次なる挑戦は、個人側のDX!eKYC業界の開拓者が語る、デジタルIDウォレットのこれから

イベント/セミナーレポート

更新日: 2024/10/01

目次

     2024年9月18日、大和証券株式会社主催のピッチイベント「Daiwa Innovation Network」が、大和証券本社にて行われました。スタートアップ企業と上場企業やベンチャーキャピタル(VC)、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)などの投資家とのマッチングを促す本イベントは、これまで100回以上開催されており、様々な分野での共創を支援してきました。

     今回は、その中でピッチを担当したTRUSTDOCK 代表取締役CEO・千葉 孝浩によるプレゼンテーション内容をお伝えします。

    eKYC(オンライン本人確認)専門機関として導入社数No.1を維持

    din2024_01千葉 孝浩(TRUSTDOCK 代表取締役CEO)

     2017年11月1日に創業したTRUSTDOCKでは、当初から「デジタル社会のインフラをつくる」ことを目指し、事業を展開してまいりました。その中でも、特に「個人・企業(行政)ともに、誠実なデジタル社会」作りを進めるということで、TRUSTDOCKではまず顧客確認のインフラとして、「本人確認」(KYC:Know Your Customer)の領域からの事業展開をスタートさせました。

     

    ※KYCについては以下の記事もご参照ください

    ▶︎KYCとは?あらゆる業界に求められる「本人確認手続き」の最新情報を徹底解説

     

    「銀行の口座開設からネットサービスのアカウント開設/手続き時まで、煩雑な本人確認作業を簡便にすべく、様々な企業様に向けて、オンラインで本人確認を進めることのできる“eKYC”ソリューションをご提供しています」(千葉)

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     こちらのスライドにある通り、eKYCを導入することによって、企業はペーパーレス化を実現し、CO2削減に貢献し、またコロナ禍等においても三密を回避できるなど、複数の課題を同時に解決できます。

     

    「現在は、こういったeKYC含む様々な“顧客確認”という、疎結合な単一業務にまとめて対応できるように、APIプロダクトの提供という形でご提供しています。これにより、 システム開発者が柔軟にプロセス設計できるようにしています」(千葉)

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     API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやアプリケーション同士が互いにコミュニケーションを取るための「ルール」や「方法」を定めたものです。TRUSTDOCKでは、エンドユーザーである一般個人のオンライン本人確認(eKYC)はもちろん、マイナンバーの収集業務や、取引先企業が問題ない法人かを確認する法人確認/反社チェックまで、様々な業務を一つのプラットフォームで対応できるように、APIでの提供でサービスを設計しています。よって、以下のスライドにある通り、企業の組織体制や環境に合わせて提供形態を柔軟に選ぶことができるようになっています。

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    「おかげさまで業種業態を問わず、導入社数が3年連続で業界No.1です。この中で皆様がお使いいただいているサービスも一つはあるのではないでしょうか。官民問わず様々な企業・団体等へのソリューション提供を24時間365日体制で行っているので、顧客確認に関する膨大なノウハウが日々溜まってきています」(千葉)

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    「また有難いことに、RegTechと呼ばれる“規制×テクノロジー”の分野でも、様々な賞を受賞させていただいております」(千葉)

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     本人確認そのものは様々な業種業態で行われていますが、それらのデジタル化はまだまだ道半ばなので、KYC/eKYC市場も引き続き拡大傾向にあると言えます。そんな中、TRUSTDOCKでは、次なる取り組みとして、「身分証のデジタル化」事業をスタートさせています。

    次なる挑戦は「本人確認をする個人」のデジタル化

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     ここまでお伝えしてきた顧客確認は「確かめる側」、つまりは本人確認含む顧客確認を行う企業サイドの話(上図の下段部分)になります。一方で、先述した身分証のデジタル化は「名乗る側」、つまりは本人確認をされる側の話(上図の上段部分)になります。個人が自己証明する時のデジタル化の話です。

     この「名乗る側」と「確かめる側」は対の関係であることを前提に仕組みづくりを進めていくことが大切であり、確かめる側のeKYCが拡大したことで、名乗る側の環境整備も出来てきたと千葉は強調します。

     

    「創業当初から私たちTRUSTDOCKでは、この『名乗る側』の事業展開を想定しておりました。ここでは事業者側がもつ顧客確認の課題ではなく、 個人側が持つ課題を中心に取り組む必要があると考えています。つまり、個人データの管理や自己証明に関して取り組んでいきたいと考えています」(千葉)

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     本人確認のデジタル化を進める際には、「確かめる側」(事業者側)のDX(デジタルトランスフォーメーション)だけでは足りません。例えば、事業者ごとに何度も面倒なeKYC用の身分証撮影を行う必要があるという事態は、一社一社の事業者の業務をDXするだけでは解消できません。また一般消費者の中には、自分の身分証画像や顔写真を色々な企業に提供したくない、という方も多いことが想定されます。もっとキャッシュレス決済の要領で、物理的な身分証カード等が手元になくても簡単に本人確認を完結させたい。そんな「名乗る側」のニーズを解決すべく進めているのが、TRUSTDOCKの「デジタルIDウォレット」アプリになります。

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    「これまでご提供してきたTRUSTDOCKアプリの大幅リニューアルが2024年7月に完了し、同年8月から新しく『個人データ管理のダッシュボード』というコンセプトでアプリのご提供を開始しています。これが普及することで、企業側でなく個人データが個人に帰属する社会が実現し、個人・企業(行政)ともに誠実なデジタル社会を作っていくことができると考えています」(千葉)

    新生デジタルIDウォレット「TRUSTDOCK」の機能とは

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    「実はあまり外には公表していないのですが、現時点(プレゼン実施時)で130万以上ダウンロードされているアプリです。このデジタルIDウォレットでは、正確な基本4情報を有した『認証アカウント』というコンセプトでご提供していきたいと考えています」(千葉)

     

     ここでいう基本4情報とは、氏名、住所、生年月日、性別の4つの情報のことを指します。正確な基本4情報をもつことで、デジタルIDウォレットでは以下の機能を提供することを想定しています。

    1. 個人データの提供
    2. パスワードレスログイン
    3. 本アプリ連携によるデータ提供の履歴閲覧
    4. 様々な法規制に対応したeKYC機能

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    「本アプリでは基本4情報だけでなく、メールアドレスや電話番号、学歴、職歴、世帯情報など、様々な属性データを格納する予定です。もちろん、ユーザーへの事前同意の下でです。これにより、例えば一つ目の個人データ提供機能に関しては、何かしらのサービス会員登録時において本アプリに格納されているデータを会員登録フォームに初期値として自動入力し、ユーザーが手入力する項目を削減できるようにしたいと考えています。これにより、ユーザーとしては会員登録時の面倒が一気に解消されることになり、また企業としてもサービスへのCVR(コンバージョン)の向上に貢献すると考えています」(千葉)

     

     また、本アプリを組み込んで「TRUSTDOCK」ボタンを設置することで、パスワードレスでのログインを設計することも可能です。アプリを認証器として利用することで、昨今急増している「なりすまし」対策として機能しつつ、ユーザーにとってもパスワード紛失等のリスクを解消することにつながります。

     

    「さらに、ユーザーにとっては、自分がどのサービスにどんな情報を提供したかを確認する機能も提供する予定です。データ提供履歴に透明性を持たせることで、ユーザーの個人情報にまつわる不安を大幅に軽減できると考えています」(千葉)

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    「もちろん、従来よりご提供してきた様々な法規制に対応したeKYC機能も引き続きお使いいただけます。これらの機能を通じて、例えば新規会員登録時のデータ自動入力や、会員ログイン時のパスワードレスログイン、オフラインにおいても店舗のセルフレジ・無人レジ等での年齢確認や、限定商品等における転売防止目的での本人確認、店舗や施設・催事などでの来場者確認など、様々なユースケースでご利用いただけると考えております」(千葉)

    人生に寄り添う存在、それがTRUSTDOCK

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     最後に千葉は、「あらゆる自己証明を、デジタルで、しかも法規制を満たした形で、提供できるTRUSTDOCKの環境を活かして、個人の人生に寄り添っていく」旨を説明して、プレゼンテーションを終えました。

     

    「今後は本アプリを軸に、『揺りかごから墓場まで』の人生のライフイベント・シーンで、 KYC以外の様々な『 BtoCプロダクト・サービス』も展開していきたいと考えています。人生に寄り添う存在、それがTRUSTDOCKということで、これからも引き続きよろしくお願いいたします」(千葉)

     

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     TRUSTDOCKでは、“本人確認のプロ”として、様々な企業・団体の顧客確認関連業務をワンストップで支援するAPIソリューションおよびデジタルIDウォレットをご提供しています。

     また、本人確認業務に関して関係省庁や関連団体との連携も深めており、金融庁には業務内容の確認を、経済産業省とはRegTechについての意見交換を、さらに総務省のIoTサービス創 出支援事業においては本人確認業務の委託先として採択され、警察庁には犯収法準拠のeKYCの紹介等をといった取り組みも行っています。

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     ぜひ、まずは本アプリをダウンロードいただき、様々なサービスでの本人確認等にお役立ていただければと思います。

     なお、TRUSTDOCKではデジタル社会で不可欠な基盤となる「本人確認」について図解でわかりやすくまとめた書籍『60分でわかる!デジタル本人確認&KYC 超入門』(技術評論社)を執筆・監修しています。

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     デジタル技術を活用した本人確認(デジタル本人確認)に関する基礎知識、マイナンバーカードを含む本人確認書類の特徴、セキュリティ問題などを整理し、公的利用や民間事業者の最新活用事例まで紹介していますので、ぜひ書店等でお手にとってご覧ください。

    書籍概要

    • タイトル:60分でわかる!デジタル本人確認&KYC 超入門
    • 著者:株式会社TRUSTDOCK 神谷 英亮、笠原 基和、中村 竜人、渡辺 良光
    • 出版社:技術評論社
    • 発売日:2023/7/15
    • 言語:日本語
    • 単行本(ソフトカバー):152ページ ※Kindle版(電子書籍)も発売いたします
    • ISBN-10:4297135930
    • ISBN-13:978-4297135935
    • 定価:1,430円

    ▼オンラインでの購入はこちらから
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    (文・長岡武司)

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