ライフネット生命がTRUSTDOCKのeKYCを選定・導入した理由とは

イベント/セミナーレポート

更新日: 2023/12/05

目次

     2023年10月26〜27日に、金融総合専門紙「ニッキン」(日本金融通信社)が主催する国内最大級の金融機関向けITフェア「FIT2023」が開催されました。

     2000年より継続的に開催されている本フェア(通称:FIT展)には、これまでのべ30万人近くの金融機関および金融機関関係者が来場しており、金融実務と実践に即した交流の場として機能してきました。今回のFIT2023においても、150社以上が様々な金融機関向けソリューションを紹介しており、メイン会場となった東京国際フォーラムのホールは多くの来場者で賑わっていました。

     本記事では、ライフネット生命保険株式会社 取締役 執行役員 システム戦略本部長の横澤 淳平氏をゲストにお迎えし、TRUSTDOCK株式会社 代表取締役CEOの千葉 孝浩が登壇したパネルセッションについてレポートします。

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     「ライフネット生命保険事例紹介!eKYCで変わる契約時の顧客体験と業務DX」と題された本セッションでは、TRUSTDOCKのeKYCサービスを導入しているライフネット生命保険 横澤氏に、eKYC導入の背景や導入後の業務改善効果、今後に向けた取り組み等について伺いました。

     

    パネル:「ライフネット生命保険事例紹介!eKYCで変わる契約時の顧客体験と業務DX」

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    • 横澤 淳平(ライフネット生命保険株式会社 取締役 執行役員 システム戦略本部長)
    • 千葉 孝浩(株式会社TRUSTDOCK 代表取締役 CEO)

    ライフネット生命にとっての「本人確認」の主な役割とは

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     ライフネット生命保険(以下、ライフネット生命)と言えば、オンライン生保のリーディングカンパニーとしてご存知の方も多いのではないでしょうか。同社では「正直に、わかりやすく、安くて、便利に。」を生命保険マニフェストとして掲げており、わかりやすい商品やWebサイト、低廉な保険料の実現、それからオンライン生保ならではのスマホを通じた利便性の提供など、顧客体験の継続的な向上に向けて様々な取り組みを進めています。

     

    「当社はWebサイトが唯一の店舗ですから、安かろう悪かろうではなく、Webサイトとコンタクトセンターに関してはしっかりと品質を確保して高めていきたいと考えています。その成果もあり、HDI-Japan様の格付けベンチマークにおいて業界最多の10回の最高評価(三つ星)をいただいています※」(横澤氏)(※2023/10/27時点)

     

     そんなライフネット生命がeKYCを導入した背景の前情報として、横澤氏は同社にとっての「本人確認」の主な役割について説明を続けます。

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    「やはりWebフォームでの入力ではお客さまによる誤入力はなかなか防ぐことができません。保険会社としてはご契約を以ってしっかりとお客さまに保障をお届けすることが必要なのであって、お客さまと確実にご連絡できるルートの確認と確保等が非常に大切になってきます。よって、本人確認書類を取り付けて、住所や生年月日等の確認を行うようにしています。もちろんその際には、いかにお客さまにストレスを感じさせないような対応とするかに注力しようと考えていました」(横澤氏)

    画像提出率と書類完備率の両方をアップさせたい

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     実は同社では、オンラインでの本人確認書類の提出に2016年時点から取り組んでいました。一方で、本人確認書類完備率や郵送提出希望者の割合に一定の課題があったと、横澤氏は振り返ります。

     

    「ここにある画像提出率とは、お申し込みいただいた方のなかで、画像での本人確認書類の提出をしていただいた方の割合です。78.7%ということでそんなに悪くはないのですが、2割以上の方はご提出いただけておらず、郵送等でご提出いただく必要があることになります。また書類完備率とは、必要な書類が問題なく提出されている割合のことです。こちらは93.6%ということで、6.4%のお客さまは不備によって受け付けられないという状況でした。これを掛け算すると73.7%になってしまい、26.3%の部分において、相対的にコストが高い郵送対応か、もしくはご提出いただけない場合は契約に至らないことになります。よって、この画像提出率と書類完備率をいかに上げていくかが保険契約件数増加の鍵になると考えました」(横澤氏)

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     当初は自社でeKYCの仕組みを構築するという話もあったようでしたが、”餅は餅屋”ということでKYC事業者に頼った方が良いサービスが提供できるだろうとのご判断があり、結果として複数のKYC事業者にお声がけをしていったと言います。

     

    「もともとはお客さまに紙での提出か画像での提出かを選んでいただいていたのですが、思い切って画像提出を標準の動線にし、郵送はあくまで補助動線としての位置付けにすることによって、画像提出率の向上を図りました。また書類完備率についても、最新のUIを提供して画像提出時のコンバージョン率向上を行うようにしました」(横澤氏)

    運用面の柔軟性を特に評価してTRUSTDOCKを選定

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     複数のKYC事業者にお声がけをされたなかで、法令対応状況(犯罪収益移転防止法の要件に準拠等)に関しては事業者間で大きな差を感じなかったものの、一方で「運用」要件に関してはTRUSTDOCKが頭ひとつ抜きん出ていたと、横澤氏は選定理由を述べます。

     

    「他の会社さんはeKYCの技術こそ提供してくださるものの、運用に関しては『業務委託の方を通じて構築してください』という形での対応でした。一方でTRUSTDOCKさんのオペレーションは、24時間365日、年末年始か深夜か否かを問わず3時間以内に結果を返しますということでした。ここが選定した最大のポイントでした。ライフネット生命としてはeKYCの技術を買いたいのではなく、本人確認にまつわる業務そのものを外に出して最新のサービスをお客さまに提供することが目的です。そういう意味でもTRUSTDOCKさんにご依頼することにしました」(横澤氏)

     

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     また、TRUSTDOCKのeKYC導入に伴って、同社では本人確認にまつわる業務フローの見直しも並行して進めました。導入前は、画像による提出があった際に本人確認書類を紙に印刷して、社内担当者による二重のチェックを行ってから査定に進んでいたので、およそ1営業日の所要時間が発生していたと言います。一方で導入後は、TRUSTDOCKのチェック結果を受領することで査定に進めることができるということで、3時間以内での顧客対応が可能になったと、横澤氏は強調します。

     

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    「忘れてはいけないのが、ライフネット生命のマニフェストの『わかりやすさ』はWebサイトにも漏れなく対応が求められ、シンプルでわかりやすいWebサイトを構築していかなければならない点です。TRUSTDOCKさんのUIは当社とマッチするUIかしっかりとチェックしましたし、提供されるAPIによって自社システムとの連携も可能でしたので、いわゆるシステムサイドについても問題がない点も選定においては重要なポイントでした。生命保険会社がネットで保険を売る会社ではなく、ITの会社が生命保険を取り扱っているような、最新のITサービスを通じてお客さまに保険を提供することを当社としては目標に掲げているので、TRUSTDOCKさんのような先進的なサービスを提供している会社さんに対しても、しっかりとリスク評価をしつつ積極的に取り入れていく姿勢でおります」(横澤氏)

    本人確認書類完備率が10%以上改善し、全体のフローも0.4日短縮

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     TRUSTDOCKの導入によって、先ほどの2つの指標にはどのような変化があったのでしょうか。画像提出率と書類完備率、およびそれらを掛け合わせた本人確認書類完備率の変化について、横澤氏は上図で示されたような効果を説明します。

     

    「全体的には10.3%の本人確認書類完備率の改善が見られました。またその結果、申し込みから引き受け審査の応答時間も0.4日短縮しました。ITサービスに求められることの一つはスピードですから、ここを着実に短縮できたのはかなり大きな成果だと考えております。何よりも、お客さまの行動を変えることができたという手応えがありましたね」(横澤氏)

     

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     また、導入後にはTRUSTDOCKに本人確認業務を任せることになったので、それまで担当していたメンバーが、本来注力すべき査定業務に集中して取り組めるようになったことも、副次的な効果として挙げられると横澤氏は紹介しました。

     最後に、同氏から今後の取り組み予定に向けてのコメントがなされ、セッションが締め括られました。

     

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    「今後としましては、インターネット/デジタルサービスとして若年層を起点にお客さまニーズの変化へと柔軟に対応できるよう、サービス展開を進めて参りたいと考えています。また、当社のマニフェストに共感していただける様々なパートナーと、販売やサービス構築含めて展開していきたいと考えております。引き続き応援のほど、宜しくお願いいたします」(横澤氏)

     

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     TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。府省庁においては、金融庁には具体的な業務内容の確認を行い、総務省のIoTサービス創出支援事業では本人確認業務の委託先として採択されました。また、警察庁には犯罪収益移転防止法準拠のeKYCの照会等を行い、経済産業省とはマイナンバーカードを活用した実証実験や省内開催の研究会等でご一緒しています。

     本人確認業務のオンライン化を進める際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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     また、eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々のために、TRUSTDOCKではPDF冊子eKYC導入検討担当者のためのチェックリストを提供しております。eKYC導入までの検討フローや、運用設計を行う上で重要な検討項目等を、計12個のポイントにまとめていますので、こちらもぜひご活用ください。

    eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト

     

     さらに、パネルでもお話のあった継続的顧客管理については以下のホワイトペーパーで簡潔にポイントをまとめてお伝えしているので、こちらも併せてご確認ください。

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    なお、eKYCの詳細については以下の記事でも詳しく説明しているので、併せてご覧ください。

    ▶︎ eKYCとは?オンライン本人確認を徹底解説!メリット、事例、選定ポイント、最新トレンド等

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    (文・長岡武司)

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