TRUSTDOCKでは入社初日からリモートワーク中心の勤務ながら「すぐにキャッチアップできた」という声がよく聞こえてきます。その背景には「オンボーディング※の注力」があります。
※オンボーディング:採用したメンバーの受け入れから定着、実力の発揮までを早期に行なうための施策
60名のフルリモート体制(2022年8月現在)で成長を続けるために、「中途入社者のオンボーディング」はどのように設計され、運用されているのでしょうか。採用から人事制度の設計を統括する人事マネージャーの千葉直子にインタビューしました。
全社と配属チームのプログラムという2つのオンボーディングを設計する理由から、TRUSTDOCKのメンバーが強みを活かしながら早期に活躍している様子が伺えました。
株式会社TRUSTDOCK 人事マネージャー 千葉直子
新卒で銀行に就職。2008年に株式会社ガイアックスに入社し、採用チームの立ち上げ・制度企画・人材育成の他、広報と総務など幅広く従事する。2014年にクックパッド株式会社に入社後は、人事企画職として新卒採用・評価制度・人材育成の他、福利厚生の制度設計を推進する。
TRUSTDOCK事業の社会貢献性に共感し、創業期から参画。現在まで人事マネージャーとして採用をはじめ、人事制度設計、労務等人事領域全般を牽引する。企業が成長するその時々で変化していく企業と個人のベストな在り方の創造・実現を目指している。
――「オンボーディング」はまだまだ新しい概念であり、調査※では「オンボーディング」という言葉を知っている企業は44%、中途採用者のオンボーディングに力を入れている企業は41%という結果も出ています。その中でTRUSTDOCKがオンボーディングに注力する理由は何でしょうか?
※調査:エン・ジャパン株式会社 『中途入社者のオンボーディング』と『入社後活躍』 に関する調査・分析 ~甲南⼤学 尾形教授との共同研究~
千葉直子:中途入社者の方には「これまでの経験を活かしてすぐに成果を出してもらえる」と期待しがちです。でも、どんなに経験のあるメンバーでも新しい環境で自分の実力を発揮するためには、まずは「環境やひとを知り、慣れるというステップ」が必要だと考えています。そのステップとしてオンボーディングの期間をとっています。
――セールス担当の高橋さんが「わからないことがあったら必ず聞いてください。必ず誰かが答えます。放置することは絶対にありません」と話していましたね。
千葉直子:その考え方もTRUSTDOCKの社風のひとつですね。オンボーディングの施策の中でも、ひとのサポートは重要です。
――オンボーディングを受けるのも実施するのもひとですしね。
千葉直子:そうですね。ご入社された方も「早く結果を出さないと」と焦る気持ちがあると思います。私も転職経験がありますが、「早く成果を上げよう」という気持ちが空回りしそうなときもありました。最初の1〜2ヶ月は「何がわからないかを知る」「わからないことがあったら遠慮せず質問する」というスタンスを持っていただけるように心がけています。
――前職との違いに戸惑うこともありますよね。
千葉直子:TRUSTDOCKはeKYCやデジタル身分証という新しい市場をつくっています。いい意味でこれまで自分の中で当たり前だと考えていたことを手放し、学び直す気持ちをもともと持っているメンバーが集まっているんですよ。学び直しの気持ちが加速できるようなオンボーディングにすべく、改善を続けています。
――改善を続けるための施策は何かありますか?
千葉直子:新規入社いただいたメンバー全員と私が、入社1ヶ月後のタイミングで面談をしています。その中で「入社前に知りたかったこと」「入社後に戸惑ったこと」などをヒアリングした声をオンボーディングプランに随時取り入れています。
――新しい経験や知識を得るスピードが加速しそうですね。
千葉直子:アンラーニングした結果残る部分がそのメンバー自身のコアな部分です。オンボーディング期間でアンラーニングが終わって、コアな強みを活かした活躍に早期につなげていただけたらと思います。
――TRUSTDOCKではどんなオンボーディングを実施しているのでしょうか?
千葉直子:人事担当が設計、実施する全社的なプログラムと、各チームがプランを練って実施するプログラムの2種類があります。TRUSTDOCKという会社全体と、所属するチームで力を発揮していただくことが目的です。
――全社的なオンボーディングはどんなことをするのでしょうか?
千葉直子:入社初日は可能な限りご出社いただき、直接顔を合わせる機会を設けています。ここで歓迎ランチも可能な状況であれば実施しています。直接コミュニケーションを取る機会は大切ですね。
――対面とリモートワークの良さを使い分けているんですね。
千葉直子:「いつでも質問してくださいね」と口で言うだけでは、ひとによっては心理的ハードルの高さを感じます。「一度対面で会ったことがある」という安心感を持ってもらえたらと考えています。この安心感を持ってリモートワークに入ると、スムーズに立ち上がれます。普段ほとんどのメンバーがリモートワークのTRUSTDOCKですが、毎月入社日だけはオフィスにひとが多いですね。
――CEOの千葉さんからのオリエンも実施するとお聞きしました。
千葉直子:カジュアル面談や面接でも千葉から詳細にお伝えしていますが、あらためて会社、プロダクト、事業計画について説明する時間を設けています。どんなプロダクトをどのように提供しているのか、どこを目指していてそのロードマップはどんなものかなどの詳細をお伝えしています。
――入社すると聞きたいことも変わってきますね。
千葉直子:TRUSTDOCKは急成長しているので、採用時とは変化もあると思いますしね。最新の会社の状況をお伝えしたいと考えています。他にはTRUSTDOCKアプリのユーザー体験、セキュリティー意識を高めるオリエン、組織・チームの説明があります。いずれも質問を受けて理解を深め、早期に業務にキャッチアップできるように心がけています。
――各チームのオンボーディングプランはどんなことをしているのでしょうか?
千葉直子:入社1〜3ヶ月くらいの間は毎日30分程度の「なんでも質問相談タイム」を設けて、何か困ったことや聞きたいことあれば質問できる時間をとっているチームが多いですね。「いつでもいいよ」と言ってもリモートワークだと「いつがいいんだろう」と質問する側は悩んでしまいがちです。毎日固定の時間を設けることで、戸惑いをなくすようにしています。キャッチコピー的に「いつ聞いてもいい、誰に聞いてもいい、何度聞いてもいい」を徹底しています。特に「何度聞いてもいい」はリモートワークが中心の働き方の中で大事にしています。
――人事担当から各チームのオンボーディングについて何か指示は出していますか?
千葉直子:指示というほどのものは特にありません。初日のゴールは「仕事を開始するためのセットアップをすること」とお伝えしています。初日のサポート担当のメンバーをチームで決め、出社して隣でサポートいただくことをおすすめしています。初日は私たち既存メンバーが思う以上に不安がいっぱいですからね。PCの設定ひとつでも「すぐ質問できる」状態が重要だと考えています。
――2つのオンボーディングを実施する中で、新しいメンバーに特に注力してお伝えしている部分はありますか?
千葉直子:リモートワーク中心でオフィスに出社しているわけではないので、意識的に既存メンバーがどこで、どのようなコミュニケーションをとっているのか、情報共有しているのかをお話しするようにしています。その一環で「ひとと組織を知る」ために、入社2週目以降には各チームの定例に参加していただく機会を設けています。入社1ヶ月の期間に全社員と顔を合わせられるようにしています。初月はMTGが多くなるので継続するかどうか検討したこともあるのですが、「早いタイミングで各チームの様子が知れてよかった」という声が多かったため続けています。
――1ヶ月で60名のメンバーと会えるんですね。
千葉直子:また、他のチームの情報にアクセスすることもできます。同時にセキュリティー意識を高める研修も実施しています。情報を公開できている理由には、メンバーひとりひとりが自律しているからです。
――TRUSTDOCKはSlackやesaなど、様々なコミュニケーションツールを利用しています。ツールに関するオンボーディングもあるのでしょうか?
千葉直子:入社初日に社内で使っているツールのセットアップや使い方のtipsなど含め、説明、質問を受ける時間を設けています。これまでに使い慣れていないツールにストレスを感じる方もいますよね。これまでの環境とギャップを感じやすい部分です。
――例えばパソコンがWindowsからMacへの変化も、ギャップを感じやすいですね。
千葉直子:官公庁や大手企業などIT業界以外からの転職者も多いので、実際にその声はよく聞こえてきます。「違う星に来たんじゃないかと思った」と言った声や、「明治から令和にタイムスリップしたくらいに感じた」と話す方もいらっしゃいます。
千葉直子:TRUSTDOCKでは出身や業界はその方の特徴や強みのひとつだと考えますが、それ以上に重視しているものがあります。ひとりひとりのメンバー自身の考え方、価値観、求めるものがTRUSTDOCKとマッチするかどうかです。これは採用において大切にしているポイントですが、形にするには入社後、つまりオンボーディング時にも一貫させることが大切だと考えています。
――だから大きく環境が違うメンバーも、早期活躍しているんですね。オンボーディング期間が終わった後にサポートはありますか?
千葉直子:チャットツールとして利用しているSlackで独り言的に「●●●がわからない・・」とつぶやくと、誰かが必ずコメントしています。これは会社としてルール化しているものではないですが、メンバーが10人以下だったときから60人を超えたいま(2022年8月現在)でも続いています。TRUSTDOCKの文化のひとつですね。
――サポートする文化が根付いているんですね。
千葉直子:そうですね。これからもサポートする社風は維持できるようにします。同時に重複している質問は、社内wikiのような場所にまとめてすぐに検索できるようにする動きも増えています。ひとのサポートと仕組みのサポートは、オンボーディングの期間が終わっても続きます。早期活躍はもちろんのこと、継続した活躍が大切ですね。
――これからも多様なバックグラウンドのメンバーが活躍し続けそうですね。
千葉直子:ひとと仕組みのサポートと、入社するメンバーの性格との相性がいいんですよ。どんな性格かというと、「これまでの経験や前職での当たり前に固執せず、いま自分がやるべきことに集中する」です。「ないなら自分からつくる」「整ってないと感じたら自分で整える」スタンスのメンバーばかりなんです。だからTRUSTDOCKは創業メンバーだけだった頃から変わらず、成長し続けられているのだと思います。
(話し手・千葉直子/文・佐野創太/編集、監修:TRUSTDOCK採用広報チーム)
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