転職のきっかけ
前職は証券会社に約6年間在籍し、主にScalaやRubyを用いて証券システムをゼロから立ち上げていく経験をしました。
一口に証券システムと言っても範囲が広く、私は口座開設時の本人確認などお客様の口座・個人情報を取り扱うシステムや、種々の証券業務を支えるための社内管理画面の開発に長く携わりました。他にも銘柄情報や時価を配信するためのマイクロサービスにも関わりました。
それ以前には、ソーシャルゲームの運営やWebサービスの受託開発を手掛けるベンチャー企業でCTOを務めた経験もあります。小さい会社でしたので、開発組織のマネジメントや意思決定を行う傍ら、自身もコードを書いていました。
転職のきっかけは、会社が目指している方向性やプロダクトの優先順位が変わり、自分が入社を決断したときに共感した世界観とはすこし変わったのかもしれないなと感じ始めたことです。また、立ち上げから関わったサービスもクローズまで見届け、残り少ない30代のキャリアをどう過ごしていこうか考えているタイミングでもありました。
そうした悶々とした日々を過ごす中で、知り合いのエンジニア数名からお誘いがあり、転職を検討することにしました。
転職の軸(企業選びの軸)
- 事業内容
まず事業内容やサービスに対して自分が興味を持てるかどうかです。当社のメンバーも同様のことを言っている人が多い気がしますが、社会的貢献度や社会的意義のある事業に携わりたいと思っています。 - ミッションやパーパス
会社によっては抽象度が高くなりがちですが、スタートアップの場合は自分が共感しやすい内容のほうが入社後に違和感なく働けそうだなと思っています。 - メンバーの人柄
やや言語化が難しく直感に近いのですが、選考を通して一緒に働くことになるメンバーや上長と良好なコミュニケーションが出来そうかどうかの判断ですね。例えば、技術的課題やプロダクトの将来について意見を交わしたときの雰囲気や空気感みたいなものを大事にしています。
TRUSTDOCKを選んだ理由
証券会社で本人確認に関するシステム開発を担当していた中で、KYCベンダーと契約してeKYCを組み込むプロジェクトにも携わった経験があったため、TRUSTDOCKがどのような事業を行っているのかは面接を受ける前からある程度理解していました。
そのような背景から、カジュアル面談や面接ではeKYCを提供する側と導入する側の視点の違いや業界特有の「あるある」について話が弾み、とても盛り上がりました。
最終面接でCEOの千葉さんとCTOの荘野さんと直接お話しした際に、犯罪収益移転防止法に基づく本人確認業務のフローや審査画面のUI/UX、金融機関以外の事業者におけるeKYCの需要などのトピックについて、すでに同じチームで働いてるような雰囲気で議論できたのは今でも記憶に残っています。
これまで多くの面接を経験してきましたが、技術的な話ではなくプロダクトについてここまで盛り上がったのは初めてだったように思います。その時に「あ、自分は本人確認というドメインに案外興味があるんだな」という気付きもあり、TRUSTDOCKを選ぶ決め手となりました。
現在の仕事について
私は、技術基盤グループのSREチームに所属して、当社が提供する各種サービスの信頼性向上に取り組んでいます。
主に「本人確認サービス」「eKYC即時返却」「デジタルIDウォレット」などのインフラ管理や、プロダクト開発をしているエンジニアやセキュリティエンジニアとの協力による開発環境を含む運用改善が業務の中心です。
2024年には提供サービスも増え、開発に関わるエンジニアの数も大幅に増えたことから、SREが従来担当していた運用業務(アラート対応、日常的な監視、オペレーションなど)をセキュアかつスムーズに各チームに委譲することが重要なテーマとなりました。
これを実現するために、SREチームでは様々な取り組みを進めました。以下はその一部です。
- AWS Organizations (IAM Identity CenterによるSSO) の導入
- Datadog Log management の導入
- Datadog Cloud SIEM の導入
- Datadog APM の導入
- Systems Manager を用いたオペレーションの半自動化
- 障害対応訓練の企画
これらの施策に加え、プロダクトチームではなかなか手が回りにくい領域もサポートしています。具体的には、ソフトウェアやミドルウェアのアップグレード作業、負荷テスト基盤の作成、CI/CDの速度改善、脆弱性管理、不要リソースの棚卸しなど、多岐にわたる業務を担当しています。
仕事の中で挑戦していること
24/365の安定稼働が求められる環境において、システムの信頼性を確保しつつ、デリバリー速度の向上を両立させたい思いがあります。QA体制の構築やE2Eテストの自動化などにも取り組む必要性を感じています。
また、当社のシステムには古くから稼働しているものもあり、現時点ではモダンなインフラ構成や設計と呼ぶには難しい部分も存在します。そのため、これらを段階的にベストプラクティスに基づいた形へ移行し、保守性の高いシステムを実現することにも注力しています。
さらに、個人情報保護やセキュリティを担保しつつ開発体験の向上を両立させることも重要なトピックですね。これはセキュリティやコーポレートITの担当者とも協力していきたいですね。
前職の経験が活きていると感じていること
前職では、法律やガイドラインに基づく厳しい規制の下での業務や複雑なビジネスロジック、一見すると冗長に思える業務プロセスに対応する力が鍛えられたと感じています。
特に、制約が多い中で複雑な業務ドメインをモデリングし、システムを設計する経験はTRUSTDOCKにおいてもとても役立っています。
また、そうした難しい課題に取り組むこと自体を楽しめる性格なので相性が良かったのかもしれません。
転職して実感したTRUSTDOCKの魅力
人柄の良い人が多いですね。行動指針のひとつに「創造的対話」というものがあるのですが、それが浸透しているように感じます。相手を尊重しながら建設的に議論を進める姿勢が日々のコミュニケーションの中に表れていると思います。
TRUSTDOCKではフルリモート勤務を選ぶ社員が多いため、普段の業務は主にSlackを使ったテキストコミュニケーションが中心です。ただ、込み入った内容になると「これは口頭で話した方がいい」と判断し、すぐにZoomやHuddleに切り替える柔軟さを持った人が多いと感じます。このコミュニケーション手段の使い分けが自然でストレスなく働ける環境だと感じています。
さらに、入社後のオンボーディング体制も手厚いです。直属のマネージャーだけでなく、CTOやCHROとの1on1が何回か設定されており、会社の文化や業務への理解、期待値のすり合わせ等のサポートが充実しています。
また、他部署の定例ミーティングに自己紹介を兼ねた見学が強制的に1回だけセットされているのも特徴です。入社初月は自己紹介をする機会が多く、「また自己紹介か」と思うこともありましたが、振り返ると他部署の定例ミーティングに参加する機会は貴重でした。興味深い話を聞けたり、事業の全体像や会社組織の概観をつかむ良いきっかけになったりしたので、結果的に良い取り組みだと思いましたね。
今後の目標
エンジニアリングリーダーの経験をもつ著述家、ウィル・ラーソン(Will Larson)氏の著書「スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ」で語られているスタッフエンジニアというポジションの役割を担っていきたいと考えています。
スタッフエンジニアとは、「エンジニアリングマネジメント」と対をなすキャリアパスです(書籍の中ではスタッフ以上の3レベルを「スタッフプラス」と呼んでいます)。
参考:エンジニアリングのキャリアラダーにおける2本の路線|
「スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ」P15
書籍の中では、スタッフエンジニアの役割はテックリード・アーキテクト・ソルバー・右腕の4つのタイプに分類されます。
テックリード
タスク(課題)の着手と遂行において1つのチーム、または複数のチームを率いる。複雑なタスクを見通し、チームをその解決に導き、その際の障害を取り除く能力をもつ。多くの場合、チームを成功に導くために、チームの置かれた状況を把握し、チーム間の、あるいは部門間の関係の維持に努める。
アーキテクト
企業内の特定の技術分野、たとえばAPIデザイン、フロントエンドスタック、ストレージ戦略、クラウドインフラストラクチャなどを成功に導く責任を負う。ビジネスのニーズ、ユーザーの目的、それらに関連する技術的な制約などを深く理解することに多くのエネルギーを費やす。そうやって得た洞察を用いて重要分野における効果的なアプローチ法を特定し、チームに伝え、そのような賢明な判断を積み重ねて培ってきた権力を用いて、アイデアを実行に移す。
ソルバー
会社が信頼を置くエージェントとして困難な問題に深くかかわり、その解決に責任を負う。会社幹部が必要と認め、かつ、明確な解決策が欠けているか、もしくは、実行する際のリスクが極めて高いと考えられる問題に取り組む。
右腕
上級組織のリーダーではあるが直接的には経営責任を負わない。リーダーの会議に同席し、彼らの抱える大きな問題を取り除くことによって、リーダーの影響力をさらに拡大することに務める。このレベルで懸案となる問題には、ビジネス、技術、人、文化、プロセスなどといった複数の要素が必ず関係していて、純粋に技術的なものはありえない。通常、右腕は火事場に飛び込み、アプローチを修正し、最も適したチームに実行を委ね、そして社内で次の火の手が上がった場所へと直行する。
参考:「スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ」P18-24
現在のTRUSTDOCKの中に「スタッフエンジニア」というポジションが存在するわけではありませんが、このスタッフエンジニアの4つタイプの役割は、いずれも自分に期待されているものと思っています。
すでに実践していることもありますが、将来的にTRUSTDOCKにこのポジションが出来た際には、その役割を担えるように精進していきたいですね。
TRUSTDOCKに興味を持っている方へ
今、このタイミングでTRUSTDOCKで働くことの魅力
TRUSTDOCKには様々なプロダクトがあり、本人確認や即時返却といったサービスは既に多くのお客様にご利用いただいています。しかし、まだまだ改善の余地があり、既存の機能をさらに磨き上げていくフェーズにあります。
また、詳細はお伝えできませんが、0→1フェーズで新規事業の立ち上げに取り組んでいるチームもあります。このように、既存事業の成長を支える役割から新規事業の立ち上げに挑戦する役割まで、自身の意思や得意なフェーズに応じて働く環境を選ぶことができます。
現在、TRUSTDOCKは第二創業期とも言える時期にあり、多様なバックボーンを持つ新しい仲間が次々とジョインしています。スタートアップらしく仲間と共に挑戦し変化を楽しめる方にとっては最高の場所だと思います。
これからのTRUSTDOCKで活躍する方のイメージ
法律やセキュリティ要件といった多くの制約がある中で、ドメインを深く理解し、より良い業務設計や実装に積極的にチャレンジできる方が活躍できると思います。制約が多い環境だからこそ、その中で最適な解決策を模索し、形にしていくプロセスに楽しさを感じられる方が当社には向いてるのではないでしょうか。
また、チームワークを大切にし、相手を尊重しながら建設的に対話できる姿勢も重要だと思います。人にはそれぞれ得意なことと苦手なことがあるものですが、チームで力を補い合いながら最良の結果を目指す。そのようなマインドを持っているような人がこれからのTRUSTDOCKで活躍できると思います。
※記載内容は取材当時のものです。
現在、TRUSTDOCKではエンジニア採用を強化中です。
エンジニアリングマネージャーをはじめ、バックエンドやネイティブアプリのエンジニア、PdMなど広く採用活動を行っています。
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