2022年6月27日、政府が「経済財政運営と改革の基本方針2022」(通称:骨太の方針2022)を発表しました。
Web3やGX(グリーントランスフォーメーション)といった領域への言及と併せて、成長と分配をともに高める「人への投資」に向けたスタートアップ支援が強調されました。今後数年は特に、スタートアップの躍進に向けた公的支援施策が増えることになるでしょう。
そんな中、創業間もないスタートアップを含む中小企業に向けて統合型コーポレートカードを提供しているのがfreee finance lab株式会社さま(freee株式会社100%子会社)です。最大限度額5,000万円を実現するコーポレートカードでは、サービス立ち上げ当初よりTRUSTDOCKの本人確認ソリューションを導入いただいています。
今回は、その背景や導入のポイント等についてお話を伺いました。
導入サービス:freeeカード Unlimited
https://www.freee.co.jp/finance/card/unlimitedcard/
統合型コーポレートカード「freeeカード Unlimited」では、独自の与信モデルで分析することで、最大5,000万円の限度額を実現しています。また、スピーディーなカード利用明細の同期によって月次決算をタイムリーに行えることで、バックオフィス業務の効率化を図ることが可能です。
利用している本人確認API
✅ 個人身元確認業務
✅ 補助書類確認業務(委任状)
✅ 法人番号による法人確認業務
「freeeカード Unlimited」への申込時に、eKYC本人確認サービス「TRUSTDOCK」を使った犯罪収益移転防止法準拠の個人身元確認および法人確認を実施しています。
担当者プロフィール
内山 祥平[Shohei Uchiyama]
freee finance lab株式会社
金融事業部 プロダクトマネージャー
スモールビジネスに特化したビジネスカード
--まずは「freeeカード Unlimited」サービスの特徴について教えてください。
内山:大きくは3点あります。
まず、スモールビジネスに特化しているということです。従来の法人カードだと、創業間もないスタートアップや中小企業のお客様では限度額に大きな制限がありました。スタートアップの中には、クレジットカードでしか支払いができないSaaSサービスをふんだんに使うケースも多いので、支払いの観点で大きな課題を抱えていました。
その問題を解決するために、freeeカード Unlimitedでは、限度額を最大5,000万円まで設定できるスキームとしています。具体的には、同期された銀行口座のキャッシュフローデータと弊社独自の審査方法を採用することで実現しています。
--各種広告出稿や大規模プラットフォームのインフラ代など、平気で数千万規模になることもあるでしょうから、これは非常に便利ですね。
2つ目は、「freee会計」とシームレスに連携できるということです。ここはfreeeグループの特徴を生かして、freee会計とカードの利用明細がリアルタイムで同期できるようになっています。一般的なカードの場合はカード会社の締日を待つ必要がありますが、freeeカード Unlimitedでは利用当日から数日以内に全ての利用明細がfreee会計に同期されるので、カード利用明細情報が月締め作業に間に合わないというバックオフィス業務の悩みからも解放されます。
そして3つ目は堅牢性です。当然ながらfreeeカード Unlimitedは金融サービスでありお客さまの大事な情報をお預りすることから、コンプライアンス面含めた信頼性が重要なポイントになります。だからこそ、サービスリリースの当初からしっかりと広い意味でのセキュリティを担保したく、確実な実績を持つTRUSTDOCKさんの本人確認機能を入れることにしました。
導入実績・拡張性・セキュリティ・コスト感を根拠に選定
--本人確認を実施する場合、自社でやる方法と外部にアウトソースする方法の2通りがあると思うのですが、前者は最初から考えていなかったのですか?
そうですね。たとえば免許証の偽造チェックのノウハウを自社で構築しようと思ってもなかなか現実的ではないと思うので、専門の外部の方々にアウトソースできるところにお願いしようとなっていました。
--本人確認の実施について、どんなところに気をつけましたか?
商材が法人カードなので、KYC(Know Your Customer:個人の本人確認)の他にKYB(Know Your Business:法人確認)も必要です。KYCとKYBの両方を安心して任せることができるeKYC事業者を探したときに、そこまで多くの選択肢はなく、その中の一社がTRUSTDOCKさんだったというわけです。
--複数の事業者がいる中で、最終的にTRUSTDOCKを選定いただいた要因は何だったのでしょうか?
他社への導入実績がしっかりとあったことと、eKYCとしての今後の拡張性が期待できること、セキュリティ面がしっかりしていること、それからコスト感がフィットしたことですね。特にコスト感については、毎日何千人も登録するような類の事業構造ではないので、そのような会社であっても導入しやすい価格帯となっていたのが大きかったです。
「納品しておしまい」ではないところがいい
--2021年10月1日にβ版の運用を開始されてTRUSTDOCKも本稼働となったわけですが、導入作業としてはいかがでしたか?
大きな問題もなくスムーズに進みました。実際の開発作業は弊社の別のエンジニアが担当したのですが、特に問題はなく導入しやすかったと聞いています。
--サービスイン後の体制について教えてください。
資格を保有した専門の担当者を配置して、その担当者を中心に対応をしています。具体的には、TRUSTDOCKとの自動連携前後の処理についてマニュアルを作っており、それをもとにユーザー対応をしています。
今はまだ大量の登録があるわけではないのですが、今後、サービスを拡大することで登録数がどんどんと増えていくことが想定されます。よって、体制の増強や自動化の範囲を広げることは常に行なっています。
--TRUSTDOCK導入の効果としてはいかがでしょうか?
基本的には期待通りです。マイナンバーカードにも対応していますし、日々新しい機能が追加されているので、「納品しておしまい」ではないところが非常に良い点だと思っています。
--何かご要望があれば、ぜひこの機会に教えてください。
KYBの部分で「業種チェック」にも対応してもらえたら有り難いなとは思っています。難しいとは思いますが。
--ありがとうございます。業種チェックは確かに多くのお客様からご要望をいただいています。現状は根拠になるものが世の中にないことから難しいと感じていますが、引き続きどのような形で実現できるか検討を進めていきたいと考えています。
ぜひこれからも会社として成長していってほしい
--今後のfreeeカード Unlimitedの展望について教えてください。
短期的な目線では、今後さらに幅広いお客様にご提供していきたいと考えています。現在はIPOを目指されているような大きめのスタートアップやベンチャー企業を中心にご提供していましたが、今後はより多くの事業者にご利用いただけるようなプロダクトとなれるよう検討しています。
また中長期的な話になりますが、freee finance labとしては総合的な金融サービスの会社を目指して、カード以外の金融サービスについても今後展開していきたく、その際には引き続きKYCやKYBの部分でご相談できたらと考えています。
--ぜひ宜しくお願いします。今後TRUSTDOCKに期待することとしてはいかがですか?
日々リリースを見て、着々と導入企業が増えていることを拝見しています。プロダクトがメジャーになればなるほど、機能面やセキュリティ面で私たちが受ける恩恵も大きくなっていくと思うので、ぜひこれからも会社として成長していってほしいなと思います。
--ありがとうございます!それでは最後に、読者の皆さまに一言お願いします。
実績や信頼性など、色々とTRUSTDOCKさんのメリットをお伝えしたと思いますが、一番は「手軽さ」だと感じています。ある程度任せ切れるところが大きいので、そういう意味でとてもいいプロダクトだなと思っています。
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TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を計12個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。
なお、eKYCやKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。
▶︎eKYCとは?オンライン本人確認を徹底解説!メリット、事例、選定ポイント、最新トレンド等
▶︎KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説
(文・長岡武司)