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不動産クラウドファンディングで求められる本人確認要件とは?業界特有のeKYC活用方法を解説

法/規制解説

更新日: 2021/12/24

目次

     ここ数年で爆発的な成長を遂げている資金調達手法・クラウドファンディング。2021年6月に矢野経済研究所が発表した調査結果によると、2020年度(2019年4月~20120年3月)の国内クラウドファンディング市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで前年度比17.6%増の1,841億円と推計されています。特に2020年以降のコロナ禍においては、COVID-19関連のプロジェクトも多く立ち上がり、資金調達に加えた“情報発信の場”として、実行力の伴ったオピニオンメディアへと昇華していると言えるでしょう。

     その範囲は不動産投資の領域にも波及しており、少額からの投資参画が可能な不動産クラウドファンディングも、今や様々なサービスが立ち上がる状況となりました。

     今回は、そんな不動産クラウドファンディング事業における本人確認について。犯罪収益移転防止法に準拠した本人確認の要件から、番号法に準拠したマイナンバー取得の方法、さらには具体的なeKYCの実装イメージ等について、それぞれ解説していきます。

    不動産クラウドファンディングとは

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     不動産クラウドファンディング(もしくは不動産投資型クラウドファンディング)とは、インターネットを通じて投資家から資金を集め、不動産を賃貸ないしは購入し、賃貸料のようなインカムゲインや売買益のようなキャピタルゲインを投資家へと分配する不動産投資手法です。

     今でこそ複数の不動産クラウドファンディングサービスがありますが、実はこの手法が普及するきっかけとなったのは2017年、まだ最近のことです。具体的には、2017年3月に「不動産特定事業法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、同年6月に公布、12月1日に施行されました。また2019年4月には、政府による「未来投資戦略2018」を踏まえた、不動産クラウドファンディングを促進するための改正も実施されており、数万円の自己資金があれば不動産投資を始めることが可能となりました。まずはこの経緯について、簡単に見ていきましょう。

    不動産特定共同事業法の改正がもたらしたこと

     2017年以前は、不動産投資といえば大きくは「現物不動産投資」と「小口化不動産投」の2種類が存在しました。前者は、アパートやマンションといった物件を購入し、オーナーとして賃貸料を得たり売却益を得るという最も一般的な手法で、後者は、ビルのような高額な不動産に対して価格を分割し複数の投資家で共有持分権を持つという方法になります。

     しかし、これでは一部の資金が潤沢にある個人・法人しか手を出すことができません。そこで出てきた概念が「不動産の証券化」です。つまり、上述したような不動産投資で生じた利益を得る権利を証券として配り、数万円程度という少額であっても投資に参画できるようにするということです。

     従来でも匿名組合契約に基づく証券化というものは行われていたのですが、2017年の不動産特定共同事業法の改正によって、不動産特定共同事業の契約における「電子処理」が可能となりました。これにより、電子取引業務を的確に遂行するために必要な体制を整備した上で国土交通省(不動産特定共同事業法の所管)による許可等を受けることで、不動産クラウドファンディング事業を行うことができるようになったというわけです。

     さらに2019年4月には、先述したとおり、不動産クラウドファンディングを促進するための改正が行われ、不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドラインの策定の他、不動産特定共同事業法施行規則の改正や不動産特定共同事業への新設法人の参入要件の見直しなどがなされました。特に2番目の施行規則改正は、個人等による長期・安定的な不動産クラウドファンディングへの参加を促進することを目的に行われており、また3番目の新設法人の参入要件の見直しについても、クラウドファンディング事業への参入要件の緩和がなされているので、事業者・利用者共に参画しやすい土壌が整備されていったといえます。

    ポイント①:犯罪収益移転防止法の「特定事業者」としての対応

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     先述したとおり、不動産クラウドファンディングは不動産特定共同事業法における不動産特定共同事業者としての規制を受けるわけですが、それと同時に、犯罪収益移転防止法における「特定事業者」としても指定されており、顧客と一定の取引を行う際に「取引時確認」を行う必要があります。

     この取引時確認の一つとして、「本人特定事項」、すなわち本人確認の実施が含まれています。本人確認といえば、古くは銀行等の金融機関における口座開設の際に窓口で免許証等の本人確認書類を提出するイメージがあると思いますが、2018年11月公布の改正犯収法をきっかけに、昨今では非対面による本人確認、いわゆる「eKYC」の実施が増えています。不動産クラウドファンディングは、基本的には契約締結含めてオンライン上でのやりとりが前提となるので、必然的に本人確認の実施もeKYCによるものが主流となっていると言えます。

     なお、犯罪収益移転防止法については以下の記事で、その成り立ちから専門用語の説明まで詳しく紹介しているので、併せてご覧ください。

    犯収法(犯罪収益移転防止法)とは?各専門用語の意味や注意点から、定義されているeKYC手法まで詳しく解説

    自然人と法人、それぞれに対する本人確認

     ここで改めて、「本人確認」の定義や範囲について確認します。本人確認とは、一言で表現すると「その人が本人かどうか」を確認する作業になります。ここでいう本人とは、一般的には個人のことをイメージすると思いますが、犯罪収益移転防止法の定義では法人も含まれることになります。具体的には、「自然人」と「法人・人格のない社団又は財団」の2種類が存在し、それぞれにおいて確認すべき内容やアプローチが異なることになります。

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     自然人の本人確認には、公的書類によりその人の属性情報と実在するかの存在確認をする「身元確認」と、この瞬間にこの場所にいる人が本当に本人なのかを確認する「当人認証」という、2つの業務に分類できます。

     また法人の本人確認では、履歴事項全部証明書等を使った「法人の本人特定事項の確認」と、委任状確認や電話チェックなどによる「特定取引の任にあたることの確認」、そして取引担当者本人への「本人特定事項の確認」という、主に3つの業務に分類できます。

     不動産クラウドファンディングの場合、投資家が個人名義の場合は個人に準拠した本人確認が必要であり、一方で法人名義の場合は、法人に準拠した本人確認が必要となります。本人確認そのものの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。

    KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説

    不動産クラウドファンディング事業者で多く採用されるeKYC手法4つ

     犯罪収益移転防止法に準じた確認方法としては、施行規則六条1項1号にイ・ロ・ハ・ニ・ホ・ヘ・ト・チ・リ・ヌ・ル・ヲ・ワ・カの計14パターンが定義されています。不動産クラウドファンディング事業においては、この中の「ホ」「ヘ」「リ」「ワ」が、特に多く採用されています。

    専用ソフトウェアにて、写真付き書類の写し1点(厚みその他の特徴&本人確認時に撮影されたもの)の送信

    容貌(本人確認時に撮影されたもの)の送信
    専用ソフトウェアにて、写真付き・ICチップ付き本人確認書類のIC情報の送信

    容貌(本人確認時に撮影されたもの)の送信
    本人確認書類2点の送付 or 本人確認書類の写し1点+補完書類1点の送付

    転送不要郵便物等
    公的個人認証(電子署名)

     

     この4手法の詳細については、以下の記事で動画とともに個別解説していますので、併せてご覧ください。

    よく使われるeKYC手法【4選】。100社以上の運用実績から見えてきた傾向を解説

    ポイント②:投資家のマイナンバー取得

     不動産クラウドファンディングのように金融商品を運用する事業者は、税金の納付代行に付随して「不動産等の譲受けの対価の支払調書」や「不動産の使用料等の支払調書」といった法定調書を作成し、税務署へ提出しています。その際に事業者は、所得税法等によって法定調書に不動産の売主または貸主のマイナンバーを記載することが義務付けられており、それ故に、投資家のマイナンバー取得をする必要があるのです。

     具体的には内閣府ページにも記載されているとおり、以下の条件に該当する場合に、投資家のマイナンバー取得が必要となります。

    取引

    取引先
    (売却先又は賃貸先)

    条件
    不動産売買 法人又は不動産業者である個人 同一の取引先からの売買代金の受取金額の合計が、年間100万円を超える場合
    不動産賃貸 法人又は不動産業者である個人 同一の取引先からの家賃・地代などの受取金額の合計が、年間15万円を超える場合

    ※ 主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる個人の方を除く

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    画像出典:不動産の売主・貸主のみなさまへ 取引先へマイナンバーの提供をお願いします

     もう一つ、マイナンバーの提供を受ける事業者(買主または借主)は、投資家の本人確認(番号確認と身元確認)も併せて行う必要があるとされています。マイナンバーカードの表面で身元確認をして裏面でマイナンバーの確認をするというケースもあれば、運転免許証等で身元確認をして通知カードでマイナンバーの確認をするというケースもあるでしょう。

     いずれにせよ、犯罪収益移転防止法に準拠した本人確認を行うのとは別でマイナンバー取得+本人確認を行うのは、投資家と事業者の双方にとって煩雑になることから、本人確認と同時にマイナンバー取得までをeKYCで行うことが望ましいと言えるでしょう。こちらについては、具体的なeKYC手法の章で後述します。

     なお、以下の記事でマイナンバーとマイナンバーカードの違いなどを含めたマイナンバー取得に関する詳細を解説しているので、こちらも併せてご確認ください。

    マイナンバー取得時に必要な本人確認とは。できるケースとできないケースを解説

    マイナンバー取得も含めたeKYCのやり方

     TRUSTDOCKでは番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)に則り、番号確認書類および身元確認書類を確認の上、個人のマイナンバーを書き起こすというソリューション(個人番号取得業務API)を提供しています。

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     具体的には、先述したホ・ヘ・リ・ワの手法に対応するソリューションをAPI形式で提供しているため、この個人番号取得業務APIと組み合わせて利用することで、本人確認とマイナンバー取得を一続きに実施することができます。例えば「ホのAPI」との組み合わせを考えた場合、以下の通り、通常のホのフローに乗せる形でマイナンバーの取得ができるようになります。

    realestate_cf06ホのAPIで本人確認を実施するフロー

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    ホのAPIに個人番号取得業務APIを組み合わせた場合の本人確認実施およびマイナンバー取得フロー

     

     このようにTRUSTDOCKでは、あらゆる本人確認業務をAPIにてご提供することで、全ての業務をオンライン完結する仕組みを整えています。

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    不動産クラウドファンディング事業者がeKYCサービスを導入するメリット2つ

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     ここまで不動産クラウドファンディング事業者が実施すべき本人確認関連の要件を見ていきましたが、この対応を自社で独自に開発して行う場合と、本人確認を専業で行うeKYC事業者によるサービスを導入する場合の、大きく2通りの対応方針があるでしょう。最後に、後者を選択する場合のメリットについてお伝えします。

    各種コストの削減

     自社内で本人確認業務を行う場合、そこに対する適切な人員配置が必要となります。取得した本人確認書類の扱いに関するオペレーション教育はもとより、ユーザー登録者数の増減に合わせたシフト管理等が必要となるため、人材採用および管理に係るコストが大きくなることが想定されます。また、不動産投資では郵送による本人確認手法も根強く採用されていることから、郵送費用も嵩むことになります。

     これらの工数も含めた人員および管理コストについて、eKYC導入による削減が見込めるでしょう。

    対応スピードおよび顧客満足度の向上

     eKYC最大のメリットの一つは、本人確認等のスピード向上にあります。ユーザーである投資家にとっては、これまで必須だった自宅での郵送物の受け取りが不要になり、本人確認に要する時間を大幅に短縮できるようになります。また不動産クラウドファンディング事業者にとっては、上記理由に伴うサービス申込の離脱防止につながることが期待されます。

    本人確認のプロであるTRUSTDOCK

     以上、今回は不動産クラウドファンディング事業で求められる本人確認のポイントについて解説しました。新たな不動産投資の手法として認知が広がってくると同時に、安全・安心への取り組みもより求められるようになってくるからこそ、eKYCへのニーズはますます高まっていくことが想定されます。

     TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。インターネット異性紹介事業におけるKYCやeKYC、およびインターネット異性紹介事業に当てはまらないサービスでも本人確認業務等でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    金融庁には業務内容の確認を、経済産業省とはRegTechについて意見交換し、さらに総務省のIoTサービス創出支援事業においては本人確認業務の委託先として採択されました。もちろん、警察庁には犯収法準拠のeKYCの紹介等、行政や関連協会と連携して、適切な本人確認業務への取り組みを行っています

     

     また、eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々のために、TRUSTDOCKではPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しております。eKYC導入までの検討フローや、運用設計を行う上で重要な検討項目等を、計12個のポイントにまとめていますので、こちらもぜひご活用ください。

     

     なお、以下の記事でKYCおよびeKYCについても詳細に解説していますので、こちらも併せてご覧ください。

    KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説

    eKYCとは?日本唯一の専門機関のプロがわかりやすく解説

     

    (文・長岡武司)

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