家事代行のようなシェアリングエコノミーサービスでは、安全・安心かつ快適なユーザー体験を提供することがサービスの質向上に繋がります。
ベアーズ様では、家事代行やハウスクリーニング、ベビーシッターといったサービスのスマートフォンアプリ化に伴い、個人身元確認APIを導入。eKYCサービスの選定の流れやAPIの導入の進め方、導入後の効果についてお話を伺いました。
導入サービス:お客様向けスマートフォンアプリ「ベアーズ」
家事代行サービス、ハウスクリーニング、キッズ&ベビーシッターサービス、高齢者支援サービスをはじめとした暮らしサポートサービスを全国主要都市にて展開。手厚い研修制度をはじめとして、高品質でホスピタリティあふれるサービスを恒常的に提供できる体制作りに励んでいる。2017年2月には家事代行産業では日本初となる第三者認証の家事代行サービス認証を受けたほか、国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業でも、事業者認定を受け、国家戦略特区での外国人家事支援人材受入も進めている。
利用している本人確認API
✅ 個人身元確認API
ベアーズでは、従来より提供してきたお客様専用サイト「MyBears」を、2021年1月1日にお客様向けスマートフォンアプリ「ベアーズ」としてリニューアルしました。それに併せて、初回登録時にe-KYC/本人確認APIサービス「TRUSTDOCK」を使って、本人確認を完了させる仕様としています。
担当者プロフィール
(写真右)三田将司[Masashi Mita]
株式会社ベアーズ
事業推進本部 IT戦略室 室長
(写真左)堀仁美[Hitomi Hori]
株式会社ベアーズ
カスタマーサクセス部 マネージャー
安心して仕事についてもらう土壌を作るために、既存サイトをアプリ化
--まずはお二人の現在のお仕事内容と、これまでのご経歴を簡単に教えてください。
三田:現在はIT戦略室長として、今年立ち上げたベアーズアプリの開発を始め、社内外の全体的なDX推進に取り組んでいます。
もともと、教育関連の仕事やブライダル企業でのCX機能の立ち上げなどを経てベアーズに入社し、マーケティング本部を経て、現在の仕事に就きました。
堀:私の方では、現在カスタマーサクセス部のCX担当として、お客様に「ベアーズと契約してよかった」と思ってもらえるように、アプリの運用を含めて日々取り組んでいます。
会社自体は新卒入社でして、以前はマンションのコンシェルジュサービス事業を担当していました。そこから産休・育休を経て、コールセンターでお客様対応を行い、その後現在のカスタマーサクセス部に異動しました。
--いまお話しいただいたベアーズアプリに、今回TRUSTDOCKを導入していただいたわけですが、そもそもお客様専用サイトをアプリ化した目的について教えてください。
三田:今までのユーザー体験は、会社が電話やメールなどである程度ウェットな対応をお客様にしてスタッフさんに案件を渡すことで、案件の決定に時間を要していました。しかし、アプリが登場することで、スタッフさんが自ら手をあげることで自動的に職場へと行ってもらうことができるようになり、案件の決定がスムーズになりました。品質を担保しながら、短い時間で案件の決定ができ顧客体験が大幅に改善できました。
ベアーズでは、家事代行産業の確立と、それに伴うスタッフさんの職業地位の向上を理念として掲げていまして、特に後者の観点から、安心して仕事についてもらう土壌を作ることが一番の大きな目的となります。
--ユーザーとしては、どのような機能があるのでしょうか?
三田:アプリの特徴としては、以下の6点が挙げられます。
①ニーズに合わせたパッケージプランで簡単注文
②スポットサービスの日時がその場で決まる
③サービスの利用予定/履歴や担当者名がすぐに分かる
④アプリ上で簡単にメッセージや評価が送れる
⑤日程変更の相談もフォームでお手軽
⑥暮らしのお困りごともチャットでスムーズに相談できる
三田:また、お掃除やお片付け、お料理、買い物代行などといったカンタン注文はもちろん、シャンプーやトイレットペーパー、洗剤など、お客様の自宅でお使いの日用品をご依頼いただくことも可能になっています。
業界の水準そのものをどんどんと上げていく役割を担っていきたい
--アプリ化の流れで、どのような経緯でTRUSTDOCKのことをご存知になったのでしょうか?
三田:直接のきっかけは、アプリ開発を頼していたシステム会社さんからの紹介でした。
費用をかけるべきかについてのそもそもの検討もあったのですが、ユーザー体験とスタッフさんの体験が一番だからということで、しっかりとお金をかけて導入しようということになりました。
--何かしらのeKYC導入自体は、すぐに決定されたのですね。
三田:ベアーズの会社としてのステージが大きいと思います。業界を牽引する立場として、個人情報含めた運用はしっかりと設計するべきだと思いますし、それによって業界の水準そのものをどんどんと上げていく役割も担っていきたいと、経営陣共々考えています。
あと、私自身が前職で内部統制をやっていたこともあって、この領域に抵抗がなかったこともあるかなとは思います。
--導入の際に、他に検討されたサービスはありますか?
三田:当然、何社様か並行して検討し、最終的に3社に絞って選定を進めました。
その中でのポイントは、やはり様々な業界での実績ですね。大切なお客様の個人情報を取り扱うことになるので、導入サービスが多く、金融機関のような厳格なオペレーション実績も豊富なTRUSTDOCKに決定しました。
アプリ内で本人確認が完結するように設計
--TRUSTDOCKを導入するにあたって、どんなところに気をつけましたか?
堀:本人確認の際にWebサイトに飛ばさないよう、アプリ内で本人確認が完結するようにしました。
--それはなぜでしょうか?
堀:ベアーズアプリでは、スタッフさんが安心して就業できるように、これから向かうお客様がどんな家に住んでいるどんな方なのかをある程度見える化した方が良いと考え、身分証明書の提出による本人確認以外にも、質問事項を多く設定しています。
部屋の広さや家族構成、家の外観、ペットなど。数としては十数項目あって、それが終わった後に今度はWebサイトに変遷するとなると、お客様としてはストレスを感じることになると思うので、アプリ内で完結させたいと考えました。
--ユーザー体験としての仕様決めとして、そのようにされたのですね。
堀:そうですね、ユーザー体験は最初に決めて、導入を進めていきました。
--既存のお客様でも、同じようにアプリでの本人確認を実施されているのですか?
堀:既存のお客様については、すでにベアーズのお客様担当が対面でお会いして身分証明書の確認等を行っているなど、安心が確認でき信頼関係が構築されているので、本人確認は実施済みとしてスキップするように設計しています。
自信をもって、仕組みとして安全面を担保していると言える
--TRUSTDOCK導入による効果は、いかがでしょう?
三田:社内メンバーの自負や士気など、ロイヤリティが上がった印象があります。ちゃんと会社の意思決定を見ているんだなと、しみじみと感じました。
堀:あとは、会社の姿勢として安全面を重視した対応をしっかりと行なっている、ということをはっきりと言えるのが大きいと思います。
三田:家事代行サービスのスタッフ採用で、見知らぬ他人の家で家事を行うなんて心配だという配偶者様の反対から辞退されるケースもあるんです。そこに関して、自信をもって仕組みとして安全面を担保していると言えるのは、スタッフのお仕事に興味を持ってくださる方のご家族にとっても重要なことだと感じます。
--それは業界としても非常に意義のある効果ですね!最後に、読者の皆さまへのメッセージをお願いします。
三田:今回の弊社の取り組みも含めて、シェアリングエコノミー業界全体の水準がもっと上がれば良いなと思います。
堀:これからの時代は、今回導入したようなオンラインでの本人確認は必須の仕組みだなと感じています。
一方で、仮に一回審査NGとなった場合でも、内容と状況によって、サービスを一生使えなくすべきかというと難しい判断です。安全性を確保しつつも、そのあたりの仕組みを継続して考えていければと思っています。
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TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を計10個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。
なお、KYCやeKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。
▶︎KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説
▶︎eKYCとは?オンライン本人確認のメリットやよくある誤解、選定ポイント、事例、最新トレンド等を徹底解説!
(文・長岡武司)