政府主導の「働き方改革」やコロナ禍におけるリモートワーク推進の影響で、個人の働き方はますます多様化していると言えます。
中でもフリーランス形態での就業人口は増加の一途であり、ランサーズ株式会社が2021年11月に発表した調査結果によると、2021年10月時点のフリーランス人口は約1577万人で、過去最多となっています。
そんな拡大市場に向けて、早い段階から「オンラインファクタリングサービス」を提供しているのがペイトナー株式会社さまです。同社では2019年から、TRUSTDOCKの本人確認とコンプライアンスチェックのソリューションを導入しているとのことで、今回はその背景や導入のポイント等についてお話を伺いました。
調査結果はこちら導入サービス:先払い
https://paytner.co.jp/factoring/
取引先に送った入金前の請求書情報を登録することで、報酬を即日受け取ることができるオンライン型ファクタリングサービス。2019年9月26日にβ版、2020年10月8日に本格リリースを開始。手続きはすべてオンラインで完結し、面談や書面でのやり取りは一切不要。審査は最短60分で完了し、会員登録をした当日から利用開始できる。
利用している本人確認API
✅ 個人身元確認
✅ 記事DB検索サービス
「先払い」のアカウント登録時に、e-KYC/本人確認APIサービス「TRUSTDOCK」を使った個人身元確認を実施しています。
担当者プロフィール
野呂祐介[Yusuke Noro]
ペイトナー株式会社 共同創業者 最高執行責任者(COO)
フリーランスが抱える「資金繰りのシビアさ」を解消したい
--まずは「先払い」サービスの立ち上げ背景について教えてください。
野呂:弊社代表の阪井が前職で決済端末の営業をしていました。クレジットカード決済は、数日経ってから実際に決済された店舗へと還元される仕組みになっていまして、店舗サイドから「もっと早く売上が入ってこないと困る」といった声を日々受けていました。
一方で中小企業の場合はなかなか銀行からの借入等の事情も厳しく、資金繰りのシビアさや、売上が早く入ってくることのメリットについて、一次情報として多く触れていたようです。
そんな背景から、より深く多くの方々にヒアリングをしていくと、フリーランスの方も同じ問題を抱えていることが分かり、適切なスキームを提供すべく「先払い」を立ち上げました。
--「先払い」の立ち上げにあたって、どのような困難ポイントがあったのでしょうか?
野呂:一番は、私も代表の阪井も金融バックグラウンドがなかったということですね。いかに金融サービスとして成り立たせるかという部分で、様々な調査をしたり、有識者にアドバイスをいただいたりなどして、ロジックを組み立てていきました。あとは、請求書を買い取るスキームということで、当然ながらそのための資金プールを作るのも大変でしたが、どちらかというとそれは「ニーズがある」と分かってからの課題でしたね。
オンライン完結を最初から目指していた
--どのような経緯からTRUSTDOCKのことをご存知になって、選定に至られたのでしょうか?
野呂:一番大きかったのは口コミですね。複数の金融機関や投資家の方々にヒアリングした時に、良いサービスがあるとのことで紹介してもらったのがきっかけでした。当時は時間的な余裕や潤沢なリソースもなかったので、業界の中で一定の評判と実績があったTRUSTDOCKを、そのまま選定したという経緯があります。ほぼ即決で、話を聞いたその日に決めていたと思います。
--すごいスピード感ですね!eKYCのようなオンライン前提のもの以外に、アナログな本人確認(KYC)も手段としてあったと思うのですが、それは視野にはなかったのでしょうか?
野呂:なかったですね。たとえば我々の業界を見てみると、アナログに対面で契約を進めるファクタリングというものもあります。それらには課題があることがユーザーヒアリングからわかっており、基本的にオンラインで全てが完結するということを最初から目指していました。そのため、eKYCである必要がありました。
--ファクタリング業界において、アナログだと具体的にどのようなペインがあるのでしょうか?
野呂:一番は「明朗会計ではない」ということですね。つまり、行ってみて話を聞いてみて初めて手数料がわかる、ということです。もちろんその時点で利用の有無を決めれば良いのですが、ユーザーからしたら「せっかく出向いたわけだし、断りにくいし」ということで、手数料が高くても契約をするという力学が働くことになります。それがオンラインになって手数料を明示することで、ユーザーとしてもより納得感高く利用できるようになるというわけです。
もちろんこの他にも、実際に出向かなくて良いだとか、本人確認をはじめとした書類提出が簡単に実施できるというメリットもあります。
本人確認処理は全て自動で流れるように設計
--機能としては「個人身元確認」と「記事DB検索サービス」の2つをご利用いただいていますが、この2つをセットにされたのは何故でしょうか?
野呂:どちらも最低限必要な仕組みだと認識していました。ユーザーが間違いなく本人が使っているということも、反社会的勢力でないということも、金融サービスに限らず必須の項目だと思うので、最初からこの2つの機能をつけるようにしました。
--開発期間はどれくらいかかりましたか?
野呂:複数の開発を並行していたので、1ヶ月くらいはかかっていたと思います。なので御社への問い合わせから導入完了までは、およそ1ヶ月半ほどかかっていると思います。
--スピーディーですね。導入後の効果としてはいかがでしょうか?
野呂:まず、免許証の偽造といった不正を実際に弾けているというのは、期待通りの効果だと思いますし、事故を未然に防止しているという観点でとても有り難いと感じています。
また、ユーザー視点では、書類に記載されている個人情報の文字起こしもしてもらっているので、ユーザーの入力の手間を省くという意味でUXの向上にも寄与していると感じます。
--本人確認にまつわるオペレーションについては、社内でどのような体制で対応されているのですか?
野呂:全て自動で顧客とのコミュニケーションが行えるようにしています。TRUSTDOCKによるチェックで否認された場合も、自動で該当ユーザーにメッセージを送り、承認されなかった旨およびその理由などを通知するようにしています。
TRUSTDOCKのメリットは「信頼できるところ」
--改めて、TRUSTDOCKの良いところについて教えてください。
野呂:導入については、自動で判断いただけるエリアを運用設計書でしっかりと提示してもらっているので、分かりやすくてとてもいいなと思いました。人間によるアウトプットが必要なサービスは、運営の実態がわかりにくい例も存在する中で、ユーザーフレンドリーだなと感じます。
あと運用後については、2019年9月のサービス開始から現在に至るまで、安定して稼働してもらっているので、総じて「信頼できるところ」がメリットだと思っています。
--ありがとうございます。それでは最後に、今後の事業的な展望とTRUSTDOCKへの今後の期待について、それぞれ教えてください。
野呂:事業としては、引き続き「先払い」の開発・改善を通じて多くのフリーランサーのキャッシュフローに関するペインを解消していきたいと思っています。加えて、詳細はまだお伝えできませんが、「スモールビジネスにやさしい支払い・請求で新しい挑戦を後押しする」という会社のビジョンのもとで、新しいサービスの提供も予定しています。
すでにTRUSTDOCKとは2年以上のお付き合いとなりますが、新しいプロダクトでも引き続き信頼できるパートナーとして併走していただければと思います。
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TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を計12個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。
なお、KYCやeKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。
▶︎KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説
▶︎eKYCとは?オンライン本人確認のメリットやよくある誤解、選定ポイント、事例、最新トレンド等を徹底解説!
※『yup株式会社』は、2022年1月14日に社名を『ペイトナー株式会社』に、提供するオンライン型ファクタリングサービス『先払い』のサービス名を『ペイトナー ファクタリング』に変更しました。
(文・長岡武司)