公共交通×タッチ決済×マイナンバーカード「stera transit」が叶える新たなサービスと暮らし 〜超DXサミット2023レポート

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更新日: 2023/10/23

目次

     マイナンバーカードの普及が広がり「デジタルID時代」が着々と近づく中、政府はマイナンバーカードを「確実・安全な本人確認・本人認証ができるデジタル社会のパスポート」としての活用を推進していることから、公共だけではなく民間での活用も広がっていくことが予想されます。

     三井住友カード株式会社 Transit事業推進部 部長 石塚氏と、QUADRAC株式会社 代表取締役社長 高田氏、そしてTRUSTDOCK代表の千葉が、日経新聞社主催カンファレンス『超DXサミット』(2023年9月5日〜8日開催)に登壇しました。『超DXサミット』の後編となる本記事では、当日の登壇内容について、ポイントを絞ってレポートします。

     

    パネル:「デジタルID時代の到来!マイナンバーカード活用で進む公共と民間のDX」

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    • 石塚 雅敏(三井住友カード株式会社 Transit事業推進部 部長)
    • 高田 昌幸(QUADRAC株式会社 代表取締役社長)
    • 千葉 孝浩(株式会社TRUSTDOCK 代表取締役CEO)

    》前編記事はこちら

    マイナンバーカードの民間活用で進める豊かなデジタル社会ついて各事業者が議論を展開 〜超DXサミット2023レポート

    自治体の公共交通DXを実現する「stera transit」とは

    superdx2023_2_02千葉 孝浩(株式会社TRUSTDOCK 代表取締役CEO)

     

     まずは「自治体の公共交通DX」というトピックとして、三井住友カード株式会社が提供する公共交通機関向けソリューション「stera transit(読み方:ステラトランジット)」について紹介がなされました。

     stera transitとは、カード、モバイル、ウェアラブル端末等を活用し、国際ブランドの非接触決済「タッチ決済」を活用して、電車やバス等の公共交通機関に乗車できるというサービスです。

    superdx2023_2_03石塚 雅敏氏(三井住友カード株式会社 Transit事業推進部 部長)

     

     キャッシュレス決済が進んでいる国・地域においては、タッチ決済による公共交通機関への乗車の習慣も定着してきており、現に交通機関へのタッチ決済導入も海外ですでに約680の公共交通機関への導入が完了していると言います。また国内においても複数の事例が出てきており、直近では2023年8月30日からクレジットカードのタッチ機能およびQRコードを活用した乗車サービスに関する実証実験が田園都市線全駅で開始されています。

     

    「これまでは交通ICカードと磁気の切符で交通政策が行われているところが多かったのですが、コロナ禍をきっかけに様々なソリューションを交通に活かしていこうという動きが広がっています。今ご紹介した東急電鉄様の事例(田園都市線での実証実験)以外にも、福島交通・会津バス様の路線バス/電車への導入をはじめ、例えば北陸鉄道・北陸鉄道グループ様でも全面的に県内での導入を進めていただいております」(石塚氏)

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     これを実現する仕組みとして、「stera transitでは一つのクラウドで繋がっていることがが大きな特徴となっている」と石塚氏は説明します。遠隔地でもクラウドを通じて繋げることができるため、交通事業者間のサービス連携がシームレスに行えるということです。

    マイナンバーカードとの連携によって広がるサービス範囲

    superdx2023_2_05高田 昌幸氏(QUADRAC株式会社 代表取締役社長)

     

     stera transitのクラウド基盤を実現しているのが、QUADRAC株式会社による交通事業者向け決済・認証に関するSaaS型プラットフォーム「Q-move」です。上の画像にある通り、交通ゲートの入場から出場までをクレジットカードのタッチ決済で実現し、その決済履歴を専用ポータルサイトで即座にチェックできるというものです。

     

    「クラウドに全ての機能を集約しておりますので、柔軟に運賃・割引サービス等を設計することができます。また、開発コストを削減し、短期間で導入ができる点も、大きな特徴になっております。ケースによって様々ではありますが、およそ3ヵ月程度で導入できるようになっています」(高田氏)

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     そして、この割引サービス等を設計するにあたって、マイナンバーカードとの連携を想定していると、高田氏は説明します。ここで登場するのが、TRUSTDOCKアプリです。TRUSTDOCKアプリは、公的個人認証をはじめ、身分証を活用して本人確認を実施できるアプリサービスです。

    ※公的個人認証サービスとは、マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用する本人確認サービスです。電子証明書では、基本4情報(住所、氏名、性別、生年月日)を利用し、マイナンバーは利用しません。国と地方公共団体が共同で管理する法人である地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の仕組みや公開鍵暗号方式と呼ばれる暗号技術を利用しており、最も高いレベルのセキュリティや信頼性を備えています。犯罪収益移転防止法においては、[ワ]の手法になります。

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     このTRUSTDOCKアプリを既存のstera transitの仕組みにアドオンすることで、stera transitサービスにおけるユーザー情報の本人確認がシームレスに実装され、どこの誰がどの区間を利用したのかについての正しい情報が蓄積されることになります。

     

    「本人確認を実施した上でキャッシュレスかつ非接触で公共交通機関を利用することができるという世界は、これからの地方活性化とインバウンド観光のキラーコンテンツになるのではないかなと、手前味噌ながら考えております」(千葉)

     

     ユーザー情報と乗降情報、さらには決済情報がプラットフォームに蓄積されていることから、「移動と消費を相関的に分析できる」という点が、stera transitのポテンシャルと言えるでしょう。例えばカード番号から特定した国籍情報により、地域内の移動と観光動向を分析することができますし、沿線居住者に対してはカード会社の属性情報と過去の購買行動により、地域生活のデジタル化を支援することもできるわけです。

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     ここから中長期的な目線で捉えると、敬老パスにおける高齢者割引や、来街者向けのサービス、さらには医療・子育て支援など、多角的な分野への展開を想定していると、石塚氏と高田氏は説明します。

     

    「敬老パスについて、多くの自治体さんでは専用のカードを作成して住民に配布しています。通知をするところから考えると、紙や窓口の対応など、かなりの行政コストがかかっていることが推察されるので、stera transitを活用することでかなり簡素化できるのではないかと考えています」(石塚氏)

     

    「stera transitを通じて来街者がどこからきたのかがすぐに分かるので、例えば『東京からきた人にはこんな特典がある』という施策を打つことができたりします。このように特定の属性の方々に向けたサービスを展開することができるので、集客等の施策としても活用することができるでしょう」(高田氏)

    公的個人認証の利用が1年半で約22倍も増加

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     ここまで紹介されたstera transitの世界観を実現するためのポイントの一つは、先ほど言及されたマイナンバーカードによる公的個人認証サービスを活用した本人確認にあると言えます。サイバートラスト株式会社とTRUSTDOCKが、TRUSTDOCKのeKYCサービスを通じて行政や民間企業へ提供している公的個人認証サービスは、提供を開始した2021年7月〜12月の半年間を基準にすると、2023年1月〜6月では約22倍に増加しています。

     それもそのはずで、身分証という切り口で交付枚数を比較してみると、これまでトップだった運転免許証をすでに上回っており、2023年8月13日時点で9,500万枚以上が交付されてます。

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    「皆さんが感じている以上にマイナンバーカードは普及していますし、仕組みとして着々と整備が進んでいます。今回は22倍という数字になりましたが、今後もどんどんと増え続けていくと考えています」(千葉)

     

    ※他行政領域における事例としては以下の記事をご参照ください

    ▶️マイナンバーカード利活用で公共DX施策を促進〜デジタル身分証およびeKYCサービスの解説〜

    ▶️マイナンバーカードで行政/自治体DXを加速〜公的個人認証・本人確認・電子署名の活用事例

     

     以上の議論・説明を踏まえて、最後に各登壇者より、マイナンバーカードの活用及びstera transitサービスの拡大に向けた意気込みが語られました。

     

    「まさに今、世の中が大きく変わっていこうとしているところですが、stera transitはまだまだ始まったばかりのサービスです。そんな中我々としては、目の前のことより数年先の世の中を想像し、『どう取り組むべきか』を考えながら事業を進めておりますので、ご興味のある方がいらっしゃいましたらぜひご一緒に、その地域をどう盛り上げるのかを考えていければと思います」(石塚氏)

     

    「私自身がエンジニアだということもあり、マイナンバーカードは本当によくできた仕組みだと感じています。これがきちんと活用されれば、国全体が最適化されて皆様にとってもより便利な社会が到来すると考えています。私たちとしては、日本中を自由に移動して購買できる世界を作りたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします」(高田氏)

     

    「今回のstera transitでの取り組みは、マイナンバーカードの活用を加速させる上でのヒントが満載だと感じています。今後もtoG領域(行政・自治体)、toB領域(民間・事業者)、toC領域(個人・生活者)、それぞれにおいて連携を深めていき、どんどんとマイナンバーカードの活用を広げていく一翼になってまいりたいと思います」(千葉)

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     TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。府省庁においては、金融庁には具体的な業務内容の確認を行い、総務省のIoTサービス創出支援事業では本人確認業務の委託先として採択されました。また、警察庁には犯罪収益移転防止法準拠のeKYCの照会等を行い、経済産業省とはマイナンバーカードを活用した実証実験や省内開催の研究会等でご一緒しています。

     マイナンバーカード等を活用した本人確認業務のオンライン化を進める際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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     また、eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を計12個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。

    eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト

     

     なお、以下の記事でeKYCおよびKYCについても詳細に解説していますので、こちらも併せてご覧ください。

    ▶︎eKYCとは?オンライン本人確認を徹底解説!メリット、事例、選定ポイント、最新トレンド等

     

    (文・長岡武司)

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