2024年4月1日に改正携帯電話不正利用防止法が施行され、050型のアプリ電話について、役務提供契約締結時の本人確認義務が生じることになりました。公布が2023年8月ということで、施行まで1年もないという状況の中、各事業者は法令に準拠した対面/非対面での本人確認フローを実装していきました。
そんな中、スマートフォンから携帯電話・固定電話への通話料金がおトクになる通話アプリ「LaLa Call」を展開する株式会社オプテージ様では、今回の法改正を機に非対面での本人確認手法としてTRUSTDOCKのeKYCを導入されました。本記事では、数あるeKYC事業者の中でもTRUSTDOCKの本人確認ソリューションを選定いただいた背景や、運用開始後に感じられている効果等についてお話を伺いました。
本記事のポイント
【ニーズ】
・1年以内にサービスインしたい(2024年4月1日施行の改正携帯電話不正利用防止法対応のため)
・本人確認を内製した場合と比較してのコストメリットをより大きくしたい
・今のうちに公的個人認証の知見を社内に溜めておきたい
【導入後の効果】
・離脱数を想定よりも低く抑えることができている
・BPOにしたことによるコストメリットが予定通り出ている
導入サービス:LaLa Call
スマートフォンから携帯電話・固定電話への通話料金がおトクになる通話アプリ。基本料月額110円で利用が可能なIP電話で、050番号を持つことができるので、お店やご自宅など固定電話へ電話することができる。また、アプリ間では無料で通話が可能。
利用しているeKYC本人確認API
✅ eKYC「ホ」
✅ eKYC「ワ」(公的個人認証サービス)
初回登録時に、eKYC本人確認APIサービス「TRUSTDOCK」を使った本人確認を実施しています。
担当者プロフィール
西本 卓恭[Takuya Nishimoto]
株式会社オプテージ
サービス開発部 サービスマネジメントチーム
法改正を機に、しっかりと法令に倣った事業者でeKYCをやりたいと考えた
--まずはLaLa Callのサービス概要について教えてください。
西本:端的にお伝えすると050アプリサービスになります。LaLa Call同士の通話が無料になったりですとか、国内外を問わず安価にお電話いただけるといった点が特徴となっており、現時点(取材日時点)で約10万ユーザーにご利用いただいております。
--西本さんの現在の業務内容も教えてください。
西本:サービスマネジメントチームというところで、各種コンシューマーサービスが運用フェーズに乗る際の業務調整等を行っております。LaLa Callには法人向けサービスもあるのですが、私の方で担当しているのは個人向け(toC)サービスの部分になります。
--LaLa Call自体は2013年からの提供開始かと思いますが、今回、どのような経緯でeKYC導入の話があがったのでしょうか?
西本:きっかけは、2023年度の法改正(2024年4月1日施行の改正携帯電話不正利用防止法施行規則)です。050アプリ電話についても、役務提供契約締結時の本人確認義務が課されるということで、施行まで一年もない中で事業者選定を進めることになりました。もちろんそれまでも一部の機能を利用する際の身分証チェック等は行ってはいたものの、法改正を機にしっかりと法令に倣った事業者でeKYCをやりたいということになりました。
※携帯電話不正利用防止法については以下の記事も併せてご参照ください
▶︎携帯電話不正利用防止法とは?2024年4月1日の施行規則改正含め、通信事業者が理解しておくべき本人確認要件とeKYC手法を解説
--ご検討は西本さんが進められたのですか?
西本:そうですね、企画部署のプロジェクトリーダーとして、私の方で進めていきました。他にも、実際の開発を進めるための判断として技術部門や、顧客起点での判断のために顧客サポート部門にも、それぞれ仕様調整に入ってもらいました。
TRUSTDOCKであれば短納期でスムーズに導入できると判断して選定
--導入検討に際しての情報収集はどのように進められましたか?
西本:弊社の別部門であるMVNOサービスでは法令に準拠した本人確認を実施しているとのことで、まずはそこの専門部隊に話を聞いていきました。あとはLaLa Callの法人部門にも与信のチェックに関してのナレッジがあるということで、そこの仕組みも参考にしつつ、展示会やWeb上での情報収集を併せて進めていきました。
--eKYC事業者は複数存在するかと思います。どのように比較検討を進められたのでしょうか?
西本:基本的なスタンスとして、法的要件を厳しすぎるくらい満たしている必要があると思っていたので、7〜8社ほどリストアップしていった上で、オペレーションの負荷を極力減らせるソリューションを探していきました。
--本人確認を内製するという選択肢はなかったのでしょうか?
西本:もちろん、先ほどお伝えした専門部隊もいるのでそこを活用するという手も考えたのですが、チェックするためのプラットフォームの構築に費用も時間もかかってくるということで、050サービスの利益と天秤にかけた時に、外部の事業者にお任せするという形に決めました。あと、将来的にeKYCの中でも公的個人認証が非対面での本人確認のメイン手法となっていくという展望を見据えて、まずは050サービスでeKYCのナレッジをためておき、いざ必須になった際に他サービスでも展開できるようにしたいという背景もありました。
--ずばり、TRUSTDOCKを選定いただいたポイントを教えてください。
西本:SDK組み込みだけではなく本人確認アプリという選択肢があることが一つ挙げられます。また、改正法施行までの一年弱という短納期でスムーズに導入が可能だという見込みがたった点も大きかったです。あとは、本人確認業務をBPOに委託する形態を取れるということで、自社で内製するのと比較した際のコストメリットが大きかったことも、採用を後押ししました。
離脱数の落ち込みが考えていたほどではなく、嬉しい想定外だった
--実際に導入を進めた際の感想はいかがでしたか?
西本:TRUSTDOCKさんの営業担当の技術的な知見が非常に深く、それこそ情報収集フェーズからわかりやすく説明をしていただけたのが非常に心強かったと感じています。開発フェーズに入ってからも、API仕様書がよくまとまっていて実装のイメージがつきやすかったと、弊社技術部門の担当者が申しておりました。加えて、細かい疑問点へのカスタマーサポートご担当からの迅速なレスポンスも相まって、無事に短納期でサービスインすることができました。
--TRUSTDOCK導入後の効果としてはいかがでしょう?
西本:申込みにあたってのステップ数が増えるということで離脱数が相応に増える想定だったのですが、考えていたほどの落ち込みがなく、そこが特に嬉しい想定外のポイントでした。もちろん、落ち込みがゼロではないので、今後も引き続き、動線設計を改善していきたいと考えています。あとは当初想定していた通り、BPOにしたことによるコストメリットも出ております。
--TRUSTDOCKへの今後の期待も教えてください。
西本:今回は法令対応でeKYCを導入したわけですが、様々なサービスにおける非対面での顧客接点はどんどんと拡大している状況かと思いますので、セキュアかつお客様の負荷を高めないところでeKYCの必要性はより高まっていくと考えています。一担当としてより幅広く色んなサービスに展開していきたく、リーディングカンパニーであるTRUSTDOCKさんと継続的にコミュニケーションをさせていただきたいと考えています。
--ありがとうございます。それでは最後に、読者の皆さまに一言お願いします。
西本:情報収集フェーズにおけるナレッジのご提供から導入後に至るまで、一流の事業者さんだなという印象をTRUSTDOCKさんに持っています。eKYCは法令対応以外に活用できるシーンも多々あると感じておりますので、興味がある方は一度お話を聞いてみてはいかがでしょうか。
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TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を計10個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。
なお、KYCやeKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。
▶︎KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説
▶︎eKYCとは?オンライン本人確認のメリットやよくある誤解、選定ポイント、事例、最新トレンド等を徹底解説!
(文・長岡武司)