デジタル・ガバメントの未来は明るい!TRUSTDOCKが進める自治体DXと金融包摂 〜FIN/SUM2021レポート前編

イベント/セミナーレポート

更新日: 2021/04/01

目次

     金融庁と日経新聞社が2016年より共催してきた国内最大級のFinTech & RegTechカンファレンス「FIN/SUM(フィンサム)」が、2021年3月16日〜18日にかけて、会場とオンライン配信のハイブリッド提供で開催されました。

     今回のメインテーマは「Fintech as a Service, デジタル社会のプラットフォームを目指して」。コロナ禍に伴うニューノーマル構築の必要性が迫られる社会情勢の中、金融は私たちの生活をどのようにエンパワーするのか。そんな命題をもとに、金融業関係者はもちろん、技術者やアカデミア、スタートアップなど、様々なステークホルダーが国内外より集結しました。

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     レポート前編となる本記事では、その中でもTRUSTDOCKが単独で提供したセッション「デジタル身分証とAPIによる自治体DXと金融包摂」についてレポートします。創立から一貫して「デジタルアイデンティティの主役は個人」と提唱し続けているTRUSTDOCKでは、徹底的に住民目線を追求したアプローチで、複数の地方自治体と「デジタル身分証」の実証実験を進めています。自治体との協働の様子や、最先端のeKYCの取組を交え、新法案によるデジタル社会が形成される中で熱を帯びる社会のニーズをお届けするとともに、民間の身元証明機関として今後果たすべき役割を提案しました。

    登壇者情報

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    • 千葉 孝浩(TRUSTDOCK 代表取締役CEO)
    • 肥後 彰秀(TRUSTDOCK 取締役)
    • 菊池 梓(TRUSTDOCK 取締役)
    • 神谷 英亮(TRUSTDOCK パブリック・アフェアーズ担当)

    行政領域におけるTRUSTDOCKの取り組み

     TRUSTDOCKといえば、国内で唯一、デジタルアイデンティティとKYCの両面で事業展開している企業です。よくデジタルアイデンティティというテーマになると、「名乗る側」、すなわち個人に紐づくデータ管理や識別子の話がメインでなされますが、本来的にはこのデジタルアイデンティティの相手となる「確かめる側」、すなわちカスタマーデューデリジェンスや本人確認を実施する法人側についても考える必要があります。

     TRUSTDOCKではこれらを「コインの裏と表」と捉え、一方ではAPIによる本人確認ソリューションを、もう一方ではデジタル身分証アプリとして提供しています。

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     そんな同社では、行政の取り組みも活発化させています。デジタル庁(仮称)の設置に付随する様々な関連法案において、中央省庁では本格的な行政DXに向けた取り組みが進められています。これに関して、TRUSTDOCKにてパブリック・アフェアーズを担当する神谷からは、平井卓也デジタル改革担当大臣について以下のコメントがなされました。

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    神谷:「RegTechサービスを提供している身として、非常にワクワクする動きだと感じます。大臣の国会答弁を見ていても、ほとんどペーパーを見ないで答弁されていて、デジタル社会をどうするべきかを、自分の思いと言葉でストレートに伝えている印象を強く感じます。この領域については、しっかりとユーザーである国民へとに伝えていくことが大切だと感じますし、大臣の姿勢からもそれを強く感じます。」

     

     では具体的に、どのような行政DXの取り組みをTRUSTDOCKを行なっているのでしょう。以下、2つの自治体での事例をまずはご紹介します。

    つくば市 × TRUSTDOCK

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     茨城県つくば市では、平成29年度から「世界のあしたが見えるまち」というビジョンの下、革新的な技術やアイディアで社会課題を解決する、Society5.0の社会実装に向けた実証実験を全国から公募し、優れた提案を全面的にサポートしています。

     令和2年度は、新型コロナウイルスが生活や経済に大きな影響を及ぼしていることから「With/Afterコロナの生活スタイル」をテーマとした実証実験を募集し、それに対してTRUSTDOCKが提案した『行政手続きのオンライン化実証』の提案が、最終審査で第一位を獲得。併せてスタートアップ賞と、市民によるインターネット投票賞も合わせて受賞し、具体的な実証実験が行われました。

     テーマは「つくばスタートアップパークの利用申請デジタル化」。つくば市では、「つくばスタートアップパーク」と呼ばれるスタートアップのインキュベーションとコワーキングの機能を合わせた施設をもっており、そこでの利用申請をデジタル化するという内容です。

     同施設では、定期的に利用する人以外にも、ドロップインとして一時的かつすぐに使いたいという人も利用します。しかし従来フローでは、利用するために一度施設へと行って利用申請の手続きを行う必要がありました。具体的には、オンラインから利用申請書をダウンロードし、紙の用紙に記入した上で、その申込書を窓口で提出し、そのタイミングに併せて本人確認も対面で実施して、その申請を自治体側で承認した上で初めて利用できるという、非常に煩雑な流れとなっていました。

     これに対してTRUSTDOCKを利用することで、利用申請を事前に自宅からやり、在宅で申請手続きが完結するプロセスにするという実証実験となります。

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     本実証実験について、TRUSTDOCK 取締役である菊池から、プロダクト仕様の観点で説明がなされました。

     

    菊池:「今回はスタートアップという法人の確認ということで、法人と取引担当者の存在確認をメインに提供しました。

    具体的にはまず、デジタル身分証アプリとTRUSTDOCKアップローダーを使って、法人の確認や取引担当者の身分証や委任状を提出してもらい、それをTRUSTDOCKで問題ないかを確認し、その結果をTRUSTDOCK-CRMを通じてつくば市担当者へと返して確認してもらうというフローになります。その後の稟議書類も、CRMシステム内で作成できるようにしています。」

     

     このように、CRMシステムまでを繋げた仕様にしている点について、TRUSTDOCK 取締役である肥後からも以下のコメントがなされました。

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    肥後:「通常我々はAPIの形で企業様等に提供しており、企業様の方でそれをつなぎ込んでいただきます。でもこれまで多くの自治体様と話していると、今回のCRMシステムのような業務を進める上でのステータス管理を行っていくツール部分も、一緒にご提供していかないと、実証実験として完結するパッケージにならないなと感じており、そのような内容で進めていくこととしました。」

    福岡市 × TRUSTDOCK

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     もう一つの事例は福岡県福岡市です。2021年実施の「福岡市実証実験フルサポート事業」における「Beyond Coronavirus (=コロナを乗り越える)」の実証実験においてTRUSTDOCKが採択され、福岡市の職員の勤怠管理を、スマホに入れたTRUSTDOCKデジタル身分証アプリで行う実証実験を行いました。

     具体的には、まずデジタル身分証アプリを使って、身分証による身元確認および職員証による職員確認を通じて、デジタル身分証を発行します。並行してシステムサイドでは出勤管理システムとも連携させているので、日々の出退勤をデジタル身分証での認証を通じて実現し、それらの状況を管理者がリアルタイムで確認できるようにするという内容です。日々の打刻の代わりに、デジタル身分証アプリを使ってワンタイム確認コードで認証をした上で、勤怠管理システムと連携させるという仕様となります。

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     勤怠管理の要素の他にも、離れている拠点にいるメンバーの管理という用途としても期待される本実証について、菊池から補足がなされました。

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    菊池:「本人確認用APIは一度きりの本人確認であるのに対して、デジタル身分証は、一度本人確認した情報を何回も利用するものとして、今回でいうところの出退勤での利用が一例として想定されます。オンラインとオフラインの双方で、本人確認と当人認証の2つが不可欠であるからこそ、両機能を備えているTRUSTDOCKデジタル身分証アプリを使うことで、素早く構築できたと思います。」

    多種多様な組み合わせが可能なTRUSTDOCKのAPIソリューション

     このように様々なAPIが用意されていることで、色々な組み合わせができる点がTRUSTDOCKの強みだと言え、基本的にどんな業務システムに組み込めるソリューションとなっています。

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    肥後:「自治体で行われている住民関連手続きは、数千種類にも及ぶと言われています。その中には、国で統一された手続もあるし、自治体の裁量で決める手続もあるでしょう。特に後者の部分が数として多くなっており、これらをオンライン化する中で、特にお役に立てるかなと思っています。」

     

    神谷:「各省における国家資格の更新時や、同じく各省が所管する事業者関連の手続きでeKYCを取り入れる際などに、TRUSTDOCKのようなソリューションは有効なのではないかと思います。」

     

     なお、行政DXに関する体系的なトレンドをキャッチアップされたい場合は、以下の記事をご参照ください。

    行政DXとは?国内行政デジタル化の経緯や事例、データの重要性、本人確認への応用などを徹底解説

    公的個人認証を軸にしたデジタル身分証アプリによる様々な確認業務のDX

     それでは、具体的なeKYCソリューションの内容も見ていきましょう。TRUSTDOCKでは、犯罪収益移転防止法(以下、犯収法)における以下「ホ」〜「ル」および「ワ」の要件に準じたAPIを、それぞれ提供しています。

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     特にニーズが多いのが、郵送なしの手段として2018年11月の改正犯収法で定義された「ホ」「へ」「ト」と、公的個人認証を使う「ワ」の要件です。

     

    菊池:「現場的に、今までは犯収法的にeKYCといえば「ホ」でしたが、最近では「ホ」を入れた上で、手法を追加したいという話もトレンドとして増えてきていると感じます。」

     

     中でも期待値が高まっているのが「ワ」の要件。マイナンバーカードの交付枚数が伸びていき、パスポートを抜いて普及期へと突入したことで、これを活用したeKYCが大本命となってきています。

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    菊地:「公的個人認証を実際にやっている動画を見るいただくと、こんな簡単にできるんだ、ってなります。これまではマイナンバーカードのICチップを読んで、かつ総務省の認定を受ける必要があったわけですが、TRUSTDOCKアプリであればそのままシステムに組み込むことで使えます。大企業などの資本があるような会社のみならず、例えば士業の事務所のようなところでも、例えば契約書の電子署名の確認に加えて公的個人認証をやりたいというニーズが増えてきています。」

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    本人確認以外の確認ニーズにも対応

     上記のような犯収法に準拠した機能以外にも、様々な確認ニーズに対応し始めています。

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    菊池:「例えば銀行の振込口座の確認を同時に行いたいというニーズが非常に多い中で、2020年にはマネーツリー社との連携を開始し、公的個人認証と合わせた銀行口座確認のソリューションを提供開始しています。ものの2〜3分で確認処理が完了しますよ。」

     

     こちらについては、以下の対談記事にて詳細に説明されています。

    エンパワーメントと金融包摂で、全員が対等な世界を創る。TRUSTDOCK × マネーツリーが目指す未来像とは

     

     また、法人確認ソリューションの一つとして、名刺管理ソリューションを提供するSansan社との連携も、同じく2020年よりスタートさせています。

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    千葉:「こちらは法人の在籍確認についてです。従来は委任状を求めたり、会社に直接お電話するという流れだったわけですが、Sansanがもつ名刺情報と連携することで、法人への在籍確認をオンラインで実施できるようになります。銀行口座確認と合わせて実施することもでき、こちらも引き合いが増えております。」

     

     こちらについては、以下の対談記事にて詳細に説明されています。

    オンライン名刺の先に見据える、デジタルIDとしての役割。Sansan × TRUSTDOCK が目指す世界とは

     

    千葉:「このように、さまざまなIDプロバイダーとAPI連携し、確認業務のDXを推進しています。」

    ニューノーマルへの対応を加速させる金融包摂の取り組み

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     ここまで見てきた通り、本人確認では個人に対するもの以外にも、法人に対するもの(法人確認)も重要になります。この法人確認ですが、例えば法人の「存在確認」を行うためには、これまでは履歴事項全部証明書などを法務局等へと取得しに行く必要があったわけです。非対面社会が望まれる中で、非常に煩雑なプロセスがあったと言えるでしょう。

     これに対してTRUSTDOCKでは、2021年より、ユーザーが法人番号を入力するだけで法人確認が完了できるようなソリューションも提供開始しました。登録プロセスの中に、法人番号と法人名さえあれば処理を進めることができるものとして、法人確認のニューノーマル対応を加速させることが期待されます。

     またもう一つ、本人確認を行う上で重要となるのが「顧客管理に伴う継続的顧客確認」の処理です。

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    菊池:「アカウント開設の時だけではなく、アクティブユーザーも本人確認を行う必要があり、これはFATFでも実施の必要性が明記されています。TRUSTDOCKでは継続的顧客管理専用のCRMの提供も行なっており、マルチチャネルにおける通知とヒアリング、そして本人確認をセットでご提供しています。」

     

    肥後:「事業者としては、アップデートした情報が欲しいというニーズがある一方で、利用者側の立場としては更新処理が面倒だというペインがあるので、それらを解消してあげる必要があります。基本4情報を含めた各種情報を簡単に更新できるようなオペレーションを想定して、デジタル身分証アプリを含めた開発を進めています。」

    国を問わず求められる、本人性とオンラインアカウントの連結機能

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     以上のような取り組みに関して、日本国内のみならず、東南アジアを中心とする世界各国からも問い合わせが増えています。この際に、国ごとに法律が違うからこそ、それぞれの違いを理解してソリューションを当て込んで行くことが、難易度が高いながらも必要なアプローチとなります。

     

    肥後:「昨今では、金融サービスがアズ・ア・サービス化していく流れがあり、本人性とオンラインアカウントを結びつける機能は、国を問わず今後さらに求められるようになると思います。」

     

    神谷:「国内に目を向けると、例えばマイナンバーの預貯金口座との紐付けに関する法案も出てきており、注目すべき動きが目白押しです。マイナンバー管理が進むと、行政機関にとっても業務効率化されるし、例えば災害時などの対応もスムーズになるので、引き続き注視して参りたいと思います。」

     

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    千葉:「以上の通りTRUSTDOCKでは、自社だけでなく様々な行政機関や団体、企業との連携を進めることで、標準化や規格化などの取り組みも進めています。

    デジタル身分証なるものをスマホに入れて管理する世界が、いよいよと解像度が上がってきた中で、色々なプロバイダーが提供するサービスがAPI連携することで、官民含めたデジタル・ガバメント構築が進んでいくと感じます。

    結論としては、デジタル・ガバメントの未来は明るいということで、本セッションを締めさせていただきたいと思います。」

     

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     TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。

     eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を計12個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。

    eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト

     

     なお、KYCやeKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。

    KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説

    eKYCとは?日本唯一の専門機関のプロがわかりやすく解説

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    (文・長岡武司)

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