一般社団法人Fintech協会が運営する、年に一度のFintechの祭典「Fintech Japan 2020」。コロナ禍を経て新たな生活様式における金融やFintechのあり方を模索するべく、「新しい日常のフィンテック – New Fintech in New Normal – 」をテーマに、11月17日より3日間にかけて、完全オンラインで開催されました。
本記事では、TRUSTDOCK 取締役・肥後彰秀が登壇したパネルディスカッション「インフラストラクチャ(EKYCと情報銀行)の最前線」について、デジタルアイデンティティに関わる部分をレポートします。
しっかりと信頼できるところに、自分の情報を預けたい
セッションのメインテーマとなったのは「オンラインでの本人認証」と「情報銀行」。その背景知識として、まずは日本総合研究所の東博暢氏からのインプットがなされました。
大きな流れとしてまず挙げられたキーワードは「Society 5.0」。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のことを示します。
このSociety 5.0を体現する都市のあり方として「スマートシティ構想」が掲げられており、今年11月に内閣府地方創生推進事務局より発表された「スーパーシティ構想について」資料では、「データの安全管理にかかる基準」や「住民等の個人情報の適切な扱い」の話題が盛り込まれていました。
そして、これを実現する基盤として議論されているのが「情報銀行」という考え方です。東氏は、この医療版ともいうべき医療データの利活用にかかる情報銀行アーキテクチャの実証研究に携わっており、以下のような医療データにおけるデータポータビリティの可能性について、大阪府や金融機関などと連携して実証を進めています。
- 医療データを個人に返すことにより
- 個人の意思に基づく医療データの共有を可能とし、医療サービスの質と効率性を向上し、
- 個人が自らの意思でデータを利活用し便益を得ること
つまるところ、医療でもお金でも、自分に関する情報を「しっかりと信頼できるところに預けたい」という潜在的なニーズに対応したものが、広義の情報銀行であると言えます。
確かめる側」と「名乗る側」の両面でのアプローチが大切
これに対して、昨今のドコモ問題などを経て急速に注目されている本人確認のあり方は、個人の情報に対するリテラシーを問うテーマとして急速に注目されています。情報銀行で課題となる個人の情報リテラシーに関して、TRUSTDOCK肥後は、本人確認という「確かめる側」と、個人のデジタルアイデンティティという「名乗る側」という、両面で捉えることの重要性についてコメントしました。
肥後:「デジタルで出来ることがどんどんと広がり、利便性が高まっている中で、事業者サイドは各自が「法に従っているからいい」だけでは足りません。それぞれが、リスクに応じた対策を実施することが、ますます大切になってきています。
当社が生業としている本人確認も、これからますます大事になってきており、取引ごとに要不要を判断して活用されていくべきかなと思います。」
ここまでは「確かめる側」である事業者サイドの努力についてですが、ここで肥後は「名乗る側」である利用者についても言及。利用者側も適切にエンパワーしていく必要があることを示しました。
肥後:「この領域については事業者だけが努力をしても仕方がないと思っています。僕たちは確かめる側の本人確認をやると同時に、名乗る側を助けたいと思ってデジタル身分証アプリというものを作り込んでいます。
医療情報や口座情報など、相手に必要なものだけを伝えるという観点で、それを実現するために情報銀行が役に立つと感じています。」
本人確認のプロ・TRUSTDOCK
TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として企業のKYC関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションを提供し、またデジタル身分証のプラットフォーマーとして様々な事業者と連携しております。
eKYCソリューションの導入を検討されている企業の方々や、実際に導入プロジェクトを担当されている方々に向けてはPDF冊子「eKYC導入検討担当者のためのチェックリスト」を提供しており、eKYC導入までの検討フローや運用設計を行う上で重要な検討項目等を計12個のポイントにまとめていますので、ぜひご活用ください。
なお、KYCやeKYCの詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。
KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説
(文・長岡武司)