間の中で「本当にできるのかな」というところから、途中から「無事にできそうだ」に変わってきて、心身的に非常にありがたい対応をしていただいたと感じています。

     

    須賀森:今回TRUSTDOCKさんのeKYCは初めてだったので若干不安はあったのですが、APIがしっかりと揃っているということで、開発期間のさらなる短縮につながったのかなと感じています。またマニュアル類も充実しており、分からないところがあっても都度問い合わせ対応を丁寧にしていただきながら、スムーズに進めることができました。

     

    --TRUSTDOCK導入後の運用体制としてはいかがでしょう?

     

    柏原:運用は別の部門が担当しています。最初こそは新しいシステム対応ということで若干のとまどいもあったのですが、触ればすぐにわかるほどのシンプルさということで、現在は問題なく運用できております。

     

    --TRUSTDOCK導入によってどのような効果を感じていらっしゃいますか?

     

    柏原:eKYCの「ホ」方式では本人の容貌撮影があるので、本人確認資料の画像やコピーの提出だけの方式と比べても、かなりの安心感がありますね。なかなか定量的にお伝えできない部分ではありますが、精神的な負担がかなり軽減できていると思います。

    ほとんどそのまま導入できるという感覚で進めることができた

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    --改めて、プロジェクトを通じて感じられた、TRUSTDOCKの良いところを教えてください。

     

    柏原:やはり、BPOが24時間365日体制で対応いただき、すぐに回答いただけるというのは大きなメリットだと感じています。また導入部分でお伝えすると、先ほど情報工房さんからもありました通り、側で見ていてもAPIが充実している印象を受けましたので、それ故に開発がスムーズにいったところも多分にあるのかなと思います。運用設計にあたっても、事前にある程度分かってはいましたが、これまで培われてきた様々な事業者さまの実績があって、しっかりとパッケージ化されており、かつチェック項目も内製化されているので、ほとんどそのまま導入できるという感覚で進めることができたのは、さすがだなと感じました。

     

    須賀森:弊社としましても、質問に対して迅速丁寧にご対応いただくなど、「一緒にいいものを作りましょう」という姿勢でご対応いただいたので、非常にやりやすかったと感じています。今後も引き続き、この協力体制でご一緒できたらと考えています。

     

    --エンドユーザー様からの、本人確認オペレーションについてのお問い合わせに関してはいかがでしょうか?

     

    柏原:とくぎんネット支店に関しては高齢のお客さまのお申込もありますが、想定していた以上に問い合わせが少なく、今のところ使いにくいといった声もほとんどなくて安心しています。

     

    --ありがとうございます。それでは最後に、読者の皆さまに一言お願いします。

     

    須賀森:APIが揃っていたり、BPOでチェックいただけたりと、比較的お任せできる仕組みだと思っておりますので、あとは使い方の工夫かなと。こういう場面で使いたい等の要望があれば、思い切ってTRUSTDOCKさんに投げてみてもいいのではないかと思います。

     

    柏原:今回のように新しく業務領域を広げる際には色々なリソースが必要になってくるものですが、そういったことをあまり心配せずに、一括して業務をお願いできる会社さんだと思います。その上で、継続的にフォローやフィードバックをしていただけるときちんと明記されているので、安心してご相談できる存在だと感じております。

     

    ---

     TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を計10個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。

    eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト

     

     なお、KYCやeKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。

    ▶︎KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説

    ▶︎eKYCとは?オンライン本人確認のメリットやよくある誤解、選定ポイント、事例、最新トレンド等を徹底解説!

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    (文・長岡武司)

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