金融関連のサービスでは、法令に基づきユーザーのマイナンバーを確認する必要な取引もあります。従来の金融関連サービスでは、マイナンバー確認業務を郵送による書類のやり取りで行うフローが一般的でした。
SUSTENキャピタル・マネジメント様では、マイナンバーの確認をオンライン化・自動化するために本人確認APIを導入。ソリューション選定の流れや導入作業、導入後の効果などについてSUSTEN様にお話を伺いました。
導入サービス:SUSTEN(サステン)
日本初の完全成果報酬型おまかせ資産運用サービス。従来の一般的な投資信託やファンドラップ、ロボットアドバイザー等の資産運用サービスでは、運用成果に関わらず預かり資産の残高および預かり期間に応じて費用が発生するが、SUSTENでは、資産運用を行っているだけでは費用は発生せず、投資家の運用資産の過去最高評価額を更新したときにだけ成果報酬が発生する。
利用している本人確認API
✅ 個人身元確認API
✅ 補助書類確認API
✅ 番号取得API
SUSTENでは、法令に基づき口座開設時にマイナンバーを提示する必要があること等から、口座開設時に以下いずれかの書類の組み合わせの提示を必須とし、本人確認を実施しています。
- マイナンバーカード(単体)
- マイナンバー通知カード(現住所記載)+ 写真付き身分証明書
- マイナンバー入り住民票(発行から6ヵ月以内)+ 写真付き身分証明書
担当者プロフィール
写真左:中村翔[Sho Nakamura]
株式会社sustenキャピタル・マネジメント 取締役
写真中央:益子遼介[Ryosuke Mashiko]
株式会社sustenキャピタル・マネジメント 取締役
写真右:山田記実[Kimi Yamada]
株式会社sustenキャピタル・マネジメント 総務本部 本部長
可能な限り自動化を進めたくてTRUSTDOCKを選定
--まずは本人確認導入時の背景を教えてください。
益子:SUSTENでは、金融商品取引業者としてサービスを提供しますので、本人確認対応は最初から必須要件でした。
当初から葉書を使った郵送フローを想定していたので、そのようなソリューションを提供するベンダーを探していました。
--TRUSTDOCKをご存知になったのもそのタイミングですか?
益子:そうですね。サービスの一般公開は2021年2月なのですが、前年の2020年5月頃にはお問い合わせをさせていただいたと思います。
--最初は葉書による郵送ベンダーをお探しだったとのことですが、そこからTRUSTDOCKを選定することになったきっかけは何だったのでしょうか?
益子:我々の方でもしっかりと要件を詰めていく中で、お客様の身元確認、個人番号の取得業務など、KYCのフロー全体を一気通貫でできるソリューションが良いよねとなりました。社内で本人確認の作業をマニュアルで対応すると、我々の規模ではスケールしないだろうという懸念があり、オペレーションの自動化は必須でした。その中でAPIで連携できるベンダー様を探しており、TRUSTDOCKを見つけました。
--選定ポイントは運用の自動化への乗せやすさだったということですね?
益子:そうですね。あとは弊社がスタートアップなので、サービスをリリースした時にどれほどのユーザーが登録してくれるか分からない、という点も大きかったです。社内で体制を整えた場合、一気に登録がきたらオペレーションがあふれますし、逆に全然こなかったらコスト的に無駄になる。その点、TRUSTDOCKは従量課金制で24時間365日対応してくれるということだったので、ニーズに合致していると感じました。
プロ目線で一緒に議論してもらえるのはすごく助かる
--お問い合わせが2020年5月で、サービスインが2021年2月なので、1年弱の期間があるわけですが、これは導入に苦労されたということでしょうか?
中村:いえ、そうではなく、その頃は本人確認の検討と並行して裏側の投資アルゴリズムをひたすら作り込んでいました。実際に本人確認の要件が固まって選定を進めたのは2020年10月頃で、そこからも他の開発対応があり、また金融庁登録など諸々の対応も重なったことで、結果としてそれくらいの間が空くことになりました。
--なるほど。実際の導入作業としてはいかがでしたか?
益子:開発環境やAPIのドキュメンテーションがモダンな作りになっていて、そこは他社と比べて一番かなと感じました。
あとは法令的なところのフィードバックや、実際に運用する際の本人確認の承認・否認ルールについてもプロ目線で一緒に議論していただけたので、すごく助かりました。こういった規制対応は、どこからどこまで守るべきなのかが分かりにくいと感じるので。
中村:最初の要件定義の段階で、クライアントごとに微妙に異なり得る要件がきちんとリスト化されていて、機動的にマルバツで変更いただけるように整理されていることが素晴らしいなと思いました。
山田:あと、マイナンバーを含む個人情報の取り扱いに関しては金商業者として厳格な社内規程を設けていますが、、業務委託をしている事業者の中で、デューデリジェンス対応が最もスムーズだったのもTRUSTDOCKでした。
この辺りは慣れていらっしゃるんだろうなと感じました。
導入によって、より価値のある部分に業務時間を割けている
--導入をされてまだ3ヶ月ほどだと思いますが、効果としてはいかがでしょうか?
益子:定常業務に固定コストが左右されないのは、すごく良いなと、改めて感じています。先ほどもお伝えした通り、ユーザー流入は外部要因なので、波があることを前提に、毎日その業務に人を付ける必要があります。
でもスタートアップである我々にとって、それは結構大変なことで、信頼あるところにアウトソースすることで、業務改善などのより価値のある部分に業務時間を割けていると感じています。
中村:システムとしても安定していますよね。
--ありがとうございます。現在のオペレーションとしてはいかがでしょうか?
山田:午前中には、TRUSTDOCKからの返信チェックを行い、葉書の送付までできているという状況です。基本的には自動化していて、否認が発生した場合のみマニュアルに沿った対応をしています。
近く、この部分についても自動化を進めたいなと思っています。
益子:来年のお正月までには自動化したいですね。
--自動化までのハードルとしては、どんなことがありますか?
益子:やはり、イレギュラーケースのカバーが課題ですね。否認された場合をケースごとに分けて、案内付きで再申請をお願いしたいと思っているのですが、現時点ではまだまだ考えることは多そうです。
RegTech領域に本気で取り組んでいるなと感じている
--TRUSTDOCKへの今後の期待をお願いします。
山田:否認が発生した場合に、オペレーターさんとのやりとりで1営業日ほどかかっており、その間はユーザーに返事ができていない状況なので、そこを改善したいなと思っています。
あとは、他の証券会社さんと同様、口座開設時に本人確認から先に進まない問題は課題なので、そこもオペレーション含めて改善していきたいと考えています。
いずれにしても、引き続き改善していく部分をご一緒できたらと思っています。
--有難うございます。それでは、最後に読者の皆様に一言をお願いします。
山田:法律の解釈にも幅がある分野なので判断に迷うことも多いのですが、ミーティングを通じて丁寧に対応いただけるので、とても助かっています。
益子:多くの新しいFinTechサービスが出てきている一方、本人確認の甘さが招いた不正アクセス等が社会問題になっています。こういったリスクがあるところを経験あるベンダー様と一緒にやっていけることは安心です。
弊社としては、そこに対する期待はが特に大きいです。
中村:TRUSTDOCKは、弊社と同じくスタートアップで、RegTech領域に本気で取り組んでいるなと感じます。実際に弊社も使ってみて、その本気度を身をもって感じているので、ソリューションとしてとてもおすすめですよ。
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TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を計12個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。
なお、KYCやeKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。
KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説
(文・長岡武司)