はじめまして!TRUSTDOCKでバックエンドエンジニアをしている田中/福重/渡瀬です。参加メンバーを代表してブログを書きました。
先日4/16〜18で開催されていた RubyKaigiに皆さんは参加されましたか? 私たちは普段 Ruby on Rails で実装されたプロダクトを開発しております。昨年の沖縄で開催されたRubyKaigiに引き続き、社内のテックチャレンジ推進制度を利用して参加してきました!
今回のブログでは、参加にあたっての当日の様子や感想などを共有したいと思います。
会場やブースの様子について
RubyKaigi 2025の会場となったのは愛媛県県民文化会館。路面電車やバスの駅近くの会場ということもあり、アクセスも良好で、参加者たちもスムーズに集まられていた印象です。私たちが会場入りした際にはすでにブースが多数出展されていて、参加者の多さも相まってとても活気にあふれていました。
ブースについては、スポンサー企業を中心に、様々な業種のツールやサービスがあり、技術トークだけでなくRubyに関するクイズやRubyで作成されたサービスの体験などができる貴重な機会となっていました。ノベルティやステッカーも豊富で、中でも愛媛県名物の「みかんジュース蛇口」をANDPADさんが提供しており、私たちも行列に加わり飲ませていただきました。人生で飲んだみかんジュースの中で最も美味しかったです!!!
また、特に印象に残ったのは、しまねソフト研究開発センターさんのブースでした。mruby/cという組込み向けの軽量Rubyで書いたプログラムがマイコンやキーボードで動作する様子を見せていただきました。Matzさんの出身地である島根県が協力して事業を進められているとのことで、RubyKaigiならではの出会いだなと感じました。
RubyKaigi公式のブースのスタンプラリーが開催されていたのですが、私たちも3日間のなかでゴールを達成することができ、RubyKaigiのピンバッジをゲットすることができました!デザインも可愛くてとても嬉しいです。リュックやポーチなどにつけて、来年のRubyKaigiに備えたいと思います。
印象に残ったセッションについて
Automatically generating types by running tests
このセッションは、既存のテストコードを活用してRubyコードの型定義(RBSコメント)を自動生成するという、非常に興味深い内容でした。
セッションで紹介されたのは、この型自動生成を実現するツール rbs-trace です。このツールは、テスト実行時にメソッド呼び出しをトレースし、引数と戻り値の型情報を記録します。そして、記録された型情報を元に、Rubyファイル内にRBSコメントとして型定義を挿入するという仕組みだそうです。所属されている企業のRailsアプリケーションで実際に利用され、動作し型定義がされていたことが確認されているそうです。「テストを書くことがそのまま型定義に繋がる」というこのセッションの内容は、私にとって今回のRubyKaigiの中で最も仕事に活用できそうな内容でした。ぜひ、皆さんのプロジェクトでもrbs-traceを試して、テストと共に型定義を育ててみてはいかがでしょうか。
Ruby Committers and the World
このセッションでは新たにRubyコミッターになった方の紹介が行われたほか、Rubyコミッターの方々がステージ上で、複数のテーマについて意見を交わすという形式でした。
特に印象に残ったテーマが二つあります。一つ目のテーマは、「Ruby 4.0で(できるのであれば)廃止したい機能」についてです。この議論の中で、Matzさんが「基本的に何もdeprecate(非推奨化・廃止)したくない」と述べ、何かしらの機能を変更したり廃止したりする場合でも、ユーザーがスムーズに移行できる方法を必ず準備してから行う とのことでした。こうした姿勢から、Rubyを使う開発者を大切にしている思いが伝わってきて、「これからもRubyを使い続けたいな」と感じさせてくれるお話でした。
二つ目のテーマは、「コミッターの方々がAIを用いてRubyの開発を行っているか」という、昨今の技術トレンドに沿ったものでした。AIを使って効率的に開発を進める流れがある中で、Rubyのコア開発者たちがどのようにAIを活用しているのか、非常に興味深く聞きました。コミッターの方々の意見としては、全体的に「AIを使ってRubyのコア開発を行うのはまだ難しい」という声が多かったようです。例えば、parse.yという重要な部分を担当しているコミッターの方が、AIにparse.yを書かせてみたけどうまくいかなかったとおっしゃっていました。他のコミッターの方からも、同様に難しいという意見が出ていました。 一方で、AIが有用な場面も確かにあるとのことでした。具体例としては、コミットのメッセージを書いてもらうことや、Rubyのコードを読む際にAIを活用しているコミッターもいるという話でした。
個人的には、普段Ruby on Railsフレームワーク上でCopilotをよく使用しており、その際には有用な場面が多いと感じています。そのため、Rubyのコア開発レベルにおいてAI活用はまだまだ難しい部分が多いという現状はとても興味深く、言語自体の開発は難しいのだなと感じました。
ふりかえりと来年に向けて
弊社ではフルリモートで仕事をしており、会社のメンバーと一緒にRubyKaigiのような大きなカンファレンスに参加するのは久しぶりだったため、とても楽しみにしていました。
普段からRubyでコードを書いていますが、セッションはどれもレベルが高く、非常に刺激的でした。普段なんとなく使っていた機能の裏側を知ることができ、「Rubyってやっぱりすごいな」と改めて実感しました。
現地の熱気、登壇者の熱い発表、そして普段は画面越しにしか見られないエンジニアたちと直接交流できた体験は、本当に刺激的でした。
また、会場を歩いていると他社の知り合いの方にばったり遭遇する場面も何度かありました。全国からRuby開発者が集まるイベントだからこそ、こうした偶然の再会もあるのだと感じました。久しぶりの交流で話も大いに盛り上がりました。
来年のRubyKaigi 2026は、北海道函館市で4月22日〜24日に開催されるそうです。RubyKaigiは世界中のさまざまな開発者が集う貴重な場です。来年もぜひRubyKaigi 2026に参加したいと思っています。
最後に
私たちは、一緒にRubyKaigiを楽しんで盛り上げるエンジニアやより良いプロダクトを作りたいエンジニアを積極的に募集しています!来年はぜひ一緒に函館にいきましょう!
まずは少し話を聞いてみたいという方向けに、カジュアル面談(オンライン)も随時受付しています。こちらより気軽にお声がけください。