業務効率化と安心・安全を実現する金融機関向けeKYC+CRMソリューション。
今回はシステム連携を進める両社を代表して、TRUSTDOCK代表の千葉とシナジーマーケティング株式会社 金融ビジネス推進グループの土居浩司氏による対談の様子をお送りします。
連携サービス:Synergy!
CRMシステム「Synergy!」は、情報を安全に格納できるデータベースを持ち、メールやLINEをはじめとする、コミュニケーションチャネルを兼ね備えたクラウド型サービス。導入実績は2020年9月時点で累計2,500社を超えている。
今回のシステム連携では、TRUSTDOCKをSynergy!フォームの入力完了画面に組み込むことで、eKYCの機能をWebフォーム上で実装。例えば金融機関が口座開設に活用する場合、顧客はWebフォームに必要情報の入力と身分証等のアップロードをすることで本人確認と申込がワンストップで完了する。
対談メンバー
写真左:土居浩司[Koji Doi]
シナジーマーケティング株式会社
西日本事業部 金融ビジネス推進グループ マネージャー
写真右:千葉孝浩[Takahiro Chiba]
株式会社TRUSTDOCK 代表取締役CEO
金融業界だけ、専門特化チームを設立
千葉:まず、土居さんが所属されている金融ビジネス推進グループ。こちらのチームは、具体的にどんなことをされているのでしょうか?
土居:名前の通りなのですが、対金融機関に絞って事業を展開しているグループです。東京と大阪にそれぞれチームがあって、私は東京サイドで、Synergy!を活用した金融機関向け支援を行なっています。
千葉:御社は、もともとは業種業態問わず、幅広くSynergy!を展開されていますよね?
土居:そうですね。2000年の創業以来、これまで累計で6000以上の企業様のマーケティング支援を行なってきました。基本的にはインダストリーごとにチームを分けるということはしていないのですが、金融業界の場合は特に地銀様向け支援事例が多く、弊社内での業務フローの理解が進んでいたことと、地銀なので対応エリアが重ならないという二点を背景に、横展開を想定した個別のチーム化がなされています。
全国の第二地銀の中でも、年間の伸び率で上位3本に入るくらいの成果を挙げていただいた銀行さんがあって、その要因の一つがSynergy! によるものが非常に大きい、というご評価をいただいたことも、活動の後押しになっています。
本人確認まわりで困っている金融機関は非常に多い
千葉:お話をした最初のきっかけは、とあるイベントブースだったと思いますが、その時の対金融機関向け支援の課題としてはどういうものがあったのでしょうか?
土居:確か2018年ですよね。ちょうどその頃は金融機関の個人向け事業を伸ばす施策を支援していたタイミングでした。同じ年の11月には改正犯罪収益移転防止法(以下、犯収法)も公布されて、それに準拠した本人確認にも対応する必要があったわけです。
でも自分たちではソリューションを持っていないので、個別に探す必要があった。そんな中で、もともと名前を存じていたTRUSTDOCKさんとタイミングよくイベントブースでお話ができたことから、ぜひ連携して進めていきたい、となったわけです。
千葉:僕たちのサービスはあくまで実際に処理をするソリューションなので、入口と出口のシステムが必要になります。様々な会社さんとの連携が必要だと考えていた中で、Synergy! はパッケージとして非常に良いなと感じました。まさにシナジーがあるなと(笑)
土居:当時から現在に至るまで、困っている金融機関は非常に多いです。大きな決め事は犯収法で定められていますが。細かいオペレーションは各金融機関で模索する必要がありました。特に本人確認については、どのレベルまでやれば良いのか判断に悩まれていたので、無理を言って千葉さんにもクライアントとのミーティングに参加して頂きましたよね。
千葉:まだコロナ前ですが、四国のお客様とのミーティングにオンラインで参加させていただきましたね。懐かしいです。
ツールは、自分たちが使うからこそUI/UXを改善できる
千葉:eKYC事業者は、それこそ多くあると思うのですが、その中でTRUSTDOCKを連携先として選択いただいた理由は何だったのでしょうか?
土居:何かデジタルツールだけを提供しているのではなく、それらを活用して、お客様が抱えている課題をしっかりと解決されていると感じたのが、一番だと思います。今抱えていることの課題を解決することに目が向かれているな、と。
あと、千葉社長のKYC、eKYCに対する圧倒的な理解も大きかったです。ある意味で、金融機関の方々よりも詳しいと感じます。
他ベンダーは目先の課題対応は得意で、機能面でのカバーはできるものの、中長期的に変動した時の対応は難しいんだろうなと感じました。
千葉:僕たちも、元々は法律の専門家ではないところからのスタートで、それこそ最初は「全然違う畑から来て、本人確認なんて言ったって何も知らないんだろ」的な目で見られていたわけです。
そこから原文を読み始めて、知らないことを聞きながら一個ずつ言葉を紐解いていくなどして、仕様設計できるメンバーがしっかりと一次情報を確認しにいったわけです。例えば法律には「等(など)」って言葉が多用されるのですが、この「等」って具体的に何を指しているのか。紐解いていくと、案外重要なことが含まれていたりもするわけです。
土居:実際にお話を伺って、そこまでやるんですね、と思いました。
千葉:あと、例えツールとしての機能を充実させたとしても、身分証の写真が偽造されたり、本物であっても撮影時に手で隠れたりとか、色々なケースがあるわけです。そういった一つひとつの事象は、現場業務を自分達で実際に試さないと、わからないです。
僕も実際に使っていますし、自分たちが使うからこそ、UI/UXを改善できると考えています。そこがコアコンピタンスだから、躊躇なくリソースを注力できるというのはありますね。一般的には、エンドユーザー向け画面を充実させる一方で管理者向け画面はおざなりになるケースが多いと思いますが、僕らはそこがコアコンピタンスだということです。
まずは、先行事例を作ってくれる金融機関を見つける
千葉:まずは最初の1ユーザーを作りたいですね。
土居:はい、金融機関はファーストペンギンを嫌がる傾向がありますが、逆にそこさえ生まれてくれれば、横展開を非常にしやすいとも言えます。なので、まずは先行事例を作ってくれる金融機関を、できるだけ早期に見つけたいと思います。
千葉:オンラインバンキングでさえ未実施の中で、eKYCはある種、飛び越えているような印象を受けるのかもしれませんね。
土居:そうですね。金融機関においては、データの利活用がまだまだ遅れていると感じます。それにはもちろん、リスクの管理や従来手法の踏襲など色々な要因があるとは思いますが、大きな要素としては「人手不足」の問題だと感じています。
そこに課題を感じているご担当の方は、ぜひ一緒に課題解決をしていきましょう、とお伝えしたいです。
千葉:データの利活用も、ユーザー同意の取り方含めて、全世界で話題になっていますよね。ここについては僕たちも、正しく使われる利活用のユーザー同意モデルというものを作っていきたいと思っています。
引き続き、まずは先行事例に向けて進んでいきましょう。
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TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々のためにPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を、計12個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。
なお、KYCやeKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。
KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説
(文・長岡武司)