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急成長スタートアップが成長痛を超えて、 第2創業期を迎えるためにできること 〜株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ インベストメント・プロフェッショナル 南良平氏と、TRUSTDOCK CEO 千葉孝浩による対談〜

経営

更新日: 2021/06/29

目次

    TRUSTDOCKは2021年6月に、株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズを引受先とした、第三者割当増資を実施しました。

    資金調達のパートナーとしてTRUSTDOCKの経営に伴走しているのは、インベストメント・プロフェッショナルの南良平氏です。

    南氏はこれまでピナクルズ株式会社やギリア株式会社、株式会社Shippioなどに投資した実績を持っています。そんな氏のベンチャーキャピタルとしての哲学、そして「TRUSTDOCKがさらに成長し続けるために必要なこと」をテーマに、CEOの千葉と対談しました。

    話は「TRUSTDOCKも急成長しているスタートアップ企業あるあるの壁にぶつかる」といった俯瞰した視点から、「数字をつくれる営業責任者が必要なのではないか」といった具体的な人材提案にまで広がりました。

    南氏の視点から、変化の真っ只中にあるTRUSTDOCKを知っていただければ幸いです。

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    株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ インベストメント・プロフェッショナル 南良平氏

    前職である大和証券にて未上場企業に対するIPOアドバイザリーや、主に電機セクターの上場企業に対するファイナンスやM&A等の提案及び執行サポートに従事。
    2018年1月、グロービス・キャピタル・パートナーズ入社。主な担当先はピナクルズ株式会社、ギリア株式会社、ファストドクター株式会社、株式会社Shippio、ベルフェイス株式会社、株式会社カケハシ、株式会社Libry、株式会社ルートレック・ネットワークスなど。
    慶応義塾大学経済学部卒、米国カルフォルニア大学バークレー校MBA修了。

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    株式会社TRUSTDOCK 代表取締役CEO 千葉 孝浩 

    前身の株式会社ガイアックスでR&D「シェアリングエコノミー×ブロックチェーン」でのデジタルID研究の結果を基に、日本初のe-KYC/本人確認API「TRUSTDOCK」を事業展開、そして専業会社として独立。シェアリングエコノミー等のCtoC取引に、買取アプリ等の古物商、そして送金や融資、仮想通貨等のフィンテックの口座開設まで、あらゆる法律に準拠したKYC/本人確認をAPI連携のみで実現。様々な事業者を横断した、デジタル社会の個人認証基盤、日本版デジタルアイデンティティの確立を目指す。

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    日本の将来がかかっているスタートアップを支援したい。だから数ある中で、ベンチャーキャピタルのキャリアを選んだ

    ●リーマンショックで感じた無力感が「日本の将来がかかっているスタートアップを支援する」気持ちを突き動かしている

    千葉:今日は南さんの投資をし、数々のスタートアップを見ているベンチャーキャピタルの目からTRUSTDOCKを分析していただこうと思います。そのために、まずは南さんがベンチャーキャピタルのキャリアを歩もうと思ったきっかけから、お聞かせいただけますか?

    南:「日本の将来がかかっているスタートアップを支援したい」という気持ちでベンチャーキャピタルの道を選びました。その気持ちはいまも揺らいでいません。

    千葉:その思いはどこから湧き上がってきたのでしょうか?

    南:大和証券時代に味わった「自分の無力さ」です。当時の私は未上場企業に対するIPOアドバイザリーの仕事をしていて、スタートアップ企業が株式市場にデビューするのを間近で見ることができ、非常にやりがいを感じていました。でも、その頃にリーマンショックが起きました。支援していた4〜5社の上場計画がすべて白紙に戻ってしまいました。そのときの私は、何も出来なかったんです。売上にも利益にも、何も貢献できない。ひとりのビジネスパーソンとして無力さを感じました。

    ●海外のMBA留学でわかった。日本の存在感は薄すぎる

    千葉:過去に感じた無力さが、いまの南さんを突き動かしているんですね。それでも、南さんはいまでもスタートアップの支援を続けていますね。

    南:確かにキャリアチェンジする道もあったかもしれないです。でも、その頃の私は「経営的な引出しをもっと増やしたい」と考えて、社費でMBAを取りました。日本を離れて改めて実感したことことは「日本の地盤沈下」でした。世界に出ると、日本が話題になることはほぼないんですよ。日本の存在感の薄さが際立っていました。

    千葉:外から客観的に日本を見て、危機感を覚えたんですね。

    南:そうですね。経営の知識と危機感を持って帰国してからは、大企業に対するファイナンスやM&A等の提案及び執行サポートの仕事に就きました。

    千葉:「日本の地盤沈下を食い止める」ビジネスを興せそうですね。

    南:私もそう思っていました。でも、そこで話されていたことは「成長が見込みにくい事業を売却しようとか、成長ストーリーを捻り出すためにあの企業を買収しましょうか」など、イノベーションが起きる気配はありませんでした。

    千葉:どういった点で、そのイノベーションの可能性の低さを感じたのでしょうか?

    南:「このままで日本の地盤沈下を防げるのか」といった違和感が決定的になった出来事があります。それが、ある企業での海外ベンチャーの買収の話のときです。NDAを締結することですら3ヶ月かかる。「情報をください」とお願いする立場にも関わらずですよ。話が進んでも「利益の7倍までしか払えません」といった社内ルールをはめてしまう。これから利益を上げるスタートアップに、そんな大企業の論理を持ち出しても話は進まないですよね。案の定、相手の企業からはそっぽを向かれ、他の会社に買収されていきました。

    千葉:ビジネスの現場では、そんなことが起きていたんですね。

    南:こういった経験が積み重なったから「日本の将来がかかっているスタートアップを支援したい」という思いが固まりました。自分で言うのもおこがましいですが、事業会社側のCFO、ないしはIPO担当も選択肢にはありましたし、適性もあったのではないかと思います。でも、自分の強みを考えたときに、少し企業やマーケットを俯瞰的に見て、網羅的に支援する方が成果が出せると思ったんです。黒子的な支援の方が志向にあうと。そう考えたとき、ベンチャーキャピタルのキャリアが、私にとって最適な仕事になると思いました。

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    TRUSTDOCKは「急成長しているスタートアップ企業あるある」の成長痛を感じている

    ●スタートアップの持続的な成長の鍵は、「一点突破する一点」を見つけること

    千葉:ここまで南さんがベンチャーキャピタルのキャリアにたどり着くまでを、概観していただきました。ここからは南さんから見て、TRUSTDOCKのいまの課題をお聞かせいただけますか?

    南:「急成長しているスタートアップ企業あるある」の課題に、TRUSTDOCKも突き当たっている、ないしはこれからぶつかるだろうと見ています。例えばTRUSTDOCKがプロダクトを展開しているeKYC市場は新しく、変化が大きいマーケットです。これまでは持前の機動力と手数の多さ、実行力でニーズを捉え急成長を遂げています。一方で、手数が多い良さはありながらも、若干広げすぎて、全てを同時進行しようとしているように思います。

    千葉:確かに、我々スタートアップは潤沢なリソースが武器ではありません。一点突破する、その一点を見つけるべきタイミングかもしれません。

    ●三顧の礼を尽くして、ヘッドクラスに権限を渡すトランジションが求められている

    南:経営陣にも成長痛があるフェーズに入っているかもしれないですね。TRUSTDOCKのフェーズを考えると、全てにマネジメントの目が届く、自ら現場で手を動かすフェーズを超えて「次の器」になっていくことで成長を実現する必要があります。例えば事業も組織も急拡大しているスタートアップ企業は、「ミドルレイヤー/マネージャーが強い」という共通点がありますよね。そう考えると、いまTRUSTDOCKが採用すべきは事業や各組織を任せられる責任者、例えば数字をつくれる営業責任者だと思います。千葉さんの認識はいかがでしょうか?

    千葉:同じ認識です。いまのTRUSTDOCKには数字にこだわって、実際に数字をつくれる営業責任者が必要です。そのために社内でも経営陣がオペレーティブな仕事から離れて、経営に特化しつつ、メンバーの活躍の幅を広げたいと話していました。

    南:そのためには、いま経営陣が無意識のうちに担っているファンクションを切り離して、部門のヘッドクラスに権限を渡すトランジションが必要ですね。いまのフェーズでいうと、例えばセールス部門にスペシャリティーを持つひとに入社していただいて、そのひとの知見も活かして営業組織を創っていくことになります。

    千葉:採用の方針としては「自分より優秀なひとを採用する」を徹底していますね。

    南:大切なことですね。経営陣が「三顧の礼を尽くしてお願いをする」くらいの優秀なひとを採用をすることが、スタートアップ企業の成長には必要です。極端な話ですが、資金は何とでもなります。特に成長している市場環境にあれば、調達しやすい状況にあります。私たちグロービス・キャピタル・パートナーズも追加投資の用意もあります。でも、ひとのコントロールはなかなか効きません。

    千葉:経営陣の仕事ですよね。TRUSTDOCKが次のフェーズにいけるかどうかは、これから採用する人材にかかっていると自覚しています。

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    組織に変化を起こせる人材。数字をつくれる営業責任者を、経営陣が迎え入れる時期にきている

    ●責任者クラスの人材の活躍には、経営陣のサポートが必須である

    千葉:数字を積み上げられる強みを持つ営業責任者を迎え入れる際に、経営者として気を付けておくべきポイントは何かありますか?責任者クラスの人材は、経営陣との関係が大切になってくるように思います。

    南:TRUSTDOCKはないものをつくる段階なので、経営陣のイエスマンでは何も進みません。確かに、トップの意思決定がすべて正解であればそれでいいですが、そんなケースは稀です。もしくはピラミッドが出来上がっている大企業であれば、いまある仕事を回せば収益は出ますが、TRUSTDOCKはそういった段階でもない。そうなれば、TRUSTDOCKはいまは「血を混ぜる」段階に入ったと認識してもいいくらいです。

    千葉:創業メンバーが変化を受け入れることは、これまでも急成長するスタートアップは経験してきたことだと思います。どう受け入れてきたのでしょうか?

    南:先ほどから「トランジションが大切」と変化を起こす必要性を申し上げました。けれど、変化だけでは成果は出ません。経営陣が「営業責任者クラスの人材をフォローしていく」ことが求められます。

    千葉:変化と変化を支えるバランスが必要なんですね。

    南:そうです。TRUSTDOCKであれば、どんな目的で社内を変えたいか、そのために営業責任者クラスの人材をどういった意図で採用したのかを会社全体に伝える。オンボーディングの段階で既存メンバーと軋轢が生まれたとしても、それが経営の意思に沿っているのであれば入社いただいたひとと既存メンバーの間をしっかり橋渡しして、しっかり成果を出せる環境を作る。「会社に変化を起こして欲しい」と思って入社いただくのであれば、変化を起こす人材を支える必要があるのです。

    ●「ノーガードで議論を尽くしている」社風は、社外には伝わっていないかもしれない

    南:もうひとつ具体的に責任者クラスの人材採用の面でいうと、TRUSTDOCKは対処した方がいい点があるかもしれません。TRUSTDOCKは経営陣にITの知識と経験があり、それぞれ専門性を持っている強さがあります。一緒にディスカッションしていると、4人のバランスも取れています。でも、「ガイアックスからスピンアウトして、経営陣が全員ガイアックス出身者」という事実だけを外から見ると、いわば「血の濃い企業」と見えます。「会社を変えることを期待されて入社しても、変化を起こそうとするひとにとっては風当たりが強い、仲間に入りにくいのでは」と思われる可能性があります。

    千葉:中身はどうであれ、まずは見えるところで判断されてしまいますよね。

    南:実際にどうなんでしょうか?私も経営会議に参加させてもらっても、「TRUSTDOCKは顧客への貢献、市場の成長に集中している」と感じています。過去の役職や実績といったタイトルを引きずっている様子も見えません。

    千葉:ブラックボックスで決まることはないですね。例えば「行間を可視化しよう」が、経営陣だけでなく会社全体の合言葉です。だからチャットひとつでも、「意見や気持ちは言語化すること」を徹底しています。経営陣同士は、会社のメンバー全員が能力を発揮できるように全力でサポートし合いますが、忖度はしません。いわば「ノーガードで議論を尽くしている」経営陣ですよ(笑)。

    南:投資検討時のディスカッションのときでも、経営陣が忖度し合わず、真剣に議論しているのを感じました。そういった「入社すればわかる内側のTRUSTDOCK」と「イメージである外側のTRUSTDOCK」のギャップを埋めていくことも、TRUSTDOCKがこれからも成長していくために必要かもしれませんね。

    ●TRUSTDOCKはパブリックに求められる企業になる

    千葉:私も新しく入社いただくひとが、経験と能力を発揮してTRUSTDOCKを引っ張っていただけるように、小さな成功体験を早めにつくって融和しやすいように伴走していきます。

    南:TRUSTDOCKはポテンシャルを発揮できれば、間違いなく数多くのスタートアップ企業から頭ひとつ抜けて、パブリックから必要とされる企業になります。そして組織が30名、60名、100名と成長していくことになるでしょう。その頃には追加調達も済んでいる、エンタープライズの顧客からの支持が集まっている、金融領域であれば地域金融機関やメガバンクへの足掛かりももうできているでしょう。

    千葉:未来から逆算すると、私たち経営陣も100%ではなかったとしても、経営に特化した時間の配分ができている必要がありますね。そのためには、組織図をより専門特化した形が求められそうです。例えばセールスの中でも既存のお客様のフォローと、新規のお客様へご提案するラインは別々になっていたり。TRUSTDOCKの第2創業期を、これから迎えていきます。

    編集後記

    南氏との対談によって、TRUSTDOCKが「急成長しているスタートアップ企業の成長痛を感じるフェーズに入っている」、「経営陣もトランジションを経験することになる」と変化の真っ只中にあることが改めて可視化されました。

    さらには「変化を起こせる数字をつくれる営業責任者クラスを迎え入れる準備が必要である」こともわかりました。

    TRUSTDOCKは第2創業期を迎え入れるために、これまで以上に経営陣が採用とオンボーディングに力を入れてまいります。

    TRUSTDOCKは積極的に採用活動をしています

    TRUSTDOCKはeKYC市場を一緒につくる仲間を積極的に募集しています。
    ご興味をお持ちいただいた方は、こちらからエントリーいただけますと幸いです。
    一緒に「数字をつくる」ことにこだわり、TRUSTDOCKをパブリックな企業にしていきましょう。

    ●エントリーフォームはこちら

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