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「冗長化」が家事・育児と仕事の両立の鍵でした。エンジニアの強みを生かした分担ノウハウが、家族の絆を深めてくれています〜TRUSTDOCK エンジニア・坪井有花の産休・育休インタビュー(後編)〜

作成者: TRUSTDOCK Staff|2021/07/26

育休インタビュー後編として、エンジニア・坪井有花の家事・育児ノウハウを公開してもらいます。

「なぜ採用ページで家事・育児ノウハウを?」を思われる方も多いかと思います。けれど、坪井のノウハウはエンジニアの強みを生かしたものであり、試行錯誤と「仕事と家事・育児を両立させるには」と悩み抜いた結果でした。


このプロセスは仕事に真剣に向き合う方のお役に立てるのではと判断し、公開いたします。それでは、「冗長化」をキーワードにしたエンジニア色の濃い家事・育児ノウハウをご覧くださいませ。

株式会社TRUSTDOCK エンジニア 坪井 有花

学生時代に事業創出イベントへの参加を通じて、仮説検証を重ねながらプロダクトを模索していく難しさと面白さを知る。新規事業を担える企業を中心に就職活動をし、2015年に株式会社ガイアックスへ入社した。エンジニアとして経験を積み、2016年に創業期のTRUSTDOCKに参画。本人確認APIプラットフォームや身分証カメラアプリの設計開発及び運用に携わっている。高知工科大学情報学群卒。

家事分担のポイントは、家事の冗長化でした

●システムと同じ。夫婦でもバックアップを取る

坪井:まさかTRUSTDOCKで家事・育児のノウハウを聞かれるとは思いませんでした(笑)。

――エンジニアの強みが色濃く反映されているとお聞きしまして(笑)。坪井家はどういった点を重視して、家事と育児を分担しているのでしょうか?

坪井:ポイントは「冗長化」でした。家の中でも何も起きていない日常のときからバックアップを取っておくことことを大事にしています。システムに障害が発生しても、全体の機能を端然に保ちますよね。システムと家族の間に共通点があるんですよ。

――「冗長化」を育児・家事に当てはめるとどうなるでしょうか?

坪井:夫と私、どちらかしかできない育児や家事は極力なくすことになります。生きていれば心身共に疲れることもあるので、そういうときにもう一人が役割を担えることが理想だと思っています。夫婦でお互いのバックアップを取るイメージですね。

――育児や家事は、得意・不得意で分担するという考えもありますが、坪井家はどうでしょうか?

坪井:我が家も得意不得意はあります。例えば、夫は「料理が好きだ」と言ってくれます。夫がつくる料理はとても美味しいので、いつも「美味しい!」と言って食べていたらさらに磨きがかかっていき、牛すじのトマト煮込みなどお洒落な食事をつくってくれるようになっています。

●夫婦の総幸福量が高くなる分担を目指す

坪井:夫は料理の上達のスピードも早いです(笑)。私は料理がどちらかというと苦手なので、とても有難い話です。でも、「冗長化」の観点から考えると、私も料理ができる必要があります。夫が疲れていて料理ができなくなったら「今日は子どもにご飯を食べさせられない」なんて状態になってしまいますから。

――旦那さまのバックアップを坪井さんがするんですね。

坪井:そうです。だから育休中には毎日夜ご飯をつくってみたりもしました。でも、私が苦労してつくってもあまり楽しくないんですよね(苦笑)。たまに夫がやると嬉々としてご馳走をつくるので、これは夫にやってもらった方がいいなと判断しました。

――旦那さまは料理が本当にお好きなんですね。

坪井:同じことをやっても夫婦の総幸福量が高くなる分担にしようと思いました(笑)。洗濯や食器洗い、床掃除などは私が進んでやり、美味しい料理をつくってくれる分はそちらで返していけるようにしています。

――坪井さんの得意も見えてきましたか?

坪井:これもエンジニアの性格なのか、「期日がある細々としたタスクをこなすこと」が得意です。例えば保育園の見学や入園手続きなどは私がやっていました。これまでも、引っ越しや旅行などの計画も、気付けば私がやっていることが多いです。

――仕事で身に付けた強みを家事にも応用するということですね!

坪井:いえ、全て想定外です(笑)。まずはお互いですべてやってみて、その中で出てくるやりたくてついやってしまうことを主担当としてする。これがうまくいく分担のコツのようです。

家事や育児をマニュアル化したら、ゆとりある「子どもに向き合う時間」と「夫婦の時間」が生まれました

――家事分担に「冗長化」の考え方を採用した坪井家は、お互いの得意を生かしつつ、万が一のときには交代できる体制を整えていました。育児に関しては何を重視しているでしょうか?

坪井:育児もポイントは「冗長化」です。夫も私も授乳・おむつ替え・寝かしつけ・お風呂・離乳食の調理などができ、どちらかしかできないことはほぼありません。

――徹底されていますね。

坪井:仕事と同じように真剣ですから(笑)。でも、最初は分担はなく「お互いに気付いたらやる」スタイルでした。生後3ヶ月ごろから徐々に毎日の家事・育児はルーチン化させ、分担も固定して効率化させるようにしていきました。記録やノウハウを積極的に共有することが大事だとわかったんですよね。

――「冗長化」を徹底するためには、共有にポイントがあったんですね。

坪井:ノウハウっぽくしてくださってありがとうございます(笑)。例えば、生後6ヶ月の夕方のルーチンだと以下のような感じです。

坪井:いえ、この分担はもっとオペレーションが細かいです。一挙一動レベルでマニュアル化しつつ、状況が変わるたびに適宜更新しています。

――マニュアル化していれば、いざというときに夫婦で役割を交代できますね。

坪井:そうなんですよ。家事や育児のオペレーションを細かく共有することで「冗長化」できます。家事や育児をマニュアル化するなんていうと機械的に見えちゃうかもですが、このことで余裕が生まれるんですよね。この余裕があるから子どもとゆっくり遊べたり、夫婦の会話時間を持てるようになります。

夫婦2人の育児モチベーションは、「子どもの成長共有日記」で上がりました

――夫婦でいつでも役割を交代できるように細かく家事や育児を分解して共有しているとのことでしたが、特に共有を重視している点はありますか?

坪井:日中の子どもの様子を積極的に共有しています。理由は、夫が育休から復帰してからは、日中の子どものお世話は私がほとんどすることになったからですね。夫に育児の様子が見えなくなってしまうんです。

――旦那さんは育休が終わったら出勤ですもんね。

坪井:そうです。夫も子どもの様子を知りたがっていますからね。例えば、以下のように共有しています。

――これは・・・!早く帰宅したくなる内容ですね!

坪井:良かったです!でも、決して「早く帰ってきなさいよ」の意味ではないです(笑)。私の育児モチベーションを高める意味合いも込めて、保育園の日誌をイメージして我が子の様子を報告していたりします。一番身近な存在である夫に、子どものことを話したくなるんですよね。

――いまは簡単に写メを撮って共有したりもできますね。

坪井:そうですね。この記録を見ながら「こんなこともできるようになったんだね〜」と話せるようになって、夫婦で子どもを育てている実感がさらに強まります。

育児は試行錯誤の連続。でも、だから家族の絆がぐっと深まりました

――「冗長化」や共有など、具体的な家事・育児ノウハウをお話しいただきましたが、すぐにこの体制はつくれたのでしょうか?

坪井:いえいえ、夫婦で試行錯誤した結果です。子どもが生まれてからは、夫婦2人暮らしのときとは比べものにならないほど家事が増え、1日のスケジュールが過密になり、自分の時間が取りにくくなりました。

――生活の中心が、夫婦2人から子ども中心へと変わりますよね。

坪井:そうなんですよ。離乳食が1日2回になるころには、子どもにとって理想的な起床と就寝、授乳、離乳食、入浴の時間を守りながら、子どもの遊び相手をし、家事をこなす必要も発生します。言葉にするのは簡単ですが、離乳食を食べずに暴れるのを何とかなだめたり、家事をしている最中に泣くのをあやしたり、夜遅くまで寝てくれず途方にくれたりと、思うとおりにいかないことも多くありましたよ。

――想像以上に大変ですよね・・・。

坪井:初めてのことばかりですからね。そんな中で、家事・育児の分担、悩みの共有、ノウハウの蓄積など、日々の改善は必須で、かつエキサイティングでした。子どもは日々成長するので、昨日までのやり方が今日は通じないこともあります。

――成長共有日記をつけていると、その変化をさらに感じられそうです。

坪井:いまは情報も多く、ブログを探したり本を読んだりYouTube動画を見てみたり。毎日が、「こうしてみたらどうか。ああしたらもっと上手くいくかも」の試行錯誤の繰り返しでした。いまもですけどね(笑)。

――これからも続きますよね。

坪井:でも、「何もわからない」状態がずっと続くわけではないことも理解してきました。あるときを境に、それまで上手くいかなかったことが突然軌道に乗ります。ミルクを飲んでも吐かなくなったり、抱っこですぐ寝るようになったり、離乳食をパクパクと食べ始めたり、真夜中に目覚めなくなったり。少しの間なら一人で遊べるようになったりもします。

――子どもも試行錯誤しているのかもしれないですね。

坪井:そうそう。親がなんとか試行錯誤しているうちに、子ども自身がうまくできるようになっているみたいです。そうした子どもの成長を感じるたびに、感慨深い気持ちになります。苦労はいまももちろんあります。でも、夫婦というチームで試行錯誤しながら、子どもの成長を間近で見て喜びあえる日々は、家族としての絆をぐっと深めてくれました。

仕事が好きだからこそ悩んだ「いつ子どもをつくるべきか」。悩み抜いた結果は「いまが一番いいタイミング」でした

――こうして話を聞いていると、坪井さんは仕事もお好きそうですよね。家事も育児も仕事と近い楽しみ方をしているように感じられます。

坪井:家事も育児も、仕事と同じように改善していくことが好きですしね〜。でも、仕事が好きだからこそ悩んだことがありました。私の場合は、「子どもをいつ授かるべきなのか」に一番の悩みでした。

――仕事一本で生きる選択肢もあったのでしょうか?

坪井:いえ、子どもはほしいと思っていました。それに、将来はいまの仕事を子どもに誇らしく伝えられるような、仕事の楽しさを伝えられるような母親になりたいという夢もありました。でも子どもができたら、仕事を休まなければならなくなる。復帰しても、子どもがいなかったときと同じようには生活できない。だからある程度までスキルや経験を積んだら…と考えていました。

――区切りがついたから、育児を具体的に考えられたのでしょうか?

坪井:それがさらに悩みは深まったんです。スキルや経験を積めば積むほど、仕事はどんどん面白くなり、責任もどんどん重くなっていきました。「きっと1年後、2年後にはさらに仕事は面白くなっているし、もっと休みにくくなっている」。そう気づいてから、「いまが子どもをつくる一番いいタイミングなんだ」と思い至りました。

――仕事が好きな方ならではの、仕事と育児の悩みがあったんですね。

坪井:いま振り返って考えてみると、スタートアップの成長期ならではの葛藤だったのかもしれません。普通のスタートアップなら、このタイミングでの妊娠や出産はあまり歓迎されなかったかもしれません。

――スタートアップにはまだ「家族よりも仕事を優先する」イメージがあるかもしれないですよね。

坪井:「いまは仕事に集中して欲しい」と言われる可能性が0ではないですよね。

TRUSTDOCKは子どものいるメンバーが多かったので、安心して自分と仕事のタイミングを見て決断することができたんです。感謝しています。だから、すべての方に当てはまることはないかと思いますが、「子どもは欲しいけれど、仕事は面白い。これからどんどん面白くなる」という方なら、「むしろいまが育児をはじめる一番いいタイミング」かもしれません。スタートアップでも仕事と育児を両立できるひとが増えることを願っています。

編集後記

坪井の家事・育児ノウハウは、エンジニアらしい「冗長化」と「共有」を軸にしたものです。改善を繰り返す姿からは「仕事好き」の一面も浮かび上がってきました。

一方で「いつが子どもをつくる区切りなのか」に悩んでいたことも明かしてくれました。仕事が好きな坪井ならではの悩みであり、これはスタートアップで働く方の共通点かもしれません。

●前編はこちらからご覧ください

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