2020年9月に入社当時の五島は、TRUSTDOCKの開発言語であるRubyは未経験でした。いまでは機能開発からインフラ、運用、セキュリティといったお客様にデリバリーするまでの大部分に関わるテックリードの役割を担うほどになっています。
「入社して2年間で大きな成長を実感する」と話す五島は、どんな経験をしたのでしょうか?入社前の目標のひとつでもあった「フルスタックエンジニアになる」は、「フルサイクルエンジニアになる」に姿を変えているとも話します。
五島が考える「フルサイクルエンジニア」とは何なのでしょうか?また、インフラチームを牽引する立場から見た組織のフェーズと、そこで成長を感じられるエンジニアの特徴までインタビューしました。
株式会社TRUSTDOCK エンジニア 五島宙也
HR、SCM領域の大手ERPパッケージベンダーのSRE(Site Reliability Engineering)として基盤開発/設計/構築/運用に携わる。参加したプロジェクトには稼働率の導入、顧客通知システムの実装、CI/CD環境の構築がある。
2020年9月にTRUSTDOCKに入社し、本人確認業務用のシステムの開発/保守/運用、DevOpsやインフラの改善を担当している。機能開発からインフラ、運用、セキュリティといったお客様にデリバリーするまでの部分を担う。業務外でもQiita投稿や競技プログラミングを継続して行う。
――五島さんはTRUSTDOCKの開発言語であるRubyは未経験で2020年9月に入社して、2年が経ちましたね。(2022年9月現在)
五島:その頃の転職インタビューが懐かしいですね。当時はフルスタックエンジニアとして成長したくて入社しました。「未経験の開発言語だけど大丈夫かな」と一瞬よぎりはしましたが、TRUSTDOCKが目指す「社会インフラの実装」という難易度の高い仕事への興味が勝りました。
―目標としていたフルスタックエンジニアには近づけましたか?
五島:実はいまはフルスタックエンジニアを目指してはいないんです。入社して2年経ったいまなら言葉にできます。私はフルスタック以上に「フルサイクルエンジニア」を志向していたんです。「設計からサポートまでの一連の開発サイクルのすべてに関わるエンジニア」ですね。事業理解が必須のエンジニアとも言えます。転職活動では成熟した組織よりも、これから成長する余白が大きい組織を望んでいました。これから成長する組織は自身が関わる開発サイクルの領域が広くなると思っていたからです。
――「フルサイクルエンジニア」という言葉があるんですね。
五島:私も入社前には知りませんでした。入社してからは機能開発からインフラ、運用、セキュリティといったお客様にデリバリーするまでの大部分に関わることができています。フルサイクルエンジニアとして想定していた部分は実現できています。
――いまはどんな仕事をしていますか?
五島:私のSRE(Site Reliability Engineering)としての仕事の目的は、目標のMRRを達成するための非機能要件の追加と、目標のMRRを達成した時に持続可能な開発組織になっていることです。インフラ・運用などのSRE(Site Reliability Engineering)的な業務は私の得意分野でもあるので、いまのチームではテックリード的な役割になっています。セキュリティについてはISMSの取得から関わりはじめて、セキュリティ業務の大部分に関わっています。
――具体的にはどんな仕事でしょうか?
五島:ざっと箇条書きにしますね。
■可用性、品質の向上
日々のアラート確認とそのアラート改善を実施している
インフラ部分だけでなく、サーバーサイド部分のアラートについてもSREで修正を実施している
■生産性の向上
運用上発生してしまう業務の自動化や仕組みの構築を主に実施している
デプロイ時のテストの自動化、CIの成功率の改善、など
■ インフラ、基盤開発
新サービスのインフラ構築、データ基盤の構築など
■ セキュリティ
ISMS、Pマーク、脆弱性対応、ドキュメント作成、顧客要望の対応、セキュリティシート対応、委託先管理など
――多岐にわたっていますね。
五島:これまでの職場が機能開発、インフラ、運用などで分業して横断した改善をするのが難しい経験をしました。業務のドメイン知識を把握するのが難しいことに加え、権限分離として機能開発側の業務をすることができませんでした。開発サイクルの特定の業務しかできないことがストレスだったんですよ。
――仕事の幅広さが苦にはならないのでしょうか?
五島:いまはノーストレスですね。それに「お客様が当たり前に安心してサービスを使っていただきたい」と考えると、することはたくさん見つかります。TRUSTDOCKは「デジタル社会のインフラの実装」を目指しているので、安心感は絶対に必要です。転職前に願っていた「難易度の高い挑戦」がこれからも続けられると思うと嬉しいですね。
――入社して「フルサイクルエンジニアのキャリアを歩みたい」とわかり、実際に歩めているとのことでした。「大変だったけど成長できた経験」はありますか?
五島:もちろんです。私にとって良い経験は、サーバーサイドの開発で業務委託のメンバーと新規機能を開発することでした。CTOの荘野さんと要件を詰めて実装の検討をし、コードを書いて品質保証を行う。リリースしていく工程をそれぞれディレクションしていくことが主な業務でした。
――その仕事のどの部分で成長できたと感じたのでしょうか?
五島:なかなか開発のスピードや成果を上げることができず、難しさを感じていた時期がありました。そこから担当するメンバーが一番力を発揮できる形で課題を分解して委ねる方が成果が出しやすいことに気づきました。逆にイシューのまま渡される方が力を発揮できるメンバーもいました。この「メンバーの特性に合わせたディレクション」で成果を出したことは、大きな成長を感じられた瞬間です。これまでは「ある程度丸投げして、もしくはされてマンパワーで解決」してきたので、なかなか気づけませんでした。
――大きな方向転換だったんですね。ひとりで進めたのでしょうか?
五島:開発上で困ったことをCTOの荘野さんに相談することが多く、どんな問題でも一緒に答えを考えてくれたことが大きかったです。個人の力を最大化するプロジェクトの進め方を目の前で見せてもらったと感じます。否定も放置もされず、いわゆる「心理的安全性とはこういうものか」と思いました。
――壁を超えようとして初めての方法を試すときに、メンバーのサポートがあったんですね。
五島:そうですね。力を貸してくれるメンバーに恵まれています。最近は私も相談を受けることが多くなりました。どんな問題でも一緒に答えを考える姿勢を心がけるようになっています。考え方が変わった点で成長したなと思います。
――テックリードの役割を担ったり、ディレクションをする五島さんの立場から見て、いまのエンジニア組織はどのように映っていますか?
五島:TRUSTDOCKのeKYCプロダクトを使っていただく事業者様の数が増え、会社の属性もスタートアップだけでなくエンプラ系の企業の割合も増えてきているフェーズだと思います。エンジニアの視点から見ると、保守性や可用性、セキュリティをさらに洗練させる段階です。
――いよいよ「社会インフラを実装する会社」にふさわしくなってきたかもしれませんね。
五島:わくわくしますね。いまのフェーズは品質の高いシステムをつくることに興味がある人にはおすすめです。私自身もその環境で成長できていると感じます。開発スキルだけでもRubyを使ったWebアプリの開発や保守性を意識したコードの書き方からはじまって、セキュリティに関しては情報セキュリティのルールをつくる力と運用、セキュリティ認証への理解(ISO27001/27017, Pマーク)です。
――ディレクションのスキルも身につきましたね。
五島:そうですね。これまで経験していなかった「メンバーの特性に合わせたディレクション」で成果を出す経験も、TRUSTDOCKに入社したからこそできたことです。
――どんなメンバーと経験が積めるのでしょうか?
五島:例えばSREエンジニアの坪井さんは、多種多様な課題に努力しながら解決している姿、情熱を持ってプロダクト開発している姿が魅力的です。Railsの開発力と本人確認のドメイン知識も随一で尊敬しているし信頼しています。
――創業時から在籍しているメンバーのひとりですね。
五島:坪井さんの情熱は「エンジニアの中で一番TRUSTDOCKが好きなんじゃないかな」と思うほどです。こういった情熱は未経験の開発をするときにエンジンになるんです。コーポレートエンジニアとして経験がないところから一緒に試行錯誤している山方さんは、分からないことでも前向きに取り組む姿勢で引っ張ってくれます。
――頼もしいメンバーが揃っているんですね。
五島:サーバーサイドメンバーは特に技術力が高いひとが多いので、技術力を磨きたいひとが馴染みやすい環境があると思います。
――五島さんは今後は何を目指していきますか?
五島:最近では、自分の専門性がない分野(山方さんが携わっている情報システムなど)にも関わりはじめています。「正しくリードできていないかもしれない」と悩むこともあります。いまは仕事の幅を広げているので、今後は分野を絞って専門性をつくる動きもしたいなと思っています。
――仕事の幅を広げたり専門性を身につけたりと、働き方を変えられるんですね。
五島:仕事のテーマは常に持っていたいですよね。それができるのも、TRUSTDOCKのいまの組織フェーズが後押ししてくれるからです。eKYCは世の中からますます求められるようになり、同時にTRUSTDOCKも組織として成長していきます。分業化も進んでいくでしょう。でも、「フルサイクルエンジニア」を目指す私自身が未来にもわくわくしているように、興味があることはどんどん挑戦できる風土は残っていくはずです。これからも「デジタル社会のインフラの実装」に向かって、エンジニアとして成長していけたらと思います。
(話し手・五島宙也/文・佐野創太/編集、監修:TRUSTDOCK採用広報チーム)
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